倒産危機に陥った中小企業の債権者平等原則 | 資金繰り 事業再生 M&Aアーク司法書士法人@代表社員 李 永鍋(リ ヨンファ)のブログ
債権者平等の原則

1  債権者平等の原則とは

 金融機関と交渉する場合、各金融機関に提案する内容は、一律に同条件が原則です。

 会社が倒産した場合、裁判所の倒産手続では、債権者は平等に取り扱われるという「債権者平等の原則」があります。

 裁判外でのリスケや債権放棄でも、「経営危機に陥った中小企業のリスケや債権放棄の内容も、各金融機関について同一条件である」というルールがあります。

 各金融機関について別々の条件でそれぞれ交渉しては、お互いの不平等感により協議が整いません。
借り手の中小企業側としては、複数の金融機関と協議しなければならない場合には、債権者平等原則により協議する必要があります。

 債権者平等原則については、ずいぶん昔の話ですが、メイン行が多くの経済的負担をするという「メイン寄せ」という現象が一般的でした。例えば、債権放棄スキームでは、メイン行の方が、後順位行よりもより多く債権放棄をするということです。

 「メイン行は、メイン行の立場を利用して、会社から担保をたくさん取っており、非保全債権の金額が少ない、非保全債権を基準とするのは不公平」というようなことを背景に行われていました。

 しかし、メイン寄せを否定した「私的整理ガイドライン」が登場して以降、メイン寄せというのはあまり認められない傾向になっており、債権者平等が一般的な考えとなっています。