■過去のANSEM通信より一部抜粋して記載しています■
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female(女性)とtechnology(技術)をかけ合わせた造語「フェムテック」。生理や更年期など、女性ならではの健康問題を技術の力で対応するサービスや製品とともに、成長が期待される市場として注目されつつあります。
去る5月のビューティワールドジャパンでも賑わいをみせていた印象です。
女性の社会進出が進むにつれ、今までタブー視されてきた女性ならではの問題を「仕方がないとあきらめなくていい」と、時代の流れが追い風に。
■女性の体とキャリア
出産が出来ない男性とは違って、女性は体の構造的にも生涯を通じてライフステージに大きな変化が起こりやすい現実があります。
月経、妊娠、不妊、産後ケア、更年期、婦人科系疾患、セクシャルな事柄など、女性の身体なら誰しもが、その体と生活や仕事との狭間で起こる問題に対面することがあるもの。
本調子でない時には仕事もプライベートもパフォーマンスの低下を感じたり、抱えている責任との両立の難しさを痛感することも少なくありません。
■知っておきたい経済産業省の取り組み
日本医療政策機構「働く女性の健康増進調査2018」によれば、働く女性のパフォーマンス低下による経済的損失額は約4900億円にものぼるのだそう。
①女性のライフイベントに起因する望まない離職を防ぐ働きかけ
②人材の多様性を高めながら企業価値の向上を図る取り組みなど
経済産業省は上記のような取り組みを推進していく動きがあります。
ヘルシーに生きていくための工夫は個人を超えて、企業側にも必要であることを感じさせますね。
■痛みの感じ方は人それぞれだから
心と体の性が異なるトランスジェンダーなど、生物学的な女性ではない方にも生理中や生理前後のような体調不良がある場合。
不妊の問題の24~48%が男性側にも存在することなどを考えると、フェムテックが解決に導いていく可能性は女性だけにとどまらないないことを理解できます。
市場は黎明期(れいめいき)、つまり始まったばかりの分野。フェムテック=女性側だけの解決策と捉えないことも大切。
「体調は個人で違いがあるもの」と理解し、自分の体調を平均と思い込んで他人に押し付けたりしないことが必要と感じます。
■フェムテックの広告表示トラブル
市場が広がりをみせるなら、消費者側も企業側も広告表現には十分留意しなければならないことをANSEMご受講の皆様なら敏感に感じ取ると思います。
「医療機器」や「医薬部外品」として厚生労働省の指定がされていないものや、定義の解釈が問題となる製品が存在していることも事実。
体の構造になんらかの変化を与えてしまうなら、医業の領域に。
薬機法上の承認を受けない「雑品」として製造販売される製品でも、体への効果を標榜するのなら医薬品医療機器等法が関係します。
また、先日の「消費者庁から直接学ぶ美容広告」講座でもあったように、使用者による口コミなど悪意のない不適切な表現を放置してしまったことで法律違反になってしまわないよう、個人が基本の知識を持ちつつ、適宜アップデートしていく必要もあります。
新しい産業は、法令遵守もあいまいになりがちなため、選ぶ方の知識が問われます。
◆「研究報告がある」だけで効きめがあると誤解しない。
◆ 治療効果があるものは医療や医薬品となる。
講座でも学びますが、基本の理解を深めておきたいところです。
「国の承認がおいついていない」「これから承認制度が変わる」などの営業トークに十分に気をつけ、承認制度が変わるというなら「変わってから」利用しましょう。
■健康・ウェルビーイング(心身が満たされた状態) とは
最後に、ウェルビーイングについて。
世界保健機関(WHO )では「健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態にあること」とされています。
どのくらい満たされているかの指標はなく、常日頃から個人が「よく在る」「よく居る」状態を実現することで、社会が変わることを目指しているものです。
体の構造が女性だから仕方がない・・・ではなく、女性それぞれも「状態」が違うし、誰かに相談するのが難しかったこともたくさん。
我慢することが「満たされている状態ではない」と感じているなら、健康で幸せを感じるためのツールとしてフェムテックを利用し活かすことができそうです。
〜過去のANSEM通信より掲載〜