自宅で、孤独に病死した父。





その遺体は今、

警察署に安置されている。





私達3兄妹が引き取らなければ、

無縁仏へ行くことになる。






私達は話し合い、

引き取りは拒否することにした。






かつて家族に暴力をふるい

恐怖で家庭を支配し

借金作って女遊びしまくって


母との離婚後もお金の無心


あげく私達3兄妹に

「育ててやった恩を返せ」


と言った父。




今更遺体を引き取り、

母の時と同じように

火葬や身辺整理など


できる訳が無い。






だけど

私と姉だけは、

父の顔を見に行くことにした。







自分ちの中にある、

父への未練。

断ち切れなかった思い。





それらに決着をつけ

全て終わったんだと

納得する必要があった。





腐敗した異臭により、通報され

発見された父。


その腐敗はかなり進んでいるようで



「本当に、よろしいですか?」



担当の警察の方に何度も聞かれた。





それでも意を決して、

顔を見に行った。





悪臭を放ち、変色し

皮膚がただれた顔を見た。





私達姉妹の目に、

腐敗した父の姿が焼き付いた。




でも確かに、

私達の父だった。




ここでは涙は出なかった。





結局父が

何を思って生きたのかは

わからずじまい。





最期の時、走馬灯の中で

私達や母の事を想い描いたのかも


 


不器用で下手くそなりに、

愛情があったのか。。







なにもわからない。




でももうその答えは、探さない。




父が生きてきた足跡も、辿らない。





本当にこれで終わり。







母と結ばれて、
親になってくれてありがとう。




私達が受けた、恐怖や苦しさ


痛みや悲しみ、絶望は



私達の代で断ち切って



あなたを反面教師にして



母の強さと愛を胸に抱いて




強く生きていきます。