■ CRIMES OF THE HEART/三人姉妹の和解と再出発


製作:1986年、脚本:ベス・ヘンリー、監督:ブルース・ベレスフォード  予告編  予告編  インタヴュー 


■ はじめに

レニー(ダイアン・キートン) - 長女
メグ(ジェシカ・ラング) - 次女
ベイブ(シシー・スペイセク) - 三女
ドク(サム・シェパード) - メグの元恋人
チック(テス・ハーパー) - 従姉妹
ザカリー(ビーソン・キャロル) - (州の)上院議員、ベイブの夫
バーネット・ロイド(デイヴィッド・カーペンター) - 弁護士

場所はミシシッピ州、ヘイゼルハースト。割合と有名な女優が三人姉妹を演じている。

三人の父親は三人が小さいときに行方をくらまし、それをきっかけに母親は自殺した。三人は祖父に育てられたが、今は病院に入院している。今では家にはレニーだけが住んでいる。すぐ隣の家にはチック。

レニーは出会いのチャンスがなく独身。メグは「歌手になる」と言ってカリフォルニアに出ていった。ベイブは上院議員のザカリーと結婚した。注、州の上院議員と思われる。

同じくジェシカ出演の「シークレット/嵐の夜に」では、本作と同じようにわりと有名な女優が三人姉妹を演じている。長女/ジェシカ・ラング、次女/ミシェル・ファイファー、三女/ジェニファー・ジェイソン・リー。
 


■ あらすじ

ベイブがザカリーを拳銃で撃って逮捕された。レニーはメグに知らせてメグが帰ってきた。とりあえずベイブは保釈されて戻ってきた。

久しぶりに三人が揃ったが三人の間はぎくしゃくしている。

ベイブはザカリーを撃ったことは認めたが、それ以上のことは語ろうとしない。いや「ザカリーの顔つきが気に入らなかったからよ」と言った。チックはベイブに「あんたは刑務所で死ぬのよ」と言っている。

メグは勝手に家を出て、ずっと連絡もせずにいたことで、二人の評判が悪い。また昔は男友達もいっぱいいたと広言している。これまた二人が反発。

レニーは卵巣の病気があり、結婚できないと思い込んでおり引け目がある。メグは「レニーは男と寝たことがないのよ」と言ったが、ベイブによれば「一度だけチャーリーという男性とつきあった」ことがあるようである。このような二人の会話にレニーは怒る。

メグとベイブがいた時に弁護士のロイドが訪ねてきたが、ベイブは逃げ出したのでメグが応対した。ロイドはまだ若く、今回が初めての仕事とのこと。ロイドは、地元のクラブでメグが歌ったことを知っていた。

ロイドは、ベイブの過去四年間の医者の治療記録を持ってきてザカリーの虐待を証明すると言う。それで正当防衛を主張するつもり。

夜にドクからメグに電話がかかってきた。ドクはメグの元の恋人だが、メグはまんざらでもないようで二人はドライヴに出かけた。メグはドクが結婚して二人の子供がいることを聞いた。注、レニーがドクにメグが帰ってくることを知らせた。

二人はドライヴして湖のそばで夜を明かした。メグの言葉を信用すれば、ドクはまだメグを好きだとのこと。メグはやたらと上機嫌で戻ってきた。これまた二人の評判はよろしくない。

さてベイブの件。ベイブは、ザカリーに暴力を振るわれており、そういうこともあって15歳の黒人少年ウィリーと関係を持っていた。それをザカリーに責められたためであった。

ロイドは入院しているザカリーと裁判を取り下げるように交渉した。議員のザカリーとしても、ごたごたは避けたいので、この問題は解決した。

ウィリーは当地を離れることになり、バスでニューヨークに出発した。二人とも涙を流した。

チックが訪ねてきて、三人の母親の自殺、ベイブの銃撃事件に加えて、メグが朝帰りした件で「近所の恥さらし」と責めたので、レニーはチックと喧嘩し、興奮して棒で追い払った。

レニーは、この喧嘩で自信ができたのか、その勢いで昔付き合ったチャーリーに電話をかけた。「今なら彼に電話できるわ」。卵巣の病気についても率直に話した。チャーリーとデートの約束もできたらしい。注、喧嘩の前にいったん電話しようとするが、できなかった。

その後、ザカリーがベイブに電話してきて、ベイブを精神病院に入院させると言ってきた。ベイブは、自殺しようと天井のライトにロープをかけたがライトが落下。

次にオーヴンの中に頭を突っ込んだが、帰ってきたメグに発見された。注、オーヴンは扉を開けていたら、スイッチが入らないのでは?

レニーの誕生日から二日過ぎていたが、三人は笑い転げながらケーキを前にレニーの誕生祝をした。

 


■ 本作は何を描きたかったのか?

本作のあらすじは上記の通りだが、三人の行動がかなり奇妙。以下に例を挙げる。しかしなぜ、このような表現を入れたのかは(私には)不明である。

ベイブがザカリーを撃った後、ザカリーは倒れる。倒れているザカリーに対して、ベイブはレモネードを作る。「レモネードはいかが?」と言う。ザカリーが「違う(⇒救急車)」と言うと「コーラなの?」。

メグが朝帰りした後二人が「祖父が危篤」と言う場面がある。二人はメグにそれを告げた後、大声で笑いだす。さらに「これって、笑いごとじゃないわ」といながら大笑いする。

メグはレニーに「コーラ持ってきてあげる」と言ってコーラを冷蔵庫から出して自分で飲む。

メグは嵐が来た時にドクに「嵐から逃げなければ結婚してあげる」と言った。そのせいでドクは脚をケガして、今でも脚が不自由である。しかしその後メグはカリフォルニアに旅立った。

レニーの誕生祝にチックから貰ったキャンディをメグは全部少しずつ齧って箱に戻す。

チックが「タバコは肺がんの元よ」と言うとメグは「そこがいいのよ、死を吸うなんて素敵」と言う。
 


■ 蛇足

レニーはメグが「お互い老けたわね」と言うと「本当は私のことでしょ」と怒る。

三人の母親は子猫を道ずれにして自殺したので全国紙に掲載されたらしい。

レニーは自分の誕生日なのに誰もいないので、クッキーの上にローソクを一本立てて「ハッピー・バースデー」を歌う。この時にメグが帰ってきたので、急いで隠す。

メグは祖父に「映画に出ていたので忙しかった」と嘘を言ったが、危篤状態の祖父を喜ばせるためであり、これは許されるだろう。

結婚はしなかったけれどもサムとジェシカは25年ほども一緒に暮らしており、本作の時期には一緒だった。

ジェシカ・ラング
(1981)郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice
(1988)熱き愛に時は流れて/When I Fall in Love/Everybody's All-American
(1991)ケープ・フィアー/Cape Fear
(1992)ナイト・アンド・ザ・シティ/Night and the City
(1992)開拓/O Pioneers!
(1994)ブルースカイ/Blue Sky
(1997)シークレット-嵐の夜に/A Thousand Acres
(1998)沈黙のジェラシー/Hush
(2016)素敵な遺産相続/Wild Oats