こんにちは。
あおい堂鍼灸院の今泉です。

 

 

円形脱毛症は出鱈目に脱毛部が発現するようでいて案外法則性が有るといつも個人的に感じています。本日の記事ではその中でも側頭部である耳の上辺り、難しく言えば『鬢(びん)』の脱毛について実際の症例を併せて書いてみたいと思います。

 

側頭部が抜ける場合の円形脱毛症はタイプ分けするならば蛇行型円形脱毛症です。

蛇行型は一般的に円形脱毛症の中でも治るのに時間を要するタイプです。蛇行型は側頭部、うなじ、前髪部分など、頭に鉢巻を巻いた時に鉢巻で覆われる部分が脱毛するタイプと云えます。しかしそのようなステレオタイプの蛇行型とは言えない場合でも耳の周辺や項のみが抜けてしまう事もあります。こちらは蛇行型なのか個人的に疑問ではありますが医師によっては耳の周辺に小さな脱毛部が一つ現れただけでも蛇行型の診断をする場合もあるようです。

 

 

では実際の症例をご紹介します。

患者様は50代男性です。かれこれ15年程度の円形脱毛症歴をお持ちで、数多くの脱毛部が現れては治ってを繰り返されてきたそうです。左耳の周辺の部分は円形脱毛症発症初期に現れてから髪が生えることなく今に至るそうです。円形脱毛症歴も長いため多くの治療法を試されてきましたが現状に至ります。現在病院の治療も含め積極的には何もしていない。

そして実際の状況はこのような感じです。

左側頭部、耳の上の部分が脱毛してしまっています。
この形状は本当に多いと感じます。今までの私の経験則ではこの部分の脱毛は耳の上辺り、またはもみあげの耳側、耳の後ろ辺りから発生し始めて後頭部側またはお顔の方へ拡がっていく事が多いように感じます。もみあげから始まった脱毛が耳を超えて後頭部側へ拡がっていく事は今まで確認した事が無いです。全て耳を中心とした場合前方か後方へと拡がってきます(単発の脱毛部が拡がる場合は)。この辺りは過去記事で書いた「つむじの法則」に似た感じが耳についてもあるように思えます。
 
そしてこの人の状況としては円形脱毛症以外に目立つ傷病は花粉症程度。一応ストレスについてもうかがいましたが仕事や日常生活を営んでいれば普通に色々あるといった具合でした。
 
そして実際に施術するに至り私の証立て(東洋医学上の見立て)と観察をいくつか。
脈診については左手の寸と関の脈が非常に弱い、脈状は滑脈(かつみゃく)。舌診は赤味がやや強く暗めの色調。舌につく唾液はやや少なめ。舌苔は自らお手入れで掃除されていて分からず。
舌の形状はやや細めで歯痕(舌につく歯の形跡)なし。
視力は0.0幾つと云った感じで明確ではないものの良くは無い。
虫歯は現状無だが以前に歯の矯正をしていた。
瞳の色は黒色だがやや薄め。
匂いはやや酸と脂の感じ(異常なし)。
深爪をされていて耳かきが好き。
後頭部頭蓋骨の付け根と頸椎と胸椎(背骨の上方)の脊際(背骨の際)に鉄板が入っているかと感じてしまうような非常に強い筋肉のコリあり。
足のむくみ強い。
 
 
などなどここに書ききれない色々な要素をおうかがい、または勝手に観察しています。
そして掻い摘んで私の証立は『肝鬱気滞』としました。
すっごく飛ばして説明するとまず脱毛部が足少陽胆経の流注(るちゅう:気の通り道)である事と左脊際のコリは「気」の実と捉え、「気」が左側に偏っていると診ました。足少陽胆経の失調であるといっても直接的に胆のうが悪いわけではありません。東洋医学上、胆のうは「中正の官」と呼ばれ身体の中心に位置する事から左右のバランスをとったりもする(少陽経)働きがあります。脊際の偏りも少陽経の失調と捉えました。それ以外に様々見聞きした情報は全てがピッタリ当てはまるわけでは無いのですが足少陽胆経の失調を裏付ける事柄と見ました。これで押さえるべきツボは少陽経を中心としたものに成ります。
 
