- 改造版 少年アリス/長野 まゆみ
(2008) - ¥1,260
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相変わらず雪はほとんど積もらない大阪ですが、みなさんのところはいかがですか?
今日はさすがに手が冷たくて、家の中で洗濯物をハンガーにかけてから外に干して出かけました。
実は私、この方の作品を読むのは初めて。
1988年に「少年アリス」で文藝賞を受賞した著者が、デビュー20周年にあたって書いた"改造版"なんだとか。
私は元の作品を知らないので、どこがどう改造されたのだかわからないんですけれども…
ブックオフで私が脚立を使わないと届かないような場所に並べてあったものを、よっこいしょっと連れて帰ってきました。
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<夏と秋とがすれちがう玄関…"十月さま"の噴水のある場所>
いつの時代と特定はされませんが、主な舞台は木造平屋だての校舎に正面玄関があり、噴水のある中庭をはさんで二階だての校舎とわたりろうかでむすばれた夜の学校。
"蜜蜂"少年は兄にいわれて、教室に忘れた『鳥類生態図解図説』を取りに行こうとして、友だちのアリスを誘います。
アリスはつくりあげたばかりの石膏の細工たまごをポケットに入れ、おともは犬の耳丸。
強がってひとりで行こうとした蜜蜂の後から、蜜蜂のにいさんが放したようです。
学校に着いて誰かの話し声に引かれて理科室をのぞいた二人は不思議な光景を目にします。
逃げ遅れたアリスはその不思議な授業を受けることになり、教室にもどった蜜蜂が本を開いてみると…
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挿画と内容の醸し出す雰囲気に、どこかでこんな空気の話を読んだなあ、と考えて「ああ、宮沢賢治!」と。
あくまで個人的な感想ですので的外れだったらごめんなさい。
このさまざまな植物の挿画も著者の手になるものだそうで、クライヴ・バーカー
じゃないけど、多才な人なんですね。
物語の中にもたくさんの植物が登場し、それぞれに注釈がついて巻末に「少年少女のための『少年アリス』辞典」としてまとめられてあります。
美しい情景の中に、どこかしこりの残る結末。
あの後、あの子は…心にそんな想像の芽を植える物語です。
- 少年アリス (河出文庫)/長野 まゆみ
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