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ついに最終回、第40話の紹介です♪
【第40話】
①辽城の港で・・・
港に着き、お茶を飲む女性を迎えに来た中秋は、決まったセリフで互いを確かめ、バイクに乗せて去る。張り込み中の周囲も動き出し、少し離れて見ていた段鉄と克也の姿も。
克:あわてるな。奴らを出迎える共産党員も一緒に捕まえる。
②廃墟で・・・
女性を連れて廃墟に到着した中秋は、女性に安全な場所に隠れるように指示して待機。
大勢の追っ手と共に克也と段鉄も到着。
←車から降り立つ二人のスタイルがよすぎる・・・刑事ドラマかヤクザ映画のような雰囲気。
段:除夕、今から始まるのは骨肉の争い劇だ。お前と中秋が主役、俺は脇役だから、お前が先に行けよ。俺は後ろで待ってる。
黙って段鉄の話を聞き、部下を引き連れて踏み出す克也。
中秋は一人で座って待ち構えている。
中:除夕、俺達兄弟のゲームにお前は負けたんだ。
克:なんで俺が負けるんだ。
中:30分後に女娲は俺たちの同志が出迎える。
克:自分達二人がここから逃げられるとでも?
中:兄ちゃんと帰ろう。←中秋はまだあきらめていない。
首を横に振る克也。
克:無理だ。兄さんは俺にとって今や骨の髄まで憎い相手だ。兄さんが自分で俺の父親を殺して、俺の仇になったんだ。
中:すまない、除夕。
克:俺に許しを請うのか?
中:お前を高橋南に返したことを、俺の一生で一番後悔している。
克:身勝手すぎるよ。実の父に一生会わせないで、俺を嘘の中で生きさせる気か。俺の本来あるべき人生を奪って、意気地なしの能無しでいさせることが望みなのか。それでも俺の体には俺の父親の血が流れてるんだ。
そう言って、右手を差し出す克也。
克:覚えてるか?
ゆっくりと手を合わせる兄弟のポーズをして、中秋は克也を抱き寄せる。
それが合図になり、抱き合う二人以外の銃撃戦に。共産党側の助っ人メンバーもたくさん出てきて双方ほぼ全滅。
克:兄さん。馬除夕は忘れて。←この表情!過去との訣別。
そう言って、いきなり中秋を突き放し、殴りかかって攻撃を開始する克也。
でも中秋は強い。銃を向ける克也に中秋が投げた短刀がグサリ。中秋は、克也の銃を奪い取って克也に向けるが、撃ちたずに「行け」と逃がす。←この短刀が刺さった後の克也は、急に幼く見える。兄に負けたから?なんだか一皮むけた、若さや初々しさを感じる。肌の感じや表情もすべてが直前までのシーンの「克也」とは少し違う。この後、最後までその感じが続く。
よろよろと立ち去ろうとする克也だったが、段鉄に銃を突きつけられて戻って来る。
段鉄は、中秋に「決着の時が来た」と叫ぶ。
段:馬除夕。お前はひどいやつだな。育ててくれたアニキにまで銃を向けるとは。
段:馬中秋。お前が弟を殺せないなら、俺がやってやるよ。その後は俺たちの最後の決戦だ。
克:何がしたいんだ。
段:俺の時機が来たんだよ。阿英の仇にお前を殺す。←段鉄、克也との待ち合わせの前に小柔を確保してたのは(車に閉じ込めているつもり)、一気に挽回して克也も中秋も殺す計画だったらしい。
状況を理解した克也は段鉄を突き飛ばして逃げ、中秋が段鉄に発砲。
克也は停めてあった車に乗り込んで胸に刺さった短刀を抜き、運転してその場を去る。中秋と段鉄の決戦が始まる。
同じ頃、本物の特派員・女娲が港に到着。南燕が出迎え、金医師が救急車で護送する。
