真空管ラジオ『 コロムビア COLUMBIA 1510 』の修復 - Part.3 | アナログ三昧、そして時々ディジタルな日々
先日のPart.1Part.2 の結果は次の通り:
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<現状のまとめ>
①短波は受信できるが、中波が受信できない。
②受信中、VOLUMEツマミの位置に関係なく常に最大音量?で鳴る。
③VOLUMEツマミを動かすと、かなり頻繁に「ガリガリ」『バリバリ』と
 最大音量?の雑音が出る。
④局部発振回路の中波用バリコンの配線が取り外されている事が判明!
 これが①の原因になっている可能性が大である。
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このPart.3では、上記④の配線を補修します。

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操作パネルのツマミを全て引き抜き、シャーシを固定していた3本のビスを
取り外し、シャーシをキャビネットから引き出して横倒しにしました。

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この状態では電源部からの給電ケーブルが届かないので、ケーブルのプラグを
予め電源部のコネクタから抜いてあります。

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シャーシの前面です。

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前にも書いたように一般的な真空管ラジオのシャーシは弁当箱のような形を
しているものが多いけど、このラジオのシャーシは板状です!

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真上から撮影。
シャーシの裏面側には真空管、バリコン、アンテナコイル、局部発振コイル、
中間周波トランス、ブロック電解コンデンサなどが取り付けられていて、
シャーシの前面側には抵抗器、コンデンサ、配線、ダイヤル関連のメカや
パイロットランプ類などが取り付けられています。

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裏面側から撮影。
よく見ると、シャーシや部品の表面は思った以上に汚れています。
表面に付着した埃は湿気を含んだような状態になっていて、
エアダスターや電気掃除機では歯が立ちません。
クリーナーシートなどで丁寧に拭き取る必要がありそうです。

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裏面が上になるようにシャーシを倒して、上から撮影。
マジックアイを含めて5本の真空管が実装されています。
左から『6AQ5』『6AV6』『6BA6』『6BE6』『6Z-E1』。

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Part.2に書いたように、バリコンの端子(緑円内)から、ロータリースイッチの
端子(青円内)または局部発振コイルの端子(赤円内)へ配線する必要があります。

周辺の汚れが気になるので、補修する前に各部の点検を兼ねてシャーシや
主要部品の汚れを落とす事にしました! 

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電力増幅用の五極管『6AQ5』を抜いてみました。
NEC製です。ほとんど汚れていません。
コロコロ転がってしまうので、ヒモで支えながら撮影しました。

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『6AQ5』のソケットは少し黒ずんでいます。
ソケットの右の四角い穴の奥に見える四角い板には『モード選択(SELECTOR)』
スイッチに対応して点灯する4個のパイロットランプが取り付けられています。

ソケットとその周辺を軽く清掃しました。

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検波/低周波増幅用の双二極三極管『6AV6』です。
“マツダ”(東芝)のロゴ入り。
ガラス自体は綺麗だけど、文字が少し薄くなっています。

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『6AV6』のソケットも少し黒ずんでいます。
奥の中間周波トランス(IFT)は煤(すす)が付いたように黒く汚れています。

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クリーナーシートなどで清掃して周辺はずいぶん綺麗になったけど、
IFTの下半身?の黒ずみは落としきれませんでした。

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中間周波増幅用の五極管『6BA6』を抜きました。
これも“マツダ”(東芝製)。
何故か、この真空管だけ異常なほど大量の埃が付着しています。

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クリーナーシートなどで清掃したら、新品のように綺麗になりました!

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周辺も多少汚れているけど『6BA6』の表面ほどには汚れていません。

軽く清掃しました。

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局部発振/周波数変換用の五格子七極管『6BE6』です。
これも“マツダ”(東芝)です。
表面が相当汚れているし、文字も不鮮明になっています。

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クリーナーシートで清掃したら表面は綺麗になったけど、
同時に文字が一段と薄くなって、ほとんど読めません!

