○2009年度review
2009年度のシンガポールのGDPは-2%の(マイナス)成長となりました。
尤も、2009年度予算作成時のGDP成長率政府見通しが-5%~-2%でしたので、その意味ではマイナス幅自体は政府予想の下限に収まったことになります。
実際に景気は昨年夏~秋にかけ回復基調に入り、失業率はピークとなった09年第3四半期の5%から足元は3%にまで改善。銀行貸し出しも昨年11月より増加に転じてきています。
実体経済の落ち込みが当初政府予想の下限あたりで収まった結果、財政収支尻も基礎収支で当初予想のS$149億の赤字からS$85億の赤字(GDP比3.3%)となり、国のネット投資収益繰り入れ後の収支尻では当初予想のS$87億の赤字からS$29億ドルの赤字(GDP比1.1%)となりました。
○2010年度見通し
2010年度のシンガポールのGDP成長率政府見通しは+4.5%~+6.5%とされています。
尤も、先般発表された民間エコノミストの予想平均は+6.5%でしたので、政府予想は若干保守的な数字を使っているようです。(尚IMFによる2010年度の世界全体のGDP成長率は+3.9%と現在予想されています。)
又、2010年度は2009年度のマイナス成長の反動から成長率は上方バイアスがかかるものの、将来の持続可能な健全な経済成長は年率+3%~+5%としています。
○2010年度予算の特徴
前回もご紹介しました通り、一言で言うと
「向こう10年の国家目標が掲げられた。」
という事かと思います。
即ち、2010年度予算のキャッチコピー
TOWARDS AN ADVANCED ECONOMY:
SUPERIOR SKILLS, QUALITY JOBS, HIGHER INCOMES
に示されているように、(早い話、)今後のシンガポールは、
労働者の技能・レベルを上げて、仕事そのものの質を向上させ、より高い収入が得られる先進経済(ADVANCED ECONOMY)を目指す。
というものです。
数値目標として
・向こう10年にわたり年率2~3%の「生産性」の引き上げを目標とする。(結果として)
・10年後の実質収入を現在より1/3上昇させる。
としています。
予算スピーチの中で述べられているように、30年前1980年のシンガポールの「生産性」は世界のリーダー国の20%であったものが今日では60%にまでキャッチアップしてきているものの、この間の生産性の上昇率は80年代が年率5%、90年代は3%、2000年代は1%と経済が高度化してくると共に低下してきています。
又、日本では余り知られていないようですが、シンガポールの国民一人当たりGDPは既に日本を上回っておりアジア太平洋圏では豪州の次です。
尚、購買力平価ベース国民一人当たりGDPを使うと豪州も抜きさり、カタール、ルクセンブルグに次ぐ世界第三位(2008年度IMF http://www.imf.org/external/data.htm
因みに日本は25位。)と既に世界トップクラスです。
この事実を踏まえますと今回設定されたこの目標は決して容易に達成できるものではなく、かなりアグレッシブなものといえそうです。
グラフ(GDP Per Capita PPP)
