ビルボードパリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)/T.E. カーハート
¥2,100
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暑中お見舞い申し上げます。
皆さんは何か楽器を演奏されますか?
私は幼い頃に少しだけピアノを習ったことがありますが、ピアノの練習より、絵を描いたり、本を読んだりの方が好きな子どもだったので続きませんでした。
しかも音階を覚えるつもりだったのでしょうか、鍵盤に油性ペンで落書きをしてしまい(しかも書いた音がズレていた)、父が白ペンキで塗り潰してくれていた思い出があります。
演奏家の皆さんの日々の積み重ねた努力の賜物でしょうが、いまだに楽器を思うままに操る方を見ると羨ましいなあという気持ちになります。
この本を読み始めた時は小説かと思いましたが、実は著者の自叙エッセイのようなものだと途中で気がつきました。
特にこれといってスリリングな出来事も何も起こらないのですが、小説かと思うほど作中には慌ただしい日常とは違う空気が流れている作品です。
舞台はパリの裏通りにあるピアノ工房。
一見さんお断りの感のあるこの工房に惹かれたパリ在住のアメリカ人(著者)が通い詰め、ようやく中に入ることを許されて工房の主と言葉を交わすようになります。
その工房を訪れては新しい命を吹き込まれ、また去っていくピアノの数々。
またその工房を訪れる様々な人々。
お見合い斡旋のおばちゃん顔まけに、その人にふさわしいピアノを探し出す工房の主によって、著者も自身の愛するピアノを手に入れ、発表会で演奏することを強要された幼い頃とは違った、演奏する楽しみを得ます。
ピアノの構造についてもわかりやすく書かれ、ピアノに限らず物の構造に興味のある男性にも楽しい本ではないでしょうか。
著者は50歳にしてフリーライターやジャーナリストとして転身した人だそうですが、邦訳されているものが他になさそうで残念です。
来月まで仕事関係の勉強会などもあり、またもや本のあまり読めない日々が続くと思いますが、図書館でリクエストした池上永一の『トロイメライ』が届いたので、昨夜から今朝にかけて読んでみました。
こちらの感想はまた近日に。
私も久し振りに日曜のお休みですが、夏休み満喫中の娘はお友だちと外出中、受験生の息子は午後から図書館へ、私は今日はこれから友人の出演するゴスペルのコンサートでビルボードライブ大阪に行ってきます。
猛暑の中、皆さんどうぞご自愛下されたく。
白ヤギさんからお手紙着いた、黒ヤギさんたら読まずに食べた
幼い頃歌った童謡から、届いた手紙を先に食べた黒ヤギは白ヤギより悪いヤツと決めつけていた。失くした覚えもないのに見つからないモノがあれば「黒ヤギの仕業だ!」と…。
今になってよく考えれば相手から届いた手紙を読まずに食べるのなら、手紙を相手に出す前に自分で食べればいいのでは?しかし、ここで食べられてしまったらこんな話も始まらないのね。
実はヤギ族にはお互いに相手にメッセージ付きの食料品のプレゼントを贈る習慣があったのだ。ただし、食べるタイミングが少しばかり早すぎたのである。黒ヤギさん、ずっと悪者扱いしてゴメンよ!
と、そんなことを考えつつ、読まずに食べて「さっきの手紙のご用事なあに?」と訊くヤギと、読んだはずの本の中身を半年も経てばすっかり忘れてしまう私は似た者同士!?
これは烏頭ならぬヤギ頭の備忘録的読書記録。決して書評ブログとはいえませんので悪しからずお付き合いを