リレー小説第3話♪
みなさん本日もおつかれさまです。
それではまいりましょう。
-『営業マンをなめんじゃねぇ!』 第3話-
「おめでとうございま~す♪」
顔はニコニコ笑っているのに
一部目だけが祝福していない店員
そんなひねまがった感情を抱きながら
その店員が自分に向けて発した
「その言葉」を無表情で
二度、三度聞いた気がする…
それ以外…
その日の、パチンコ屋での記憶はほとんど無い…
「ビーン! ビーン!」と指に伝わる振動が
最後の銀玉を打ち終えてからも、自分が数分間
ず~っとそうしていたことに気づかされる。
長い間…
俺は…
パチンコ台の盤面でなく
台の釘でもなく
もちろん確率変動のスロット絵柄でもなく
なぜか不定期にパカパカ開く
赤い「電動チューリップ」だけを見ていたことに気づく。
自分の不自然な行動に
人知れず照れて、帰り支度をしながらも
なぜか気になるその人工的に開閉を繰り返す
「赤い花」を見ていたら…
不意に学生時代の甘酸っぱい記憶が蘇った。
そうか!
「愛の告白」か…
それは、俺が学生の頃に初めて付き合うこととなった
居酒屋バイトの同僚、K子との思い出…
わずかばかりのバイト代から、渡した心ばかりのプレゼント
そして
1本だけの「赤いチューリップ」。
多分彼女には…
そんな気持ちは微塵もなかったであろうが…
女性に渡す人生初めての花に緊張し
小学生でも知っている花だから
単純に「幼稚な花」と思われることを
カッコ悪いと思った俺は
その花を渡すや否や
(赤い)チューリップの花言葉である
「愛の告白」
を照れもせずに伝えた。
そして、K子には伝えなかったが…
チューリップにはもう一つの花言葉があった。
「永遠の愛情」である。
現実はリアルで…
結局2人の付き合いは、卒業前に彼女が地元の教師採用が決まり
帰省するまでの3年ほどで終わることとなったが…
あの瞬間…
今考えると、気恥ずかしい気持ちで身悶えるが…
あの時、あの瞬間の感情は紛れも無く
「心から真実の叫び」であった。
「仕事もおんなじじゃないの?」
昔の自分に笑われている気がした…
真実の心の叫びか…
じいちゃんの言う
「帰るところ」の意味がようやくわかった気がする。
「ありがとうございました~♪」
不思議と…あの店員の同じ顔が、さっきよりも
心から言っている言葉に聞こえてきた。
(いやいや…お礼を言いたいのはこちらの方だよ)
「ありがとうございました♪」
○万円も負けた客にお礼を言われて
キョトンとするその店員を背中に残し
俺はゆっくりと店を歩き出て、ついには走り出した。
ヨーデルN駅前店…もう2度と打つまい♪
翌日から俺の大反撃が始まった。
…つづく
福住
それではまいりましょう。
-『営業マンをなめんじゃねぇ!』 第3話-
「おめでとうございま~す♪」
顔はニコニコ笑っているのに
一部目だけが祝福していない店員
そんなひねまがった感情を抱きながら
その店員が自分に向けて発した
「その言葉」を無表情で
二度、三度聞いた気がする…
それ以外…
その日の、パチンコ屋での記憶はほとんど無い…
「ビーン! ビーン!」と指に伝わる振動が
最後の銀玉を打ち終えてからも、自分が数分間
ず~っとそうしていたことに気づかされる。
長い間…
俺は…
パチンコ台の盤面でなく
台の釘でもなく
もちろん確率変動のスロット絵柄でもなく
なぜか不定期にパカパカ開く
赤い「電動チューリップ」だけを見ていたことに気づく。
自分の不自然な行動に
人知れず照れて、帰り支度をしながらも
なぜか気になるその人工的に開閉を繰り返す
「赤い花」を見ていたら…
不意に学生時代の甘酸っぱい記憶が蘇った。
そうか!