段鉄と中秋の廃墟での銃撃戦は続き、中秋が優勢になって段鉄を狙った時、中秋を止めに入った小柔を段鉄が後ろ手に撃ち抜いてしまう・・・。小柔は「兄さん、家に帰ろう。」と言い、兄を傷つける言葉をかけてきたことを詫びる。すべては、兄に元に戻ってほしかったからで、自分もつらかったこと、世界で一番自分を大切にしてくれるのは兄だとずっとわかっていた、と。目を閉じて兄の顔を撫で、息絶える小柔。小柔を抱きしめて泣く段鉄の悲痛な叫び。←美しい顔を台無しにするすごい演技。
段鉄は、中秋に負けを認め、悲惨な最期を嘆く。自分は何でも手に入れられると思っていたが、実は何も手に入らず、すべて失って、一番守りたい人まで自分の銃で殺してしまった。別の世界で小柔に付き添う、一緒に埋葬される資格はないので、自分の骨灰は彼女の墓のそばに撒いてくれ、中秋は来世でも名前を変えずにいてくれ、来世ではと本当の友達に、と。中秋は段鉄に銃を渡して、背中で銃声を聞く・・・(段鉄、さようなら)。
バイクで駅に向かう中秋は、除夕が共産党の疑いのある大勢の容疑者を射殺した日のことを思い出す。あの日、コートに盗聴器を仕掛けられたことに気づいた中秋は、女娲の到着日時をずらして聞かせ、小柔にもう一人の(先に到着する)女娲役をやらせる計画を実行したのだ。
ふらふらと高橋邸に戻った克也は、馬母を探すが、母は谷雨に連れ去られた後。
中秋にしてやられたと怒りを爆発させ、すぐに車で街に出て、谷雨と母が乗る車を見つける。
←「母さん」と叫ぶ様子は狂気。
克:アニキ、母さんをどこへ連れて行くんだ。
谷:母さんは連れて行く。
克:兄ちゃんは父さんを殺して、アニキは母さんを連れていくのか。俺を一人で放り出したいのか。そうなんだな?
谷:除夕、目を覚ませ。俺達がお前を捨てたいんじゃない。先にお前が兄さんを、俺を、母さんを捨てたんだ。
克:じゃあ、もう止めないでくれ。俺は母さんを取り戻す。どいて。どけよ!
克也は泣くように叫びながら、谷雨に銃を向ける。
谷:殺されたって、母さんは連れて行くぞ。
思い切り谷雨の腹を蹴る克也。つかみ合いになり、克也が下に。
どけよ、ダメだ、と押し合う内に、克也の銃が発砲。
←これ、やる気で撃った?誤発射?阻止され続けていればやがて撃っただろうけど、ここは誤発射のように思える。
時が止まり、立ち上がる谷雨の胸は血まみれ。谷雨はその血を手に取り、克也の顔に血のしずくを垂らす・・・
谷:弟よ、兄さんの借りは、これで俺が返した。だからもう兄さんには仕返しするな。
そう言って、倒れる谷雨。←谷雨、このシーン全体を通して、言うことがとてもまともだった。普通の感覚で、受け入れられないものは受け入れられず、大切なものや守りたいものはハッキリしている。そして、元の除夕は弟だと本当に思っていた谷雨だった。
金医師と南燕は、無事に女娲を郊外で待つ梁の元まで送り届ける。
中秋は、駅に到着して母を見つけるが、谷雨の姿が見えない。来る途中に除夕の車に阻まれ、谷雨が一緒に光明鎮に帰るように説得すると言って降りたことを聞く。そこへ、母を探して克也がやって来る。←若くて、むき出しの何かを感じる、独特の表情。このシーンの生っぽさは言葉にならない。若さと狂気の美しさがハンパなく、何とも言えない匂い立つ色気を感じる。なんだろう、これは、死の匂い?
克:兄さん、母さんは?
中:谷雨は?
克也はポケットから谷雨がいつも持ち歩いていたスキットル(血まみれ)を取り出し、中秋の足元に投げてよこす。ショックで愕然とする中秋。
克:父さんが死んだとき、俺も今のあんたと同じ気持ちだった。つらいだろ?
