日本神話の、こんなお話・・
スサノオは高天原で悪行の限りを尽くしたあげく、神聖な機織り場の屋根に穴をあけ、天の斑馬(ふちこま)を逆さに剥いだ生皮を、その穴から投げ込みました。
(斑馬=毛色がまだらな馬)
機織り娘の「ワカヒルメ」は、その生皮を頭からかぶってしまい、機織り機から転げ落ち、織機りの道具で体を刺して死んでしまいます。
アマテラスはそのせいで、岩戸へ籠ることとなりました・・
これが、あの有名な「天岩戸隠れ」の原因・・ですね! ( ゚д゚)
オレのせい??
この「馬(の皮)」+「娘」という組み合わせ、実はいろいろな物語の中に登場しています。
「蚕馬(さんば)伝説」(中国)
出征中の父の身を案じた娘が、飼い馬に「父を無事に連れ帰ってきてくれたら、あなたの嫁になる」と告げると、馬は本当に父を連れて帰ってきた。
帰った父は、娘と馬の約束を知って激怒し、馬を殺して皮を剥いでしまう。
ある日、娘が馬の皮の側で戯れていると、馬の皮は娘を包み、天に飛んで行った。
その後、馬の皮と娘は融合して蚕となり、大木の枝の間で糸を吐いているのが見つかった。
これによく似たお話。(こちらは「馬の首」ですが)
「馬娘婚姻譚(うまむすめこんいんたん)」
昔、ある農家の娘は飼い馬と仲が良く、ついには夫婦となってしまう。
これに怒った父親は、馬を庭の桑の木に吊るして殺してしまう。
このこと知った娘は死んだ馬の首にすがって泣き悲しんだ。
この様を見た父は、さらに怒って馬の首を斧で切り落とした。
娘は馬の首に飛び乗ると、そのまま天に昇り「オシラサマ」となった。
天に昇った娘は両親の夢枕に立ち、蚕に桑の葉を与えて絹糸を産ませる方法を伝えた。
(オシラサマとは、東北地方で信仰されている、
「家の神」「農業の神」「蚕の神」「馬の神」
ご神体→ 桑の木で作った頭部に紙や布の装束をつけたもの)
馬と娘、二体で一対の「オシラサマ」
ちなみに「千と千尋の神隠し」の「おしら様」はこちら^ ^
↓
大根(農耕)の神さまだそうです
そしてまた、お馴染みの「七夕伝説」には、このようなバージョンも存在します。(中国)
夫婦となり楽しく暮らしていた「牽牛(けんぎゅう)」と「織姫」
天帝の孫だった織姫は、ある日突然天に呼び戻されてしまいます。
悲しみにくれた牽牛に、苦楽を共にしてきた老牛が言いました。
「私の皮をまとって飛べば、天に行けます。
どうぞ私を殺して天に行き、織姫と再会してください」
牽牛は苦悩の末、牛の言葉に従うことにしました。
そして天に昇り、織姫との再会を果たしたのでした。
(「馬の皮」→「牛の皮」 皮を被るのが「女」→「男」となってはいますが、前述の伝説などとシチュエーションが似ていますよね)
(蚕は出てきませんが、「織姫」=「機織り」なので、「絹」→「蚕」・・と関連があるような気がします)
次は、馬は登場しないのですが、「蚕と娘」のお話です。
「金色姫伝説(こんじきひめでんせつ)」(インド)
インドにリンイという大王がいて、金色姫という娘がおりました。
継母(ままはは)の皇后は美しい金色姫を憎み、大王の留守に、四度も姫を殺そうとしますが失敗します。
皇后の悪事に気付いた大王は、姫を桑の木で造ったうつぼ舟に乗せ、逃がします。
舟は茨城県の豊浦に漂着し、金色姫は漁師夫婦に引き取られ、大切に世話をされましたが、病で亡くなってしまいます。
夫婦は姫をしのんで唐櫃(からびつ)を創り、なきがらを納めました。
ある夜、夢の中に姫が現れ、
「私に食物をください。後で恩返しをします。」と告げたのです。
驚いた夫婦が唐櫃を開けると、たくさんの小さな虫が現れ、桑の葉を採って与えると喜んで食べ、成長し、糸を吐きました。
繭が出来ると、筑波山の影道仙人が現れ、その仙人から繭を練り綿にして糸を取る事を教えられます。
・・これが日本の養蚕の始めとされているそうです。
冒頭の日本神話の「ワカヒルメ」は、機織り娘なので、「絹」や「蚕」と関係があるように思えます。
「馬(の皮)」+「娘」=「蚕」?
馬の皮をかぶって死んだワカヒルメ=「蚕」の比喩??
そして、神の衣を織るワカヒルメ(=蚕)は、アマテラスにとって、大変重要な存在だった、と言えるのではないでしょうか!?
( ゚д゚)
重要だったのに・・!!💢
「馬(の皮)」「娘」「蚕」「桑」「絹」「機織り」は、何か関連がありそうなので、これからも考えていきたいです・・^ ^