シンガポール通信 -16ページ目

シンガポール通信

Uniquely Singapore
with Global View

○2009年度review


2009年度のシンガポールのGDPは-2%の(マイナス)成長となりました。


尤も、2009年度予算作成時のGDP成長率政府見通しが-5%~-2%でしたので、その意味ではマイナス幅自体は政府予想の下限に収まったことになります。


実際に景気は昨年夏~秋にかけ回復基調に入り、失業率はピークとなった09年第3四半期の5%から足元は3%にまで改善。銀行貸し出しも昨年11月より増加に転じてきています。

実体経済の落ち込みが当初政府予想の下限あたりで収まった結果、財政収支尻も基礎収支で当初予想のS$149億の赤字からS$85億の赤字(GDP比3.3%)となり、国のネット投資収益繰り入れ後の収支尻では当初予想のS$87億の赤字からS$29億ドルの赤字(GDP比1.1%)となりました。



○2010年度見通し


2010年度のシンガポールのGDP成長率政府見通しは+4.5%~+6.5%とされています。


尤も、先般発表された民間エコノミストの予想平均は+6.5%でしたので、政府予想は若干保守的な数字を使っているようです。(尚IMFによる2010年度の世界全体のGDP成長率は+3.9%と現在予想されています。)


又、2010年度は2009年度のマイナス成長の反動から成長率は上方バイアスがかかるものの、将来の持続可能な健全な経済成長は年率+3%~+5%としています。



○2010年度予算の特徴


前回もご紹介しました通り、一言で言うと

「向こう10年の国家目標が掲げられた。」

という事かと思います。


即ち、2010年度予算のキャッチコピー


TOWARDS AN ADVANCED ECONOMY:
SUPERIOR SKILLS, QUALITY JOBS, HIGHER INCOMES


に示されているように、(早い話、)今後のシンガポールは、
労働者の技能・レベルを上げて、仕事そのものの質を向上させ、より高い収入が得られる先進経済(ADVANCED ECONOMY)を目指す。
というものです。


数値目標として
・向こう10年にわたり年率2~3%の「生産性」の引き上げを目標とする。(結果として)
・10年後の実質収入を現在より1/3上昇させる。
としています。


予算スピーチの中で述べられているように、30年前1980年のシンガポールの「生産性」は世界のリーダー国の20%であったものが今日では60%にまでキャッチアップしてきているものの、この間の生産性の上昇率は80年代が年率5%、90年代は3%、2000年代は1%と経済が高度化してくると共に低下してきています。

又、日本では余り知られていないようですが、シンガポールの国民一人当たりGDPは既に日本を上回っておりアジア太平洋圏では豪州の次です。
尚、購買力平価ベース国民一人当たりGDPを使うと豪州も抜きさり、カタール、ルクセンブルグに次ぐ世界第三位(2008年度IMF http://www.imf.org/external/data.htm 因みに日本は25位。)と既に世界トップクラスです。

この事実を踏まえますと今回設定されたこの目標は決して容易に達成できるものではなく、かなりアグレッシブなものといえそうです。


グラフ(GDP Per Capita PPP)



シンガポール通信

去る2月22日にターマン・シャンムガラトナム財務相より2010年度(10年4月~11年3月)シンガポール予算案が発表されました。
(シンガポール予算ウェブサイト御参照
http://app.singaporebudget.gov.sg/budget_2010/default.aspx )


凡そ、国民にとって最も重要な政府アナウンスは、(例えば”宣戦布告”等の非常事態を除きますと)とりもなおさず「予算」ということになります。


シンガポールの予算年度は日本と同様(というか英国と同様といったほうがいいでしょうか)4月に始まり3月に終わります。

従い毎年2月下旬頃(注)に発表されるシンガポールの翌年度国家予算スピーチは、8月9日の独立記念日(ナショナルデー)の首相演説と並びシンガポール国民の注目をあびます。


(注)昨年の2009年度予算につきましては、それこそ「過去に例の無い世界経済危機」に対応した「過去に例の無い措置を盛り込んだ」緊急経済対策予算であった為、通常時より一ヶ月前倒しの1月に発表されました。


さて、シンガポールの予算案には、作成側である政府の方針を現したキャッチコピーがつきものになっています。

今回の2010年度予算のキャッチコピーは、


TOWARDS AN ADVANCED ECONOMY:
          SUPERIOR SKILLS, QUALITY JOBS, HIGHER INCOMES


です。


因みに昨年2009年度予算のキャッチコピーは


Keeping Jobs, Building for the Future


というものでした。
(危機感が現れていて「いかにも」っていう感じですねえ。)