「愛の告白」か…
それは、俺が学生の頃に初めて付き合うこととなった
居酒屋バイトの同僚、K子との思い出…
わずかばかりのバイト代から、渡した心ばかりのプレゼント
そして
1本だけの「赤いチューリップ」。
多分彼女には…
そんな気持ちは微塵もなかったであろうが…
女性に渡す人生初めての花に緊張し
小学生でも知っている花だから
単純に「幼稚な花」と思われることを
カッコ悪いと思った俺は
その花を渡すや否や
(赤い)チューリップの花言葉である
「愛の告白」
を照れもせずに伝えた。
そして、K子には伝えなかったが…
チューリップにはもう一つの花言葉があった。
「永遠の愛情」である。
現実はリアルで…
結局2人の付き合いは、卒業前に彼女が地元の教師採用が決まり
帰省するまでの3年ほどで終わることとなったが…
あの瞬間…
今考えると、気恥ずかしい気持ちで身悶えるが…
あの時、あの瞬間の感情は紛れも無く
「心から真実の叫び」であった。
「仕事もおんなじじゃないの?」
昔の自分に笑われている気がした…
真実の心の叫びか…
じいちゃんの言う
「帰るところ」の意味がようやくわかった気がする。
「ありがとうございました~♪」
不思議と…あの店員の同じ顔が、さっきよりも
心から言っている言葉に聞こえてきた。
(いやいや…お礼を言いたいのはこちらの方だよ)
「ありがとうございました♪」
○万円も負けた客にお礼を言われて
キョトンとするその店員を背中に残し
俺はゆっくりと店を歩き出て、ついには走り出した。
ヨーデルN駅前店…もう2度と打つまい♪
翌日から俺の大反撃が始まった。
…つづく
福住
リレー小説第2話
『営業マンをなめんじゃねぇ!』 第2話
・・・がんばれ・・・・・・・お前には帰るところがある・・・がんばれ・・
じいちゃんの声が聞こえて・・とっさにパチンコ屋を飛び出した俺は何かに
導かれるように大型商談中の会社に向かっていた。
会社を目の前にしてはっと我に帰る・・
俺はなぜここにいるのか?わけの分からないまま辺りを見回す阿村井。
風。
何かを知らせるように一塵の突風が体に突き刺さった
瞬間目に飛込んだのは・・・
飛込んだのは・・・
ライバル会社のやり手営業マン・・
しかも商談中の会社の決裁権を一手に握るワンマン経営者武井。
ニコニコ談笑しながらクルマから降り。一緒にオフィスに向かっていった。
なぜだ? なぜあいつが武井と・・
体が凍りつく。 やられた。
現実に戻る。 大型商談は小さな会社の行く末を決する大事な案件。
ここ半年、これをとるために努力を重ね・・一から提案書を作成し、頭を下げ、接待をし、
夜遅くまで努力してきたのだ・・
プレゼンでは圧倒的にこちらが勝っていた・・・当然ライバル会社を蹴散らしたと思っていた。
情報収集してももう阿村井さんのところで決まりだよ!が当たり前になっていた。
それを覆すためにあいつは武井に接近したのだ・・
でもどうやって・・たまたまか!
自分を納得させたい衝動に駆られる。
いや・・たまたま社用車から一緒に降りてくるなんてありえないか・・
湧き上がってくる感情。
油断した・・油断した・・油断した・・油断した・・油断した。
何かにすがりつきたい! じいちゃん!! じいちゃーーーん!!!
