両親が離婚したとき、私は小学5年生。

離婚が決まり、3人の親権は母が持ち
父が家に残り、私達が出ていく形となった。




何故か私は、離婚が決まってから
新しい家に移り住むまでの記憶が全くない。




転校先となる小学校を見に行ったり、
引っ越し直後で段ボールが積み上げられた狭い新居だったりは断片的に覚えているが、
それらが写真のような光景として浮かぶだけで、あとは何も思い出せない。




覚えていないのか、思い出せないのか。


それは確かじゃないしわからないけど
たぶん子供ながらに離婚を覚悟していながらも、現実となったことでショックを受けたんじゃないかと思う。



それに加えて、親権の事で両親が揉めていて
3人兄妹がバラバラになりかねなかったのだ。



父は兄と私の親権を持ちたいと主張し

母は3人全員の親権を主張した。



あろうことか父は、
姉の親権だけを放棄し母に渡そうとしたのだ。



そして父は、自分の主張を明らかにした上で
3人の子供達に、両親のどちらとこの先暮らしていきたいかを聞いた。




父に対してそれぞれが何とこたえたのか
自分の事さえ思い出せないが、皆が

"母と暮らしたい"

確実にそう思っていて、なんかしらの方法でそれを伝えたんだと思う。





結果、3人兄妹がバラバラになることはなく

母との暮らしをスタートさせることができて
貧しくとも、穏やかで安心して家に帰ることのできる暮らしがはじまった。





この当時の親権問題については、
今でも兄妹で話題にあがることがある。




母が子供を手ばなすなんて決断は、
絶対にしなかったと断言できるけど、
母ひとりで子供3人を引き受けるのは
金銭的な問題で不利だったのも事実。


もしもあのとき、
兄妹がバラバラになっていたら

母ではなく父と暮らすことになっていたら




たらればだけど、断言できる。


"誰一人、幸せになんて、なれていなかった"