6月なのでまたしても、そして3ヶ月も振り返りになりますが、応援している和田琢磨さんが出演されていたので、パルコ劇場に「首切り王子と愚かな女」を見に行ってきました。
脚本・演出は蓬莱竜太さん。
出演は井上芳雄さんと伊藤沙莉さんのダブル主演、脇を固めるのは和田さんの他は高橋 努さん、入山法子さん、太田緑ロランスさん、若村麻由美さんなど。
あらすじは↓
【STORY】
雪深い暗い王国ルーブ。
英雄であり人格者であった先王バルが早くに没して20年。女王デンは「永久女王」としてルーブを統治していたが、溺愛していた第一王子ナルが病に倒れてからは国のことを見なくなり、魔法使いを城に招き入れ、閉じこもるようになった。ルーブ国は統治者を失った国になっていた。国は呪われ、民は貧しさに疲弊し、反乱の気運が高まっていく。
そこで城に呼ばれたのが第二王子トルであった。トルは幼い頃から「呪われた子」とされ城から遠ざけられていたが、反乱分子を鎮圧するために再び城に戻される。使命に燃えたトルは、反乱分子の首を次々に落とし「首切り王子」として恐れられるようになる。
リンデンの谷に住む娘、ヴィリは死ぬことにした。これ以上、生きる理由が見当たらなかったからだ。最果ての崖にたどり着いたヴィリが目にしたものは白い空と黒い海と首切りの処刑であった。
首切り王子トルは死を恐れないヴィリに興味を持ち、召使いとして自分に仕えるように命令する。
城に連れられていくヴィリが耳にしたのは王子の歌であった。美しくも悲しい歌。ヴィリはトルに深く暗い孤独を見る。
こうしてヴィリは召使いとして首切り王子に仕える日々を送り始める。
そこに見たのは野心や愛憎、陰謀が渦巻く人間たちの姿であった。
あらすじの通り中世ヨーロッパ的なファンタジーで、キャストの衣装は白、時々アクセントに黒のモノトーンで統一。
セットはシンプルに箱足や平台を出演者が移動させながら場面転換を表すもので、ザ・演劇という感じで私はこういう演出がとても好きです。
加えてとても特徴的なのが、舞台上下手、奥に楽屋の鏡前スペースを模したような透明のブースが全キャスト分用意されていて、出番がないキャストは袖に捌けることなく終始そこで過ごすこと。
なのでお水を飲んだり、台本を確認しているところも全部見えるというもので、開演数分前から少しずつキャストがそこに集まりだし、休憩時間もしばらくそこにいるので、裏側を見ているようでとっても変な感じ。笑
お話も現代演劇という感じで難解なのかな?と思っていましたが、意外にコミカルで分かりやすく、面白かったです。
わがままで理不尽な芳雄さん演じる王子と、あの特徴的なハスキーな声で淡々とツッコミを入れたり肝が据わっている沙莉ちゃん演じるヴィリの関係性は「美女と野獣」的ケンカップルだし、浮世離れした王子様的な存在を雑にあしらっていくところはNHKでやっている「いいね!光源氏くん」も彷彿とさせていて、ハマリ役…というか当て書きなのだろうなという感じで、ばちっとはまっていました。
あちこちで道ならぬ恋的なラブコメディが勃発しているのも面白かったな。
皆さんそういうコミカルな部分と、ふっとシリアスに切り替わる塩梅が素晴らしく、特に若村麻由美さんの女王の威厳と、時々ぽろっと本音が漏れる感じの切り替えが絶妙で魅力的でした。
PARCO劇場はリニューアル後今回が初めての観劇。
座席の間のゆとりや傾斜も十分で、どこの席でもかなり過ごしやすく、そしてとっても見やすい!
カフェスペースもあり、休憩時間には屋外のテラスに出られる仕組みになっているのも良かった。
渋谷パルコの上階にあるので、帰りはエレベーターに人が殺到したら面倒だな…と思っていましたが、この屋外テラスから外階段で下に降りることも出来るのでストレスフリーでした。
「首切り王子と愚かな女」は今冬WOWOWで放送決定。
円盤の発売予定はないようなので、この機を逃さずまた観たいなと思います。