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シンガポール通信

Uniquely Singapore
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去る4月27日に、当地シンガポールにおける投資運用会社(Fund Management Company(略称FMC))に対する新たな業者規制のアウトライン(*1)が監督官庁であるMAS(**2)によりアナウンスされました。
http://www.mas.gov.sg/news_room/press_releases/2010/MAS_Invites_Comments_on_Proposed_Enhancements_to_the_Regulatory_Regime_for_Fund_Management_Companies_and_Exempt_FI.html


(*1)今般発表されたのは、「Consultation Paper」と呼ばれるもので、当該MAS案に対してのPublic Commentsを5月末までの期限を設けて募り、それを受けた後に 今後法制化の手続きが進められる事になります。
http://www.mas.gov.sg/resource/publications/consult_papers/2010/Policy_Consultation_on_Review_of_the_Regulatory_Regime_for_Fund_Management_Companies_and_Exempt_Financial_Intermediaries_edit.pdf

(**2)MASとは、Monetary Authority Of Singaporeの略称で、日本で言うところの金融庁と日銀=中央銀行の双方の機能を有します)
http://www.mas.gov.sg/


従来、シンガポールにおける投資運用業者(等)規制の枠組みは、


「シンガポールで投資運用業(等)を行うものはCMS(Capital Markets Services)ライセンスをMASより取得しなさい。
但し、「一定の要件」を満たす場合、CMSライセンス取得義務は免除(Exempt)され、「Exempt Fund Manager(EFM)」としての通知をMASに行う事で足る。」


というものでした。


この「一定の要件」の定義ですが、種々変遷あったものの現在は、投資運用サービスを提供する対象投資家(ファンド経由の場合、含最終投資家)の(少数性、30以下)とタイプ(Qualified Investors)とを問うもので、少数(30以下)の、所謂機関投資家あるいは富裕者に限定した投資家を対象とした投資運用サービス提供の場合は、「EFM」に該当します。

注:集団投資スキーム(所謂ファンド)を対象に運用している場合、そのファンドの投資家が全てQualified Investorsに該当する場合は、投資家の数に関係無くそのファンドを1とカウントされます。

本日現在、MASにEFMとして通知されている投資運用業者数はその会社規模の大小問わず499社にも登りますが(http://www.mas.gov.sg/fi_directory/index.html )、所謂ヘッジファンドと呼ばれるものをシンガポールに拠点を構え運用している会社の大半がこのカテゴリーに属しています。


まさに、従業員一人の会社から、何百人規模の大きな運用会社までがEFMという1つのカテゴリー内にあったのですが、

今回の規制案はこの従来の「EFM」カテゴリー運用会社をその会社運用規模、即ち契約運用資産金額(AUM)がS$250百万(円換算約175億円超か否かの違いを元に、従来のような「通知」で済むステータスのもの(AUM S$250M以下)と「ライセンス」取得を義務付けるステータスのもの(AUM S$250M超)とに区分するものとなっており、

①「Notified FMCs

②「Licensed A/I FMCs」  (A/Iはaccredited and/or institutional investorsの略)

の二つのカテゴリーに分類されます。


①は、従来のEFMと似たようなもので、顧客タイプはQualified Investorsのみ且、数の上限は30のままですが、30の内、集団投資スキーム(Collective Investment Scheme)である所謂ファンドの総数は15までという制限が新たに追加されます。


②は、顧客タイプはQualified Investorsのみですが、数の制限はなくなります。



尚、従来の(顧客の数・タイプに制限が無い)CMSライセンスホルダーは、

③「Licensed Retail FMCs

というカテゴリーに変わります。


一般的にシンガポールの行政当局は、自由な経済活動の阻害要因となるような規制は課さないのですが、さすがに昨今の国際的な金融ビジネス規制強化機運のある中、かなりの熟考と調整の上で今回の規制案を出してきた模様です。
08年12月のバーナード・マドフ事件発覚後、09年春に初めての全EFM一斉立ち入り検査を実行したMASは、昨年秋にも新規制案を出すものと見られていたのですが、漸く半年遅れで今回案が出てきたところにもそのあたりが伺えます。


