建築家との家創りって? -1301ページ目

建築家とイエ創りを始めよう!Vol.21(番外編_5)

前回、クライアントとして、どんなカタチで要望を伝えるとよいか、事例をもとに説明しました。
今回は、その要望について、ヒアリングした建築家が、その後どう考えていくかといった辺りを説明していくことにします。

事例の条件や要望は前回のBlogを参照ください。



まずは、条件からですね。


敷地面積は、すでに敷地を調査していますので、その面積と異ならないかを確認しておく程度でOKです。
ただ、一つ注意が必要なのは、いわゆる「登記面積」(登記簿の面積)と実際の面積が異なることが往々にしてあります。


特に狭小地の場合は、イエの計画に大きな影響を与えてしまいますので、可能であれば、測量屋さんにキチンと測量してもらうことをオススメします。


「希望延床面積」ということで記載していますが、この段階では、具体的な数値はなくてもよいです。(もちろんあってもいいです)
強いていえば、「現在の住まいより大きく」とか、「このチラシの面積より大きく」といった程度でもOKです。

事例の場合は、前回説明しましたが、ハウスメーカーに計画案を作成してもらっていたので、要望を盛り込むと、
これくらいの大きさになる!というイメージが把握できているだけです。
もし、そういった資料があれば、建築家に渡して下さい。



次に、家族構成。


当然といえば当然ですよね。部屋の数が変わってきますからね。
例えば、「現在子供は一人だけど、将来もう一人を予定している」とか、「将来親を呼んで一緒に住むことうを予定している」等、将来「増えそう」な要素があれば、必ず伝えて下さい。
後で、そうなった時に、居場所が不足していると、大変ですからね。
これは結構大切な要素ですので、ご注意ください。



その次の条件は、以前から伝えていますが、

最も大切なこと、「予算」です。

事例の金額は、あくまで「建物を建てるための金額」のみということは、分かってもらえると思います。
以前、このBlog内でお伝えしたと思いますが、イエを建てる時には、この費用以外にも、登記の費用や地盤調査委費等、いわゆる「諸経費」が必要にります。
詳しくは、以下を参照ください
↓↓↓↓↓
http://www.ntas.info/


もちろん、全てをコミコミの金額で提示してもよいのですが、自己資金がこれだけで、借入れがこれだけで。。。なんて話を持ち出したくないと思いますので、諸経費分を除いた、事例のような工事費を提示するのがよいと思います。
(弊社の場合は、個別で相談してもらえれば、全ての予算から諸経費を含めた「資金計画書」を作成して、お渡しします)


また、この諸経費の中には、クライアントでないとわからないことや、建築家の手配先で金額が異なる項目があったりしますので、個別でキチンと協議しないと、曖昧な内容になってしまうことも理由の一つです。


また、消費税が込みなのか、含まないのかはハッキリさせておきましょう!!
(消費税も結構大きな金額ですから)



さて。

これで条件が整いました。


次のステップは、「希望延床」面積ではなく。「予算から導き出した延床」面積を算出します。


予算から、どれくらいの規模のイエが建つのかを「想定」していきます。


この場合は、予算が2800万円。
まずは、建築工事費(建物に掛けられるお金)を算出していきます。


2800万円÷1.05(消費税)÷1.1(設計監理料)=2420万円(税別・設計監理料別)


この金額は、外構(ウッドデッキや駐車場のコンクリート舗装等)を含めた金額なので、
外構費用をザッと想定して、100万円。(このザッとが難しいかもしれませんが。。。)


すると、建物に掛けられるお金は、


2420万円-100万円=2320万円


となります。


では、何坪のイエが建つと思いますか??


