4 会社を売るための3つの方法
会社を売却する場合にはどのような方法代表的な3つの方法を紹介します。
方法1:株式譲渡
会社のオーナー(中小企業の場合、通常は経営者)が保有する株式を売却することで、会社の経営を買い手側に承継させる方法です。中小企業の会社売却の9割がこの株式譲渡です。
株式譲渡のメリットは、手続きが簡単で対外的な影響が少ないことにある。具体的には次の4つ。
株主の交替以外は特段の変更がない
事業はそのまま継続できる
許認可や取引先との契約をそのまま承継できる
役所などへの手続きや登記変更が不要
買収側は経済的・時間的コストを省略できる
主なデメリット
従業員の雇用や労働条件が変更される恐れがある
一部の事業のみを売却することはできない(会社をまるごと譲渡)
簿外債務を引き受けることもある
方法2:事業譲渡
事業譲渡とは、会社の一定の事業を第三者に売却すること。
株式譲渡と異なり、会社の全部ではなく、会社の一部であることが特徴です。
売却の対象となるのは、有形・無形の財産債務、人材、事業組織、ノウハウ、ブランド、取引先との関係などです。
事業譲渡のメリット。
売手側は売却対象を選択することができる
買い手側は契約の範囲により、簿外債務などを引き継がないことができる
売手側は経営権を残したまま、資金調達をすることができる
事業譲渡は契約の対象が会社の株式ではなく、あくまで事業です。
利害関係の調整手続きが煩雑になるのを避けられないという点はデメリット。
株主総会での特別決議が必要(上場会社にとってはコストがかかる)
取引先や従業員の雇用契約の変更手続きが必要
事業に必要な許認可を改めて申請する必要がある
債務の移転においては、債権者の同意が必要
売手側は会社法第21条により、最低20年間は譲渡事業と競合する事業を行うことができない
方法3:会社分割
会社分割は、会社を複数の法人格に分割し、それぞれの法人格に組織・事業・資産を移転する方法をです。
会社分割には、分割した事業を新たに設立した会社が引き継ぐ「新設分割」と、既存の会社が引き継ぐ「吸収分割」があります。
会社分割は、不採算部門の切り離しや採算部門を切り離し、譲渡会社を清算する事業再生などにも使います
会社分割では契約手続きの煩雑さが省略される点がメリット。
取引先・従業員との契約を再締結する必要が原則ない
株主総会での特別決議が必要(上場会社は経済的・時間的コストがかかる)
事業に必要な許認可の中には、承継不可能なものもある