さて、今回導入予定の規制レジームを夫々のカテゴリー毎に大雑把に要約しますと以下の通りとなります。



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Competency」という専門性を問う切り口、「Business Conduct」という基本的な業務遂行の仕組みのあり方を問う切り口、更に「Capital」という最低Net Wort維持で会社の安定性を問う切り口の、主に3つの切り口に焦点をあてたAdmission Criteriaとなっています。


(スケジュール)

パブリックコメントが5月31日で締め切られ、法制化(施行)までに約一年要するものと見積もられています。

更に法施行後6ヶ月間の移行猶予期間が設定される事になっており、都合18ヵ月後が最終変更締め切りになる模様です。


現在の国際的なスポーツイベントといえば、やはり「オリンピック」に、サッカーの「ワールドカップ」といったところが筆頭格でしょうか。


その経済効果と政治効果からして、今や巨大なビジネス・産業であり且、格好の政治イベントとなっています。


二年前の北京オリンピックは、まさにその勢いを増す大国中国の象徴的なイベントとなりました。
今年6月から南アで開催されるワールドカップはアフリカ大陸初の開催という事もあり、世界の注目を集めています。


しかしまあ、そういった意味では、2014年のワールドカップと2016年のオリンピック(リオ)が続いて開催されるブラジルっていうのはすごい存在ですねえ。今後益々南米の存在感が増してきそうです。


さて、そういった中、今年8月14日から26日の12日間の日程にて、当地シンガポールで第1回「ユースオリンピック」(The Youth Olympic Games (YOG))が開催されます。http://www.singapore2010.sg/public/sg2010/en.html


とはいえ、そもそも「ユースオリンピック」って何?という方が大半でしょうし、そんなものの第1回が今年8月にシンガポールで開催されるという事を御存知の方は極めて稀のようです。


当地のシンガポーリアンにおいてすら、「知らない」、あるいは全く「気に留めていない」という人が結構多そうです。


まあ、そのくらい注目されていないスポーツイベントのようですが、「ユースオリンピック」のプラン自体は、国際オリンピック委員会(IOC)のジャック・ロゲ会長によって2001年に提案され、2007年7月6日のグアテマラシティにて開催された119回IOC総会にて正式に了承されたもののようです。


2007年11月時点での夏季の初回開催都市候補はアテネ、バンコク、シンガポール、モスクワとトリノの5都市であったものが、2008年1月にはモスクワとシンガポールに絞り込まれ、2008年2月21日にシンガポールに決定された、という経緯になっています。


一方、冬季(2012年初回開催予定)の方は、2008年9月2日時点ではハルビン、インスブルック(オーストリア)、クオピオ(フィンランド)とリルハンメルの4都市が候補として挙がっていたものが、2008年11月にインスブルックとクオピオが残り、2008年12月の段階でインスブルックに決まっています。


なお、2014年に行われる第2回夏季ユースオリンピックの開催都市には南京が選ばれています。


さて、ユースオリンピック(YOG)は、14歳から18歳までの年齢層を対象とした青少年向けオリンピックであり、通常のオリンピックと同様夏季・冬季共に4年毎に行われます。競技参加者は、14と15歳、そして16から18歳といったように年齢でグループ分けされるとのことです。


で、ふと不思議に思ったのですが出場競技者選定は通常事前(例えば最短でも1年とか18ヶ月前)に行われるのでしょうから、これはつまり12歳とかの時点で競技者として選ばれる可能性があるという事であり、まあそれはそれで結構な話ではあるのですが、例えば競技開催日程あるいは自分の参加する競技開催日自体が自分の誕生日の前か後かで参加グループカテゴリーが変わるとか、更に言うと19歳になってしまい資格がなくなるとかいう事態にはどう対処するのか。余計なお世話ではあるのですが気になってしまいます。