各建築家は、「これくらいの仕様であれば、これくらいの坪単価でいけるはず!:といったバックデータを持っています。(当然ですが、各建築家でずいぶん異なります)


要望を見ながら、そのバックデータをもとに、どれくらいのグレードで進めていくかを決定します。


注意が必要なのは、この段階で、あまり安く設定しすぎないこと。

(某ハウスメーカーのCMで「坪30万」見たりすると思いますが、実際はその金額では建たないのが現実のようです)


あくまで最初の想定段階ですから。最後に予算内に納まらないと困りますよね。
弊社の場合は、ある程度以下には設定しないようにしています。


弊社の場合平均は、60万/坪。


これくらいの金額でないと、ペアガラスやキチンとした断熱性能をもったイエは難しいと思います。


2320万円/60万円=39坪


39坪まではいけそうです。



外構工事を将来工事にすれば、


2420万円/60万円=40坪


までいけそうです。



要望の面積が、40~45坪とのことなので、外構を将来工事にすることを視野に入れて、
40坪前後を目安に計画していくことに決定します。


今日は、条件から、どのくらいの規模のイエが建てられるかを中心に説明しました。
長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。

次回は、クライアントの要望を、どう読み取っていくかを説明していきたいと思います。

お楽しみに!


※今回の内容で、坪60万円というのは、あくまで想定です。要望や計画内容によって、ずいぶんと異なります。
その金額を確約できるといった内容ではないので、その辺はご了承ください。




建築家とイエ創りを始めよう!Vol.20(番外編_4)

前回までで、敷地についての調査は、おしまいでした。
敷地の状況が把握できたところで、次のステップに入っていきます。



さてさて。


今回は、とうとうクライアントの登場です。


どんなイエを創りたいのか、どんなところに「こだわり」があるのか。
家族構成から、駐車場の台数、予算や希望の広さ、間取りまで、そのときに思いつくだけでいいので、建築家に伝えてみてください。


ポイントは、


「この時、我慢しちゃだめ」


ということ。


イエ創りを楽しんでいくための大切な要素の一つなのですが、最初から「我慢」ばかりでは、楽しくなりません。
当然、予算があることなので、実現できることと、出来ないことはあります。
ただし、そのままズバリのカタチでなくても、その「こだわり」を実現する他の方法があるかもしれませんから。



話を戻しましょう。

では、このクライアントの条件や要望は。。。


■各種条件


・敷地面積;250㎡(75.6坪)
・希望延床面積:40~45坪
・家族構成:夫婦+子供2名 計4人
・予算:2800万円(建物本体+付帯工事+設計管理料+外構+諸費税)


■要望・こだわり


○デザイン・イメージ
・外観デザイン:シンプル+モダン
・内観デザイン:北欧モダン


○イエ全体のこだわり
・日当たりが感じられる家
・スキップフロア・半地下等への空間使い(天井高1.4mの収納部屋 等)
・南西側に隣家がある為、なるべく南西側を広く開けて欲しい(日当たり確保)
・夏涼しく、冬は暖かい家
・収納が出来る場所をより多く


○必要諸室
・LDKの他に(8畳フローリング+4畳畳部屋の続き間)
(将来、奥様が日本舞踊を教える場所として使用したい)
(LDKとは切り離したい=隣接させたくない)
・LDKの天井を高く(2Fまでの吹き抜けは希望していない)
・1Fのトイレ及び浴室は少し広め希望
・2Fにもトイレ希望
・ウッドデッキ希望
・テーブル及び椅子×4を置いて食事が出来るぐらいのテラス希望
・主寝室(10畳)・子供部屋(6畳)×2・書斎(2~3畳)
・主寝室はウォークインクローゼット、子供室は、クローゼット希望
・LDKに子供が勉強できるスペース希望
・キッチンは対面若しくはL型希望
・直接外部からアクセスできる、半地下の「蔵」のような収納希望
(床面積に入らないよう、天井高さは1.4m以下)
・物干しができるようなテラス希望


○外構
・車が3台置けるスペース (家族用2台+来客用1台)


以上です。



この要望をみて、どう感じましたか?


