吉田羊さん主演の『ジュリアス・シーザー』を見てきました。
演出は森新太郎さん、共演に松井玲奈さん、松本紀保さん、シルビア・グラブさん、久保田磨希さん。
箱のPARCO劇場は立地と駅からの道のりは好きじゃないものの、『首切り王子と愚かな女』以来、見やすくて気に入っています。
席はI列1桁番台と下手寄りでしたが、今回のセットは上手奥から斜め前に向かって出入りする通路があるタイプだったので見やすい位置でラッキーでした。
名前と関係性が難しいのでロビーに人物相関図あるのありがたい。
作品概要
シェイクスピアのローマ劇を、女性キャストだけで上演。
演出:森新太郎×吉田羊、松井玲奈、松本紀保、シルビア・グラブほか出演決定!『コリオレイナス』、『アントニーとクレオパトラ』と並んで、ローマ史に基づいて描かれたシェイクスピアの有名な「ローマ劇」の一つ、『ジュリアス・シーザー』。この男たちの陰謀と策略の渦巻く古代ローマの政治闘争を女性キャストだけの布陣で上演します。
演出には、今年3月に上演された『Romeo and Juliet –ロミオとジュリエット–』に続いて二本目のシェイクスピア劇となる今や演劇界の重鎮と言える森新太郎を配し、女性が本来持っている、したたかさ、強欲さ、そして圧倒的な強さで鮮烈に炙り出す闘争劇です。
朋友たちとの友情、師と仰ぐ人物への信頼と憧れ、正義ゆえの裏切りなど、女性が持つパワフルさを存分に生かして、ローマ史実を基にした壮大な政治劇を描き出します。
女性キャストだけで描くということですが、よしながふみ『大奥』のように男女逆転というわけではなく脚本はそのまま。だけど恰好は男装ではなく全員ワインレッド系のすとんとしたワンピースで、自然に台詞や演技、仕草だけで男性に見せている演出。
シーザーを演じるシルビア・グラブさんの豪快なリーダーシップのあるベテランの風情も印象的だったし、なんといっても生で初めて見る吉田羊さんの演技が圧壊でした。
映画の「キャロル」とか「オーシャンズ8」で見せたケイト・ブランシェットのようなかっこよさというか、宝塚ほど極端に理想化された男性演技というわけじゃないのにとにかく凛々しくて格好いい。小姓にくっと顎をしゃくる仕草なんか特に素敵でしたね…。
台詞も難解なのに聞いていてとても耳に心地よくて、この人上手い人だ…と本当にびっくりするくらいはっきりわかる。
ただ吉田羊さんのパフォーマンスは素晴らしかったけれど、わざわざオールフィーメールでこの脚本でやった意味ってなんだったのかなというのはよくわからず。
上の概要にある『女性が本来持っている、したたかさ、強欲さ、そして圧倒的な強さで鮮烈に炙り出す闘争劇』というのも引っかかる言い方だなと思いますし、いっそ本当によしなが大奥のように男女逆転に脚色した本でやった方が面白かったんじゃないかな。