面白かったので過去の予算案のキャッチコピーを調べてみますと以下の通り。


2008年度
「Creating a Top Quality Economy, Building a Resilient Community」

2007年度
「Ready for the Future, Ready for the World」

2006年度
「Building On Our Strength,Creating Our Best Home」

2005年度
「Creating Opportunity, Building Community」

2004年度
「Building a Future of Opportunity」

2003年度
「Seizing Opportunity in Uncertainty」

2002年度
「A Budget For a Different World」

2001年度
「Entering The New Millennium : A Place For Everyone」


こうやってみてみますと、各年度予算のキャッチコピーがいかにも夫々の時代状況を反映したものになっている事が伺えると同時に、今回の2010年度予算のキャッチコピーが(単に過去10年の中で最も字数が多いという瑣末な発見ではなく、又)昨年度とはニュアンスがうって変わったというだけでもなく、この10年の中では今まで以上により具体的にシンガポールが将来向かうべき(と政府が思っている)方向性を明示した感があります。


昨年度の政府予算は、(それこそ)「過去に例の無い世界経済危機」に対応したもので、「レジリエンス(回復)パッケージ」と冠された(政府貯蓄の初の取り崩しを伴う)205億Sドル規模の緊急景気対策が盛り込まれ、税還付等の国民への直接給付、あるいは企業のシンガポール国民の雇用継続支援目的での「Job Credit」スキーム等々という新たな試みが導入され国民への直接・間接の判り易いベネフィットがあったのに対し、今回の予算ではそういった「直接」国民に跳ね返る追加政策は組み込まれてはいません。


従いまして昨年度との比較と言う意味で、単に「インパクトに欠ける予算」として捉えられている向きがあるのですが、

今回の予算の特徴はそのキャッチコピーが示しているように、一言で言うと

(向こう10年を見据えた)「生産性の向上


を目指すもので、その結果としての


実質所得の向上


が目標として掲げられており、シンガポールという国の今後の方向性を打ち出したと言う意味では大いに注目されます。


今回の予算においては、

向こう10年にわたり年率2~3%の生産性の引き上げが掲げられており、これが達成された場合10年後の実質収入は現在より1/3上昇する、と見込まれています。

ASEAN10カ国のうち、現在6カ国に証券取引所があります。


設立順にいいますと、(意外な事に?)フィリピンが最も古く戦前の1927年の設立です。
次がタイの1963年。マレーシアとシンガポールは元々同根で1973年。続いてインドネシアが1977年。
そして暫く時を経て2000年にベトナムがホーチミン証券取引所を開設(ハノイ証券取引所は2005年開設)し、現在計6カ国となっています。


尚、カンボジアとラオスが、今年2010年中の証券取引所開設を計画しておりますので、仮にそれが実現されると8カ国になります。


ただ、ASEANの各取引所規模は日米欧先進国市場あるいは中国、インド、ブラジルといった新興大国とは較べるまでもなく、韓国や台湾といった他の東アジア市場と較べても未だ大きく見劣りするのが現状です。


因みに、WFE(国際取引所連合)http://www.world-exchanges.org/ のデータによりますと、09年末現在のWFE加盟52取引所に上場されている企業総数は約4万5千社で、その時価総額合計(USドル換算)は約47兆ドルとなっています。


主要取引所(時価総額上位10取引所)別内訳は、以下の通り。

シンガポール通信




尚、ベトナムを除くASEANの主要5取引所別内訳は以下の通り。

シンガポール通信




ASEANの個々の取引所規模は小さなものではありますが、こうやってASEAN全体として合計してみますと、時価総額で全世界の3%インド/Bombay SE、ブラジル/BM&FBOVESPAと同規模)、上場企業数では7%(日本の東証1部・2部・マザーズ合計の2335社を上回る2913社)を占めますので、それなりのサイズとは言えそうです。


又、少々乱暴な計算ではありますが、時価総額を上場企業数で単純に割った一社当り時価総額単純平均を見てみますと、ニューヨーク証券取引所(あるいはブラジル/BM&FBOVESPA)には、いかに大型株が多いかが見て取れるように、ASEANは(インド/Bombay SE同様)いかに小型株が多いかがお分かりになろうかと思います。