(再読)終りなき世に生まれつく  恩田陸 【ネタバレ】 | 青子の本棚

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「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。

 

 

 

 

『夜の底は柔らかな幻』のスピンオフ短編が四作収められています。

 

 

図書館に、『夜の底は柔らかな幻』の下巻を借りにいったら、隣に並んでたので、ついでに借りて帰りました。

並べるなんて、図書館の職員さん、グッグッジョブ。

既読だけど、前回の感想読んでも、思い出せないところがあったので、下巻の前に再読してみました。

 

結果、これはナイス判断でした。

で、今回は、『夜の底~』関連で改めて気づいたところを特化して、自分用にφ(..)メモメモ。

両方の本のネタバレになりますので、未読の方はスルーお願いします。

 

初読の時の感想は、こちら。 ↓

 

 

 

 

 

 

『砂の夜』

勇司とみつきが、アフリカ北部の紛争地で、医療活動中に遭遇した連続殺人事件。

 

『ブルボン』のパスタナポリタンで、お互いが途鎖の出身だと判明。

一向は、砂嵐に閉じ込められるのですが、『夜の底~ 上』のラスト近くで、黒塚と葛城が小学校の校庭で、イロを使って繰り広げるバトルが砂まみれなんです。

ストーリィ的に繋がりはないけど、上巻読んだすぐ後だったので、その遊び心が おもしろくて、一人で照れニヤニヤ。

 

そして、こちらのラストで明かされるアジア系の護衛の青年の名前が「ルカス」。

おーっ、青柳だったのかぁ。

こっちを先に読むと、こういうとこワカランよなぁ。

もっとも、忘れっぽい私は、それ以前に気づかない可能性もありますが。。。ドクロ汗

 

そして、気になるみつきがルカスに感じたイメージの黒っぽい水面。

これ、『夜の底~ 下』に出てくるのか要注意。

 

 

 

『夜のふたつの貌』

医学生:勇司の目を通して語られる大学生時代の葛城。

孤独で無口な葛城、なんかイメージ違うな。

でも、やられたらやり返す一匹狼感は、紛うことなき葛城です。

 

ハードな勉強に追われる学生たちの間に出回るアッパー系アップのクスリ。

反対に、ダウナー系ダウンの「イロ」を消すクスリの噂も。

山でソクが牛耳ってるというクスリと関係あるのかな。

この点も、『夜の底~ 下』で、確認しなくっちゃ。メモ

 

そして、葛城と藤代家の関係の嚆矢がここに。

 

 

 

『夜間飛行』

葛城が、入国管理局のスカウトを受け、キャンプに参加。

 

山の中の王国:フチに君臨する闇の王:ソクに対抗できる”すごい奴”

確保のため、葛城ら五人が声をかけられていました。

キャンプ最終日に姿を現したそのうちの一人が、神山。びっくり

残りの三人は、初日にリタイア。

 

青柳と二人は、かつて山から一緒に下山した仲間?

青柳は、ヨーロッパへ渡り、傭兵に。

葛城は、入国管理官に。

そして、神山は、ソク?

 

タイトルは、神山の母の香水香水の名前でした。

ゲランやね。

 

 

 

『終りなき世に生まれつく』

神山がダークな世界で生きるきっかけとなった連続殺人事件。

 

神山が殺したのは、実は一人だけ。

否、二人か。

そして、十四カ月後、最初のテロ事件ドンッを起こす。

このテロは、下巻で語られるのでしょうか。

 

神山と一緒にくらしている女性って……。

もしかして実邦?

 

そして、神山がラストにみた昏い湖とは、みつきがルカス(青柳)の中に見た、黒っぽい水面と同じなのかなぁ。

息を殺すように静かに生きていた神山だったのに、これはイタイ。

 

週刊誌の契約記者:岩切和男との遭遇さえなければ……。

というか、なんかムカつくムカムカなぁ。

まぁ、岩切も余計なことしなきゃ、殺されることもなかったと悔やんでることでしょうが。

 

ここに来て、ウイリアム・ブレイクの詩「罪無き者の予言」が、胸に迫ります。

 

 

 

さて下巻は、どんな展開が待っているのでしょう。

大きな期待と一抹の不安を抱いて、進みますよぉ。ふんわり風船ハート

 

 

 

 

本

「夜毎に朝毎に

みじめに生まれつく人あり

朝毎に夜毎に

歓びに生まれつく人あり

歓びに生まれつく人あり

終りなき世に生まれつく人あり」