最初なのに、ずいぶんと要望がたくさんあると思った方が多いのではないでしょうか。


というのも、このクライアント。
これまでに、ハウスメーカー数社に計画案を作成してもらっていたんです。
そのやりとりの中で、要望を、よりハッキリさせていったんだと思います。
(ただし、その計画案では、満足のいくカタチが提示されなかったようなので、建築家とのイエ創りを
検討されたんです。)


以前、このブログ内で説明したのですが、ここまで具体的でなくてもよいので、ご安心ください。


「■各種条件」は、家族が増えるくらいで、大きな変更はないと思うので、伝えるとしても、
要望については、言葉で表現するのが難しければ、写真や雑誌の切り抜きでもいいんですよ。


写真があると、それを眺めながら、その写真のどこが気に入っているのか?という具合に
「こだわり」を抽出することができるんです。



それでも、「イマイチ具体的になっていかない」方。そんな方には。。。


今のお住まいからどう変わっていきたいのか、どんな所に不満があって新居ではどうしていきたいのか。
「日当たりを良くしたい」(例えば、現状、食事するのに照明が必要だからとか)
「収納を多く」(例えば、モノが多くてイエのアチコチに散らばって困っているとか)


こんな風に、現在の住まいから、どう変えていきたいかを考えると、より具体的な要望が引き出せるかもしれませんね。



ずいぶん長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。
次回は、このクライアントの要望から、何をどう読み取っていくのかを説明していきたいと思います。
お楽しみに。。

建築家とイエ創りを始めよう!Vol.19  (番外編_3)

ただいま、GW真っ直中。
イエ創りを始めようとしている方は、Webで情報収集したり、住宅展示場に足を運んだり。
積極的にいろいろと検討するには、いい機会なのかもしれませんね。


さてさて。
具体的な事例をもとにして、イエ創りを紹介していくシリーズ(番外編)の第三回目です。


前回までに、敷地と道路との関係や、敷地境界について、実際どんな風に接していけばよいかを解説しました。
今回は、まず、敷地の「インフラ」をどのように見ていくのかを説明していきます。


いろいろと見て確認しなくてはいけない項目はあるのですが、この段階で最も大切なのは、


「下水道が整備されているかどうか」


です。


土地を購入した方は、購入時に「重要事項説明書」という書類を受領していると思いますので、
その中に記載があると思います。

施設の整備状況


「汚水:○○○」
「雑排水:○○○」


○○○に入っている言葉としては、「下水道」「集中浄化槽」「浄化槽」のいずれかとなります。


ここで一つお伝えしておきたいこととして、下水道が整備されていないからといって、大きな問題はありませんのでご安心下さい。

ただ、浄化槽を設置するための費用を工事予算に入れておかなくてはいけないことと、設置場所を確保しておかなければいけないこと、この2点が必要になるだけです。


他のインフラは、特殊な敷地条件でなければ(例えば、山や森の中等)、通常の想定を超えることはないのですが、浄化槽の有無は、予算と配置計画に大きな影響を与えてしまうことがあるので、キチンと確認しておきたいところです。


以上、現地で敷地を読み取る作業は、これで十分です。



あとは、各市町村の役所にいって、敷地の諸条件を確認する流れとなります。


例えば、


都市計画課:用途地域、その他地域
道路管理課:前面道路の幅員
下水道課:下水道の整備状況

※各課の名称は、各市町村で若干異なります。受付で聞いてみると、丁寧に教えてくれます。


事例の場合は、


用途地域:第一種住居地域
防火指定:法22条区域
その他地域:なし
建蔽率:60%
容積率:200%
道路幅員:4.0m
下水道:未整備(浄化槽必要)


以前紹介した、敷地のチェックリストでは、こんな感じになります。
↓↓↓↓


建築家とのイエ創りって?


建築家とのイエ創りって?


建築家とのイエ創りって?


以上、ここまでで、敷地との関わり方を紹介してきました。


いよいよ次回からは、クライアントの要望紹介、考えられる配置パターンの比較検討など、
より具体的な内容を紹介していくことにします。


次回をお楽しみに。