悲しみのあまり、克也に銃を向ける中秋。
克:撃てよ。撃たないなら、俺が撃つよ。
と、克也はいきなり中秋に向かって発砲し、弾は中秋の左腕に命中。
克:あんたは撃てないって、わかってた。何故だかわかる?俺が弟だからだ。小さい時から俺が育つのを見てきたんだ。俺に文字を教え、刀作りを教え、母さんの言うことを聞いて、いい子でな、と言い聞かせて・・・
克:でも今日、俺達はどちらか一人しか生き残れない。
もう一度銃を向ける克也。中秋も克也に銃を向ける。克也が引き金を引こうとしたとき・・・
汽車から飛び出してきた馬母が中秋に覆いかぶさり、克也が撃ったのは母。←このシーン、馬母の想いはどう見える?中秋を守りたい?中秋を止めて、除夕を守りたい?二人の争いを止めたい? 最初に見た時は、やっぱり実子の中秋を守りたいのかと思ったけど、二人の争いを止めたいとっさの行動とも見える。
中秋も迷いが消えて克也に発砲。克也も中秋に発砲し、3人がホームに倒れる。
中秋は、雨の中、光明鎮の家に帰る。←中秋、やっぱり生きてたのか。
家の中から、かわいい除夕が無邪気に出迎える。
除:兄ちゃん、母さんが羊肉の餃子を作って待ってるよ。早く。
家の中には、谷雨もいて、お皿を並べている。
谷:兄さん。
母:中秋、お帰り、食べましょう。
仲良く食卓に座る3人。
除:兄ちゃん、早く座って。
中秋も席に着く。
谷:兄さん、俺、もう大学を卒業したんだ。光明鎮に戻って仕事をするよ。
除:兄ちゃん、帰ってきたんだから、僕に刀作りを教えてよ。
母:中秋、今度は、もう行かないでね。家族みんなで楽しく暮らしましょう。早く食べなさい、見てないで。さあ、餃子食べて。
母がお皿に取ってくれた餃子を口に入れる中秋は、家族を眺めて優しく笑う。←馬家の人が欲しかった幸せはこれ。これだけのことなのに・・・。
現実に戻り、誰もいない実家の食卓に座る中秋。
中秋は、党から新しい任務を受け、上海の黄浦江の電車駅で仲間と落ち合うことになる。通り過ぎた電車に乗っていたのは南燕。出会いからが走馬灯のように蘇り、走って電車を追いかけ、飛び乗る中秋。見つめ合う二人。~全劇終~ ←え?
***
何回見ても、このラストシーンには「え?」ってなってしまうけど、このドラマは、結局、最初にお伝えしたように「激動の時代を生きる、不死身のスーパーヒーロー・馬中秋の愛と正義」ということなんだと思います。
日本のダンルンファンがダンルンカットを見ただけでどんなドラマかわかるように、ということで、回を重ねて紹介してきましたが、ここまで詳しくやったら、普通に全部見てもわかるのでは・・・💦
繰り返し見るうちに、当初の印象からだいぶドラマとしてのマイ評価も上がり、ざっくり済ますつもりが1ドラマ全部解説しきって、ものすごく思い入れのあるドラマになりました。
前半、かわいかった除夕、誘拐された後はキレやすい一面も出されていたのは、やはり、あえて成熟していない様子を表現していたのだなと最終回の台詞で改めて確認。愛情深いけど、いびつな形でもあった馬家で、かわいい末弟の役割を押し付けられていた面もあったのかも。父の愛情を求め、母に依存した子ども。自分に流れる強大な力を持つ敵方の血に気づき、急激に変化した除夕は、極端な実父の教えを吸収した歪んだ克也になり、時代の流れと実父の思想により育ててくれた家族と敵対してしまう。そんな神話的な悲劇を感じました。それにしても、これだけの物語を展開させる重要な役割を立派に演じきった23歳ダンルンすごいわ👏
そして、今回ちょくちょく書き込んだ青文字のように、私はこの最終回で、克也に中秋の短刀が刺さってから死ぬまでの演技に、ものすごいピュアな底力を感じ、何度見ても魅せられました。除夕から克也への変化、そして克也からまた次の世界に行く変化、最後の最後に新しいゾーンに入った感じが本当にすごい。こんなダンルンは、その前にも後にも見たことがなく、ものすごく貴重だし、めちゃくちゃ魅力を感じます。というわけで最後写真多めで締めくくりとなりました(これでもだいぶカットした)。
ダンルンカット以外のシーンも見てみようと思った方は、こちらから↓
このドラマの最終回、「生き延びるために駅に向かい、途中で次兄が死亡、さらに家族は結局ほぼ全滅、主人公のみが生き残り、なんとなく希望。(根底に反日の香り)」という流れは、同時代のドラマ『新京華煙雲』と全く同じでした。