まあ、いずれにせよ10代というのは伸び盛り。一年毎どころか日々変化していっている時期ですので、

出場競技者選定方法の工夫が問われそうです。


年齢制限に加え、ユースオリンピックが通常のオリンピックと違う点としては、「国旗や国歌が用いられない」ということでしょうか。


メダル授与式ではオリンピックシンボルの旗やオリンピック賛歌が使われるということです。
(通常のオリンピックの表彰式では金銀銅それぞれの国歌が流されていたような気がするのですが、ユースオリンピックでは同じ賛歌を3回聞かされるのでしょうか?それとも賛歌に3つのバージョンがあるのか?はたまた曲は一回しか流されないのか?・・・謎です)


又、ユースオリンピックの 開催都市選定に当たっては、「競技は既存施設で開催されなければならず、一時的な選手村等を除いて新規施設の建設を行ってはならない」という原則が働いているようです。


従って、通常のオリンピックに較べると低予算となっており、シンガポールユースオリンピックの予算はUS$75.5百万ドルと見積もられています。

オリンピック収入の主たる部分は放映権料とスポンサー(国際及び国内)収入が占めるわけですが、国際スポンサーの顔ぶれはコカコーラ、マクドナルド、VISAといった常連に加え、Samsung 、Acerといった新興企業が目に付くところでしょうか。日系企業ではPanasonicがいます。

http://www.singapore2010.sg/public/sg2010/en/en_about_us/en_mkt_partners/en_worldwide_olympic_partners.html

一方、国内スポンサーはChangi Exhibition Centre、DBS、Fairmont Singapore、Singapore Airlines、SingTelといったシンガポール企業が主になるのですが、日系企業で唯一Pilot Penが名を連ねていました。

http://www.singapore2010.sg/public/sg2010/en/en_about_us/en_mkt_partners/en_partner.html


約70億円の予算規模を大きいと見るか小さいと見るかは、意見が分かれるところでしょうが、オリンピックの商業化に拍車をかけた84年のロスオリンピック以降、回を追う毎にその予算規模を膨れ上がらせてきた通常のオリンピックに較べると圧倒的に低予算である事は間違いありません。


*参考までに1993-1996年(アトランタ)から2005-2008年(北京)までのRevenue推移は以下の通り。

アトランタの26億ドルから北京の55億ドルと12年で倍以上の約5000億円の規模になっています。

注:オリンピックのスポンサーは最短4年単位でしか契約できなく、IOCの収支も4年単位で考えられているようです。

http://www.olympic.org/Documents/fact_file_2010.pdf



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さて、
参加予定国数:170(因みにIOC加盟国数は205)
参加予定競技者人数:3,600人
競技数:26スポーツ31種目
メダル数:184
という規模で行われる第1回ユースオリンピックゲーム、シンガポール大会!

実は個人的には結構楽しみにしています。
(尚、通常競技観戦の入場料ですが$10-$30(\700~\2,000程度)といったところです。http://www.singapore2010.sg/public/sg2010/en/en_tickets/en_competition_schedule_and_prices/MainPar/01/text_files/file0/singapore2010_ticketing_sales_guide_v1_4.pdf


因みに大会 マスコット ですが、炎を司った雄ライオンが Lyo、水を司った雌ライオンがMerly です。。


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シンガポールの2010年度予算におきましては、向こう10年間の経済改革に必要な国全体としての「能力」を築き上げる事に焦点が当てられており、経済戦略委員会(ESC*注1)より提出された戦略計画にもとづき、
「技能(Skills)、革新性(Innovation)、生産性(Productivity)に根ざした新しい経済成長の方向性に舵を切る。」
という事が明確に謳われています。


*注1:経済戦略委員会(ESC:Economic Strategies Committee)
http://www.esc.gov.sg/index.htm
2009年5月に発足した委員会でシンガポールの国家成長戦略を担う委員会です。
今回の政府予算はこのESCの提言を受けた形で編成されており、今後のシンガポールを見ていく上でESCの動向がまさに鍵になりそうです。
(ESCの提言内容・戦略計画はhttp://www.esc.gov.sg/attactments/ESC%20Report.pdf
シャンムガラトナム財務相を委員長に政府、労働団体、民間企業等からの25人の委員で構成されており、特に民間企業からは製造業、サービス業、外国企業、国内企業、大企業、中小企業と幅広く14名の委員が選ばれています。
8つのサブ・コミッティーから構成されており、全てのサブ・コミッティーがPUBLIC SECTOR 、PRIVATE SECTOR 双方のCO-CHAIRで構成されています。
http://www.esc.gov.sg/about_subcommittees.html
外国企業としてシーメンスとかプロクター・ギャンブルとかいった有名企業と並び、聞いた事も無い企業も名を連ねており面白いです。
(一体、こういう人事って誰が決めるのでしょうねえ?)


