『つむじ』の法則

こんにちは。

あおい堂鍼灸院の今泉です。

円形脱毛症は頭のどこにでも発生しうる病気です。しかし経験則からですが発生する場所にはそれなりの法則があると私は考えています。法則が発動するケース、実は幾つかあるのですが今回は『つむじ』に関する内容をご紹介したいと思います。

つむじは基本的に（きっと）誰でもある部位なのではないかと思います。頭頂部付近に１つ、ないし２つ、はたまたそれ以上ある事も存在します。そしてこの部位も脱毛部が発生する事があります。頭頂部付近なので非常に隠しづらくビジュアルを保全するには厄介な場所です。そしてこのつむじの存在する頭頂部付近に脱毛部が現れた時、つまりまだ全頭脱毛に至っていない時なのですが抜け方に法則があります。

結論から言えばつむじに接した脱毛部は①つむじの中心から抜けて同心円状に広がるか、②円グラフ状に形成されていきます。

すこし想像し辛いかもしれません。

①について説明

つむじの渦または放射状の中心点が丸く大きくなる抜け方です。

この場合、中心点の脱毛部は単体で言うならば結果としてあまり大きくならない。

例えるならばパソコンのキーボードのキーの１つよりもやや大きくなるか否かで広がりが止まる。

そして形は単純な丸である。

はたから見ると通常よりも目立つつむじという感じである。

②について説明

円グラフ状というのはつむじを円グラフの中心と見た時に脱毛部はその中心点（つむじ）を頂点に外側に広がる。

大きさや広がり方はバラバラだが中心点のつむじを越えて反対側にまで単体で広がる事は無い。

①はなんとなく想像つきやすいかも知れません。つむじが大きくなるのを想像していただければそのイメージでよいです。

②は更に補足いたします。

円グラフというのはこういう物です。

中心を軸に円の外側をどれだけ占めるかでグラフとして見やすくできています。

円グラフの中でAという要素が有ったとしたらAは円グラフの中心点を越えて円の反対側迄Aという要素で占める事はありません。９９％がAだったとしても中心点とA以外の要素の部分は残ります。この円グラフの様ににつむじの周辺に現れた脱毛部はつむじの中心を侵食することは無いのです。

脱毛部がつむじ付近に多発した場合、もしくは同時に①のような脱毛部が現れだした時には最終的につむじを消失してしまう事もありますが、その場合はA（元の脱毛部）が広がるのではなくてBという要素（新たな脱毛部）が現れてつむじを消失させるわけです。

この現象はどうした事なのか。

私が思うにやはりこれは頭皮の解剖学的な要素が円形脱毛症の発症に大きく関与していると観ます。

過去記事『円形脱毛症を有線かWi－Fiかで言うならば……』でも書きましたが円形脱毛症の根源的な原因は血管や神経などの所謂「有線」なのだと思います。Wi-Fiが根源的な原因ならばこの様に部位や形の法則は言えないと感じます。Wi-Fiである免疫は狂っていない。Wi-Fi（免疫）が病理に関与するにしてもまず神経や血管が最初の原因を作り上げていると思います。

これはどこの本で読んだことなのか失念してしまいましたが『つむじ』は母親の胎内で毛包が形成される時、一番遅く毛包ができあがった部位がつむじだと読んだ記憶があります。出典を忘れてしまったのでもしかしたら違うかも知れませんが。しかし、つむじという他の頭皮と明らかに異なる形状であり、尚且つ発生学的にも最後発の毛包という特異点であるならば何かしらの解剖学的な差異が円形脱毛症の発症に関与していると考えても何ら不思議はないと思います。

そしてつむじは脱毛部の形の法則があるだけではありません。

実は病勢を占ううえで非常に参考に成ります。

特に全頭型からの回復中、産毛が生えて来てつむじの渦が産毛で見え始めるとその時点で回復が本格化してきていると言えます。ただ全頭回復確定というのではなくて、渦が見え始めた時は回復がとても良い調子であるという意味です。全頭で生えてきてはいるものの、抜けてもいるような時、一体回復しているのか悪化しているのか判別付きにくい時があります。またはあまり抜けてはいないものの長期にわたりなかなか回復度合いが進まないような時、つむじが回復するとその後良い速度で回復する現象が見受けられます。逆につむじが完全に回復したものの、しばらく経過した後に再びつむじが抜けて仕舞った場合などは黄色信号です。他が生えてきているとしても悪化確定という意味では無くて病気の勢いが増してきている兆候と捉えた方が良い現象です。鍼灸の世界ならばやはりこの時は刺絡が良いと思います。

如何でしたでしょうか。

普段はつむじと言っても何のために有るのか、何に使えるのか全く想像つきませんが実は髪の生え方に大きく関与していると私は円形脱毛症を通じて考えています。

予言というか目標でもあるのですが円形脱毛症の脱毛部、ここに現れた時は身体がこうなった時、あっちに現れた時はそうなった時と、又はここに現れた時は次はココを警戒すべき、ココとアソコに現れたらどうなるこうなる……逆もまた然り……などの法則性を言えるようにしていきたいと考えています。経絡や内臓を配当した配置図的な資料などは現在でも世間に存在していますがそこまでスッキリと分かれていると感じていないので私は参考にしていません。経絡に関しても大きく見た時に何経（太陽・陽明・少陽・厥陰等）の範囲で現れているからどの方針で施術すべきかを見るのみで、脱毛部が経絡のツボに沿って順に発生していくわけでもありません。現状はまだ言えませんが、ココに現れた時にはアチラにも既にアルというまだぼんやりとした経験則のみです。これは今後精査していきたいと考えています。

ただ現状言える事は脱毛部は出鱈目に現れるわけでは無いという事です。

規則性があります。

ちなみに体毛にもつむじが存在する場合があります。

私の目にする多くは背中の体毛のつむじなのですが、私的には非常に意味深なつむじであると思っています。背中には兪穴（ゆけつ）という種類のツボがあります。その方の証立て（しょうだて：東洋医学上の診断）とつむじの有る兪穴にとても関係の深い場所に存在する事が多いのです。これを施術に用いない手は無いと個人的に思っています。自分の背中を見る事はなかなか無い事ですが一度鏡で見てみるのも良い事だと思います。