そして今度は東洋医学を離れて西洋医学的な解釈です。
まず長いキャリアでもずっと改善しなかった部位が身体の中でどのような意味合いを持つ部分かを改めます。そうすると脱毛部の部分はちょうど側頭筋というアゴを嚙みしめるための筋肉のある部位です(やや大きいが)。
ここの部分が脱毛しているという事は形の一致のみの弱い関係性ですが側頭筋の異常(コリ)を疑います。そしてこの部位が関わる筋肉は側頭筋のみではありません。過去記事『T・P』で書きましたが関連痛と呼ばれる現象があります。そしてこの耳の上辺りに影響を及ぼす筋肉は頸板状筋と頭板状筋です。実際に頸板状筋・頭板状筋に触れてみると脊際に負けず劣らずバリバリに硬くコッテいます。
※トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル(医道の尾より引用
上記画像の赤く似られた部分を足すと当該本件の脱毛部の形に相似していると思えます。
 
そこで施術としては足少陽胆経を中心としたツボの異常を探り「気」の偏在を解消させると共に脊際と頸板状筋のコリを中心に改善させる策を練りました。
 
では飛ばし飛ばしですが時系列でみてみたいと思います。
実際の施術は2週間に1度程度(抜け毛が一段落していた為)の間隔です。
最初の画像から2カ月程度です。大きくは変わりませんが耳の後ろ方面と前側斜め上方に少し産毛が増えたかな?程度の変化です。
では次。
かなり飛びましたが7か月後です。写真のアングルはやや後ろから撮影したものです。耳の後ろ近辺(写真の中央)は眼に見える産毛が長くなってきていますが写真の右上方は新たに抜けてしまった部位があります。ここは頭板状筋という筋肉と大後頭神経の交わる部位を中心に施術していきました。このように施術を開始したら万事治る一方というわけには残念ながら成らないのです。言い訳じみていますが治りながらも小規模に発症して治って……を繰り返しつつ全体の脱毛が縮小していく事が多いです。もちろんメキメキと治る場合もあります。特に中学生くらいまでの方にはその傾向も多いのですがこちらもまた落とし穴のようなものが有ったりすることがあります。その落とし穴はまた別の記事でご紹介します。都合が良いと思われるかも知れませんが、どのような治療でもアナログな体調を扱う治療について一時の不調で全てを決してしまうのは尚早である場合があるとだけお話させてください(矛盾しますが同時に見極めも大事)。
 
そして次です。
3カ月経ちました。
前回新たに抜けた部位は中心を残して周囲は新しい産毛で埋まりました。
そして当該本件である耳の周辺は耳直上より後方は埋まりました。残すはもみあげを中心とした部位です。
半年後です。
私にはだいぶ良い感じに見えます。耳の斜め前方のみ残し他は生えています。
この頃はお仕事が忙しく施術の間隔が2週間から3週間、時には4週間位あく事が多くありました。
更に半年。
まだ髪の太さが回復したとは言えないのですが纏まった脱毛部は脱却したように思います。
2カ月後です。
もう少し髪の太さなど改善する余地がありますがお仕事の都合で引っ越されるのでこちらでの施術は最終回でした。ちなみにこの時の全頭の様子は髪を細かくかき分けると小豆大の脱毛部が幾つかあるかな?どうかな?位の感じでした。
 
 
最初の写真から2年4カ月経ておおよそ通常に戻りました。蛇行型的な円形脱毛症でそれ以前に15年以上変わらなかった状況からの2年4カ月。
この期間を長いと感じられるかどちらかと云えばマシな期間?と感じられるかは皆さんそれぞれのご経験によってずいぶん評価が異なると思います。
ただいろいろな円形脱毛症に接してきている私の経験から言えば円形脱毛症の治りやすさ難さは脱毛面積だけで推し量れるものでは無いという事です。大きくても数カ月でパッと治る場合もあれば、小さな脱毛部がどれだけ時間をかけても変化しない場合もあります。
私に関わった全員を治せてきたわけではありませんが、それでも言える事はよくよく観察すると何かしらのヒントや身体の訴えのようなものがあると感じています。
その一助に成れれば幸いです。
 
良ければ参考にしてみてください!
 
 
≪参考過去記事≫
 

 

 

 

 

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