さて、具体的な予算配分としては、企業と労働者の生産性向上に5年間で55億Sドル(ばくっと約4000億円*注2)が計上されています。

(*注2:シンガポールの人口は日本の約30分の一ですから、日本円換算で考える場合は12兆円と考えるといいのでしょうか?尤も、予算執行における日本とシンガポールの効率性の違い(政官業中抜き問題)を考慮すると実質効果は数字以上に大きいと考えられます。)


研究開発(R&D)の商業化、海外進出・海外業務強化を図る企業を後押しすると共に経済全般を再構築し、高付加価値産業への移行、効率の低い産業からの脱却を図る、と方向付けられています。

「生産性・革新クレジット」計画を設け、業務内容の向上、価値創造につながる活動(R&D、知的財産の取得・登録、自動化など)に投資する企業に税控除が適用されます。
(控除額は費用の250%(現行は100%)。適用期間は2011~15課税年度。)

他にも、


○労働者の技能向上支援

労働者の能力向上では、継続学習・訓練(CET)計画を推進。予算は5年間で25億Sドル。高齢、または低賃金の労働者を特に配慮したもので、勤労福祉所得補助(WIS)計画を補うものとして3年の時限措置で、勤労福祉訓練計画(WTS)を導入。
受給資格は35歳以上。
 
WTSでは従業員が訓練を受けている期間の賃金と訓練費用の90~95%を雇用主に助成。
訓練を受ける労働者にも修了時に給付金を支給。WISの給付額も増額。


○合併・買収の後押し

企業買収は費用がかかることを考慮し、5年間の時限措置で買収費の一部について税控除を認める。
割合は5%で、買収代金が5,000万Sドルであれば、買収側の企業は250万Sドルを課税所得から控除できる。
未上場株の移転に対する印紙税も免除。


○ハイレベル委員会の設置

生産性向上努力を調整し、継続学習のための包括的制度の策定に当たる組織として、政労使で構成する全国生産性・継続学習協議会を設置。
委員長はテオ副首相(昨年副首相に抜擢された1954年生まれの注目政治家です)。
 
税制措置を補うため国家生産性基金(当初基金は10億ドル)を設け、企業、産業ごとの生産性改善を資金面から支援。特に生産性改善の余地がある建設業を視野に、土木、建設面の能力向上、新技術投資などを後押し。


○土地利用効率の引き上げ

工業用地の利用効率を高めるため土地高度化控除(LIA)を導入し、現行の工業ビル控除(IBA)を廃止。規定の容積率を達成、または上回った企業に、建設費に対し税控除を認める。


等々色々あるのですが、そういった中で目を引く、というか意見が分かれデリケートな問題として議論されるものとして


外国人労働者雇用税の引き上げ


があります。

現在、全労働力の3分の1近くを「外国人労働者」が占めているわけですが、この肉体労働中心の外国人労働者の雇用に当り雇用企業に対して、3年かけ雇用税を段階的に引き上げる、としています。
但し一方で、(ここが微妙なさじ加減なのですが)絶対数を制限するクオータ制は導入しない、としています。
 
ワークパミットの労働者雇用税は7月1日付で10~30Sドルの引き上げ。11年と12年にも引き上げ3年間の合計で平均100Sドル引き上げられます。
 
Sパス所持者の雇用税は同日付で50Sドルから2種に分け、100、120Sドルとなり、12年にはそれぞれ150、250Sドルまで引き上げるとしています。


この措置は明らかに、単純労働低賃金外国人労働者の流入の制限効果になるわけですが、
シンガポールの過去10年の年率5%の経済成長は、その多くが外国人を含む労働力の拡大によってもたらされており、その事実を鑑みると今回のこの措置は意外に負の波及効果(波紋)がではしないかと気になるところです。