混乱する頭でボーっと歩き出す。
いつも吸っているマイルドセブンSLではなく・・ショートホープをくわえて
俺はまたあのパチンコ屋でハンドルを握っていた。
つづく
リレー小説開幕♪
お久しぶりです。
ご来場の皆さま、本日はアムライズ小説劇場にご来館いただきまして誠にありがとうございます。
それでは、アムライズリレー小説の開幕です。
『営業メンをなめんじゃねぇ! 第一話』
自動ドアが開くのと同時に、身体を締め付けるような冷たい風が俺を包み込んだ。
俺はうつむきながら白い息を吐く・・・
東京に出てきてもう10年が経つ。
俺の名前は、阿村井 健治。 気がつけばもう28歳だ。
大学進学で東京に出てきて、キャンパスライフを満喫し、人並みに恋もした。
10代の頃、30手前の人たちはみんなすごく大人に見え、自信に溢れ、家庭を持ち、そしてちょっとダサくて、ギャグがつまらなかった。
いざ自分がその歳になってみると、とても自信が無く、将来に迷い、少しも精神年齢が上がっている気がしない・・・
毎日がコピー機の中を通り過ぎる紙のようだった。
今俺は、小さな広告代理店の営業をしている。
いわゆる営業メンだ。
今日も新規の顧客を獲得するために知りもしない人間にぺこぺこ頭を下げる毎日。
「パチンコでもいくか・・」
俺は終業までの時間を潰すためパチンコ屋に入った。
[ジャンジャンバリバリ!ジャンジャンバリバリお出しくださ~~~い!!!]
派手な店内アナウンスが、日常のストレスからしばし俺を解放してくれる。
俺はポケットからタバコを取り出し、愛用のジッポでおもむろに火をつけた。
大きく息を吸い込み、肺にたまった煙を一気に吐き出す。
パチンコ台のチカチカとした電飾の明かりがタバコの煙を美しく彩った。
ニコチンの力も手伝って俺は少しくらくらと目まいのする感覚を覚えた。
煙の中に何かが見える・・・
(ああ・・・じいちゃんだ・・・・)
小さい頃、いつも俺を膝の上に乗せてくれたじいちゃんがこちらを見ていた。
・・・がんばれ・・・・・・・お前には帰るところがある・・・がんばれ・・
ぼんやりした頭の中でじいちゃんの優しい声が聞こえた。
俺はパチンコ台のハンドルを握る手を離し、駆け足で街の雑踏へと飛び出した。
・・・つづく。
ご来場の皆さま、本日はアムライズ小説劇場にご来館いただきまして誠にありがとうございます。
それでは、アムライズリレー小説の開幕です。
『営業メンをなめんじゃねぇ! 第一話』
自動ドアが開くのと同時に、身体を締め付けるような冷たい風が俺を包み込んだ。
俺はうつむきながら白い息を吐く・・・
東京に出てきてもう10年が経つ。
俺の名前は、阿村井 健治。 気がつけばもう28歳だ。
大学進学で東京に出てきて、キャンパスライフを満喫し、人並みに恋もした。
10代の頃、30手前の人たちはみんなすごく大人に見え、自信に溢れ、家庭を持ち、そしてちょっとダサくて、ギャグがつまらなかった。
いざ自分がその歳になってみると、とても自信が無く、将来に迷い、少しも精神年齢が上がっている気がしない・・・
毎日がコピー機の中を通り過ぎる紙のようだった。
今俺は、小さな広告代理店の営業をしている。
いわゆる営業メンだ。
今日も新規の顧客を獲得するために知りもしない人間にぺこぺこ頭を下げる毎日。
「パチンコでもいくか・・」
俺は終業までの時間を潰すためパチンコ屋に入った。
[ジャンジャンバリバリ!ジャンジャンバリバリお出しくださ~~~い!!!]
派手な店内アナウンスが、日常のストレスからしばし俺を解放してくれる。
俺はポケットからタバコを取り出し、愛用のジッポでおもむろに火をつけた。
大きく息を吸い込み、肺にたまった煙を一気に吐き出す。
パチンコ台のチカチカとした電飾の明かりがタバコの煙を美しく彩った。
ニコチンの力も手伝って俺は少しくらくらと目まいのする感覚を覚えた。
煙の中に何かが見える・・・
(ああ・・・じいちゃんだ・・・・)
小さい頃、いつも俺を膝の上に乗せてくれたじいちゃんがこちらを見ていた。
・・・がんばれ・・・・・・・お前には帰るところがある・・・がんばれ・・
ぼんやりした頭の中でじいちゃんの優しい声が聞こえた。
俺はパチンコ台のハンドルを握る手を離し、駆け足で街の雑踏へと飛び出した。
・・・つづく。