真空管ラジオ『 コロムビア COLUMBIA 1510 』の修復 - Part.19 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
このPart19では、音量調節用の可変抵抗器を交換します。

Part.1Part.3で、このラジオの入手時点の状態を調査した結果から
下記(1)(2)の問題点が見つかり、その原因が音量調節用可変抵抗器の故障である
と推定して、交換用の新しい可変抵抗器をPart.4で入手しました。
 (1)受信中、VOLUMEツマミの位置に関係なく常に最大音量?で鳴る。
 (2)VOLUMEツマミを動かすと、かなり頻繁に「ガリガリ」『バリバリ』と
  最大音量?の雑音が出る。

しかし、Part.8で調査した結果、音量調節用可変抵抗器の内部に接触不良は無く、
可変抵抗器の端子への配線が外れかけていた事が原因である可能性が出てきた
ので、可変抵抗器は交換しない事にしました。
そして、Part.6Part.17で大部分のコンデンサと抵抗を交換し、可変抵抗器の
端子の配線も接続し直した結果、上記(1)(2)の不良現象は消滅しました。

しかし、古い物なので可変抵抗器の抵抗体は相当劣化していると思われるし、
電源スイッチとして使用しているスイッチ部の接点の劣化も懸念されました。
それに、せっかく入手した新しい可変抵抗器を眠らせておくのも勿体ないので、
この際交換することにしました。

但し、Part.4に書いたように新しい可変抵抗器はシャフトの長さがオリジナル品
より相当短くてパネル面からシャフトの先が全く出ないので、ツマミを取り付け
る事ができないという致命的な問題があり、何らかの対策が必要です。

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ラジオを作業机に移動して、キャビネットからシャーシを取り出しました。
音量調節用の可変抵抗器を矢印で示しています。

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緑の円で囲んだ部分が可変抵抗器の端子で、青の円で囲んだ部分は電源スイッチ
として使用しているスイッチの端子です。

このスイッチは、可変抵抗器のシャフトを反時計方向にいっぱい回し切った状態
では真ん中の端子と下側の端子が接続状態で、その位置から時計方向に僅かに
回すとカチンという音と共に接点が切り替わって真ん中の端子と上側の端子が
接続状態になり、その位置からシャフトを時計方向にいっぱい回し切るまで、
その状態を維持します。

したがって、真ん中の端子と上側の端子に電源ライン入力の1本と電源トランス
の一次側巻線の1本を接続することによって、このラジオの電源スイッチとして
機能します。

音量調節ツマミを反時計方向にいっぱい回し切った状態では電源オフで、その
位置から時計方向に僅かに回すとカチンという音と共に電源がオンになり、
ツマミの回転によって音量を調節できます。
電源を切る場合は、音量調節ツマミを反時計方向に回して音量を絞りきった状態
から少し力を強めて反時計方向に更に回すと、カチンという音と共に電源がオフ
の状態になります。

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左端が新しい可変抵抗器です。
このままではシャフトが短すぎて、このラジオには使えません。

p04

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右の2個の部品はシャフトのジョイント金具で、長さは30mmと40mmです。
可変抵抗器のシャフトにこれら2本のジョイント金具を連結して取り付けて、
その先端にツマミを取り付ける事にしました。

このジョイント金具は“共立エレショップ”という通販サイトで見つけました。

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可変抵抗器の抵抗値を測定してみました。
この可変抵抗器の仕様は『500kΩ』で、本体の金属部分にも“A500kΩ”と刻印
されているけど、両端端子間の実測値は『約900kΩ』を指しました。
経年劣化でしょうか?

現用品も『500kΩ』のはずが『約1MΩ』なので、多少改善されると思えば
気は楽ですが・・・・

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シャフトを時計方向いっぱいに回し切った状態での中央端子と右側端子の間の
抵抗値は、両端端子間の抵抗値と同じ『約900kΩ』を指しました。

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シャフトを反時計方向に徐々に回転していくと、抵抗値も徐々に小さくなり、
端まで回し切った時『0Ω』を指しました。OKです。

シャフトの回転に対して抵抗値はスムーズに変化しました。
ガリガリ雑音の原因になるような接触不良もなさそうです。
抵抗値には不満があるけど、可変抵抗器の機能はOKのようです。

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現用可変抵抗器の各端子の配線を取り外しました。

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可変抵抗器を固定しているナットを緩めます。

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可変抵抗器を取り外しました。

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取り外した可変抵抗器です。“HiFi用”の文字が見えます。
埃が固まったような白っぽい汚れが付着しています。

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金属部分は錆に覆われています。

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端子も錆びて変形しています。

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新しい可変抵抗器をシャーシに取り付けました。

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裏側の接続端子部分です。

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可変抵抗器の端子に配線しました。

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スイッチ部の端子にAC電源の配線(シールド線)を接続しました。
このスイッチは2端子間をオン/オフするだけです。

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変抵抗器のシャフトにジョイント金具を2個連結して取り付けました。

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アングルを変えて撮影。

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ツマミを取り付けてみました。
欠品していた音量調節用ツマミは、ネット通販などで既存のツマミに似た物を
捜したけど見つからず、かなり違う形の物になりました。

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ツマミを一旦取り外して、シャーシをキャビネットに取り付けました。

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音量調節用可変抵抗器のシャフトに取り付けたジョイント金具の先端です。

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こんなに突出しています。
しかし、オリジナルのシャフトとはツマミの取り付け方法も異なるので、
ツマミの先端はそれほど大きくは突出しないはずです。

オリジナルのツマミはシャフトに挿し込むだけのタイプだけど、新しいツマミは
ジョイント金具の表面にツマミをネジ止めして固定するタイプで、ツマミの内側
の形状も違います。

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ツマミを取り付けました。

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デザイン的には若干不自然さがあるけど、機能的には問題ありません。
パネル面からの高さの差も、ツマミの厚さの差分だけです。

但し、音量調節ツマミを手前に引き出してラジオの電源を入れる事になるので、
電源オン状態では更に5mmほど高くなります。

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完成です。

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今度は60cm幅のメタルラックに載せてみました。
ピッタリ収まりました。
『厚型テレビ』の上より居心地が良さそうです。

真空管ラジオを修復しようと思い立った当時の期待通り、真空管ラジオ特有の
ふくよかで暖かみのある落ち着いた音で鳴ってくれました。

このラジオでNHKラジオ第1放送の『ひるのいこい』を聴いたりすると、
心は昭和30年代にタイムスリップして戻って来れなくなりそうです。

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<参考サイトへのリンク>
共立エレショップ
NHK番組一覧:ひるのいこい
ひるのいこい - Wikipedia

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