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『6BE6』周辺のシャーシも油っぽい埃が付着しています。

クリーナーシートで丁寧に清掃しました。

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電源部のシャーシから抜いた半波整流用の二極管『5M-K9』です。
これも“マツダ”(東芝)です。
表面が汚れていて、文字はほとんど読めません。

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清掃して表面は少しだけ綺麗になったけど、文字は更に薄くなりました。

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電源部のシャーシです。
左の小さい方のソケットが『5M-K9』用で、右の大きなソケットは本体へ
の給電ケーブル用です。
ソケットもシャーシもずいぶん汚れています。

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ヒューズホルダーのカバーとヒューズを取り外して清掃したけど、シャーシ
表面の汚れはほとんど落ちませんでした。

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ヒューズとヒューズホルダーのカバーを元に戻して『5M-K9』を挿入しました。

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マジックアイ『6Z-E1』は、実装したまま上面に付着していた埃を
拭き取りました。

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マジックアイのソケット周りも清掃しました。

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一通り清掃が終わったので、バリコンの端子(緑円)と
ロータリースイッチの端子(青円)を接続します。

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元々ここに接続されていたと思われる線材は長さに余裕が無くて
作業しづらいので、別の手持ちの線材を使って接続しました。

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動作確認のためシャーシを立てて、給電ケーブルを電源部に接続しました。

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アンテナ端子に適当な長さの配線コードを接続して、電源を入れました。

バンドを『中波』にして、ダイヤルを『720KC』近辺に合わせたら、
『NHKラジオ第1放送』が受信できました!

ダイヤルを回して中波放送4局が全て受信できる事を確認しました。
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●NHKラジオ第一放送:729キロヘルツ
●NHKラジオ第二放送:909キロヘルツ
●CBCラジオ:1053キロヘルツ
●東海ラジオ:1332キロヘルツ
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周波数の目盛りが若干ずれているけど、所詮アナログなので気にしません。

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改めて短波も受信できる事を確認したけど、バンド切り換え時にやや違和感
があったので、電源を落としてバンド切り換えスイッチに接点洗浄剤を再度
スプレーしました。

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『モード選択(SELECTOR)』のロータリースイッチもずいぶん汚れています。

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こちらも接点洗浄剤をスプレーしました。

これで一応『2バンドラジオ』として機能するようになったけど、
古い製品なので部品の劣化状態が気掛かりです。
シャーシ前面側の見える範囲で、部品の状態を観察します。

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シャーシ前面の中央左側です。
非常に古いタイプのコンデンサや抵抗器が見えています。
コンデンサ、抵抗器、配線、そしてその周辺のシャーシも相当汚れています。

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シャーシ前面最上部の右側です。
真ん中の小さな抵抗器が特に酷く汚れています。
薄緑色のオイルコンデンサ?は劣化して絶縁不良を起こしている可能性があります。

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少し下に下がってシャーシ前面中段部の右側です。
コンデンサや抵抗器がかなり高密度に実装されています。

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更に少し下がった所です。
左上のダイヤル指針の下の穴に、赤色と透明のランプが見えます。
透明ランプは中波受信時に、赤ランプは短波受信時に点灯するようです。

中央下の4個のランプは『モード選択(SELECTOR)』スイッチに対応して、
パネル上の『DX』『HIFI』『REMOTE』『PHONO』を照らすようになっています。
ベースの金属部にサビが見えます。

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更に下がって、シャーシ前面の下部です。
左の大きな二重ツマミの外側(白色)が『中波-短波』の切り換えツマミで、
内側(青色)がダイヤルツマミです。

その右側に電力増幅管『6AQ5』のソケット裏面が見えます。
ソケット接点の劣化も気になるところです。

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<現状のまとめ> ※は解決済み。
※①短波は受信できるが、中波が受信できない。
 ②受信中、VOLUMEツマミの位置に関係なく常に最大音量?で鳴る。
 ③VOLUMEツマミを動かすと、かなり頻繁に「ガリガリ」『バリバリ』と
  最大音量?の雑音が出る。
※④局部発振回路の中波用バリコンの配線が取り外されている事が判明!
  これが①の原因になっている可能性が大である。
 ⑤部品劣化の懸念有り。
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①と④は解決済み。
②と③はVOLUMEの可変抵抗器の故障が原因と思われるので、
部品を入手して交換する予定。
⑤は更に詳細に調査する予定。

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