うごかし屋①②/芳崎 せいむ | クロヤギ頭の読まず買い

クロヤギ頭の読まず買い

ちまちまと進まない読書をしつつ、本を買うのは止められない。

こんなに買っていつ読むん?と自分に一人ツッコミを入れつつ日々を暮らす不良主婦の読書(購入)記録ブログ

うごかし屋 1 (ビッグコミックス)/芳崎 せいむ
(2008.12)
¥550
Amazon.co.jp
うごかし屋 2 (ビッグコミックス)/芳崎 せいむ
(2009.5)
¥550
Amazon.co.jp
これもまたnanikaさんの記事 (『鞄図書館』)をきっかけに読んでみた本。

この前仕事帰りに京橋花月ビルに入っているブックオフまで足を延ばしたら同じ著者の『金魚屋古書店』が売っていて…

やはり本好きなら古本屋をや図書館をネタにした作品って読む前から惹かれるものがありますもんね?

買おうか迷ったのですが、①の次が③しかなかったもので、目先を変えてコチラをチョイス。

ガテンなニイチャンが箪笥や仏像を抱えている表紙やタイトルから想像する通り、「うごかし屋」とはいわゆる引越屋兼便利屋みたいなものなんですが、このニイチャン、家具に限らず、あるいは家具や家財といっしょに、目には見えない"いろんなモノ"をうごかしてしまったりもします。


主人公はうごかし屋の二代目で元銀行員、蘇芳 鉄。


高速で馴染みのデコトラのニイチャンに"マヌケ面の若僧"と評され、両腕の社員(元白バイ警官の東雲・元レーサーの花田)がいないと仕事は休みという一見おっとり型の若社長。


本とは関係ない話かと思いきや、この社長の腹に巻いた帯の中にはいつも本が。


一巻に登場する作品だけ挙げてみると、


『草枕』

『山椒魚』

タゴール詩集『ギーターンジャリ』

『人にはどれほどの土地がいるか』(トルストイ民話集『イワンのばか他八編』に収録)

『風呂敷』(『古典落語 志ん生集』収録)

『O・ヘンリ短編集(一)』

『善蔵を思う』(『太宰治全集3』に収録)


直接話に織り込まれている作品だけでもこんな感じなんで、この若社長が何気に寝転んで読書している1カットでもついそのタイトルに目を凝らしてしまう(笑)


この男臭い職場に花を添えるのが、うごかし屋の番頭の孫・真朱(まそほ)。


実はセーラー服姿で箪笥ひと棹を平気で抱え上げる"戦力"だったりしますが、若いのに骨董趣味があったり風呂敷を器用に使いこなす大和撫子で、人からいろいろな貴重な物を贈られるちゃっかり娘というギャップの魅力的なヒロインです。


「依頼その8 胡粉色の嘘」なんて久しぶりにマンガで泣きましたよ。


それぞれの依頼人の人生にその本の何か、どこか、がうまく絡まってきて、どれもしみじみするいい話になっています。


そうそう、ひとつ書き忘れましたが、このコミックのもうひとつのキーワードは色。


登場人物の名前や各話のタイトルでお気づきかもしれませんね。


山吹、浅葱、鳥の子、珊瑚…七色の箱のお引越は楽しそうです♪