真空管ラジオ『 コロムビア COLUMBIA 1510 』の修復 - Part.18 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
このPart18では、マジックアイの不具合の原因を調べて修理を試みます。

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Part17の最後の方に書いたように、このラジオのマジックアイは、
ヒーターは点灯するけど蛍光体は全く発光しない状態です。

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マジックアイ周辺の回路図です。
但し、ヒーター(1ピンと6ピン)の回路は省略してあります。

ごく一般的な回路だけど、多くのラジオは AVC(Automatic Volume Control:
自動音量制御)の信号をマジックアイのグリッドに接続しているのに対して、
このラジオの場合は AVC信号を生成する回路と同じ回路をマジックアイ専用に
もう一式設けて、マジックアイのグリッドのみに接続しています。

上の回路図上の検波出力信号に接続された『2MΩ』の抵抗と『0,05μF』の
コンデンサで構成されている積分回路がその回路で、これと同じ回路が
もう一つ検波出力信号に接続されていて、その抵抗とコンデンサの接続点から
AVC信号が出力されています。

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再びシャーシをキャビネットから取り出しました。
そして周辺回路の影響を排除するためマジックアイからソケットを引き抜いて、
マジックアイ単独のピン間の導通をチェックしました。

各電極間は絶縁状態なので抵抗値は∞(無限大)Ωのはずなのに、プレートと
グリッド間の抵抗値が『約180kΩ』を指しています。

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次の一手が思いつかないので、苦し紛れにマジックアイをシャーシから取り
外して、同じようにプレートとグリッド間の導通をチェックしてみたら、
あら不思議? 『∞Ω』を指しました!

シャーシから取り外しただけでマジックアイが直ってしまった?

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ズームイン。
プレートとグリッドの状態を凝視したけど、よく判りません。

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マジックアイを裏返してみました。(品名が表示されているので、こちらが表か)
目で見た限りでは異常は見つかりませんでした。

マジックアイをシャーシに戻して、同じようにプレートとグリッドの間を
測ってみたら、やはり『∞Ω』を指しました。

更に、マジックアイにソケットを挿し込んで各ピン間の導通をチェックした
けど、特に異常は見つかりませんでした。

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この画像はソケットを挿し込んだ状態でプレートとターゲット電極間の抵抗値
を測定中のもので、ソケットのピン間に接続されている抵抗の値と同じ『1MΩ』
を指しているので、マジックアイ自体のプレート、ターゲット電極間は『∞Ω』
ということになります。
問題のプレート、グリッド間も『∞Ω』を指したので正常です。

マジックアイをシャーシから一旦取り外したことによって、故障が自然に修復
したようです。

グリッド電極は、筒状のプレート電極の内側に線材を螺旋(らせん)状に巻いた
状態で設けられているので、その一部が何らかの原因で断線したり変形したり
してプレート電極に接触すると、グリッド、プレート間が導通する可能性が
あります。
そして、マジックアイをシャーシから取り外した時の振動や重力の方向の変化
によって、グリッド、プレート間の接触状態が変化して絶縁状態に復帰した
のではないかと推定します。

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シャーシをキャビネットに戻して、電源を入れました。
マジックアイの蛍光体が発光しています!

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『NHKラジオ第1放送』名古屋放送局の電波を受信しています。
古い物なので蛍光体は相当劣化しているけど、一応実用レベルの明るさです。

アンテナを接続していないので“同調状態”でも暗い部分が少し開いている
けど、アンテナを繋げば完全に閉じるはずです。

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ダイヤルツマミを回して“離調状態”にしてみました。
暗い部分が大きく開きました。

上下2カ所に暗い開口部ができるのが『6Z-E1』の特徴のようです。

故障の詳細原因は不明だけど、マジックアイ関連の修理?は一応完了しました。

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居間の『厚型テレビ』の上に設置しました。
薄型テレビには真似の出来ない『厚型テレビ』の真骨頂です。

ちなみに、ラジオの天板上の黒い横長の機器は『Lo-D ET-1100』という型名の
オーディオタイマーで、このタイマーを介してラジオの電源をオン/オフする
ことにしました。
ラジオの音量調節用可変抵抗器に内蔵された電源スイッチは入れっぱなしに
することによって、その接点の劣化を防ぎます。

なお、オーディオタイマーの天板上に置かれた卓上アンテナは、ミニコンポ用
のFMアンテナとして使用している物で、このラジオには無関係です。

オーディオタイマーの右側に見える赤い物は、自動車用配線コードの5m巻
リールで、このラジオのアンテナ端子に接続してあります。

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これが、アンテナとして使用している配線コードのリールです。
この状態のままラジオの天板上においてアンテナ端子に接続してあります。

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リール式アンテナを接続した状態で『NHKラジオ第1放送』名古屋放送局の
電波に同調したら、マジックアイの暗い部分はほぼ完全に閉じました。

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ダイヤルツマミを回して離調したら、こんな具合に開きました。
やはり蛍光体が劣化しているのか、発光部分が少し黒ずんでいます。

この地域をサービスエリアとする他の放送局の電波も全て正常に受信できました。

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この続きは“Part.19”(近日公開予定)へ・・・