美しき二月に。 | 感傷的で、あまりに偏狭的な。

感傷的で、あまりに偏狭的な。

ホンヨミストあもるの現在進行形の読書の記録。時々クラシック、時々演劇。

※ピアノ話についてのおさらい

20年という長い空白期間を経て、2018年1月からピアノレッスンに通っています。

(登場人物)

 モネ先生=私の現ピアノの先生

 

先日、○○○○という超絶有名ホールでピアノ発表会が行われ、シューマン『ピアノソナタ第2番・第1楽章』を弾いて参りました。

 

本日の記事が発表会関連の最終話となります。

(おまけであと1つ書く予定だが、発表会とはほとんど関係ない今後の話。)

思い付きとはいえ、タイトルに寄せるためのクラシック曲を探すのも大変だった。。。

長い間、お付き合いありがとうございました。

最後に記念動画をアップしました。生温かく聞いてやってください。

 

これまでの記事はこちら↓

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◆◇

 

教室の先生方やスタッフらの手によって舞台への扉が開かれた。

袖ではドキドキしていなかったとは言うものの、全く緊張していないというわけではない。

いつもより早い鼓動を抑えつつ、ドレスを踏まないよう歩き出した。

 

しかし本番当日よりもここに至るまでのほうが緊張…というか、イヤでイヤで仕方なかった。

いっそ新コロかインフルに罹患してしまいたい。

そしたら出演できないのも仕方ないよね。

ああ~でも高い出演料が…いやしかし…でも…の繰り返しであった。

最後は金目でしょ。byノビテル

 

だがもともと健康優良児、口内炎以外どっこも悪いところもなくこの日を迎えたのであった。

次からは絶対に発表会なんぞ出ないぞ!と心に誓いながら。

(そしてやっぱり次も出るまでがお約束。)

 

まぶしいライトを浴びながら、舞台中央のバミリ(立ち位置の印)へ向かう。

 

いつも私は決めていることがあり、自ら緊張の空気を作らない、ということである。

いかにも緊張しとります…みたいな顔で出ると、きっと聞いてる方も緊張しちゃうはず。

それならニコニコニマニマしていようではないか、と。

そんなわけでこの日も「今日の本番を楽しんでおります」みたいな作り笑顔を顔にはっつけ、舞台中央に立った。

 

ぺっこり45度。

ハンカチ(姪っ子からのプレゼント♡)を手にしてみなさんにお辞儀。

 

↓コレ。かわいい♡

 

 

 

鳥目のあもちゃん、目が慣れてきたあたりで前から2列目に座る汗かき夫発見!!

 

え!?なんでそんなとこにいるの?いつも最後列あたりにいるのに。

しかもよその家族の集団の中に座ってるし、完全にその家族ご一行様じゃん笑

 

と思ったら自然と笑顔…というか苦笑がこぼれた。

 

しかも汗かき夫が勝手に所属する知らん家族ご一行様の中のイケメン(出演者のチビッコの誰かのお父さんであろう)が、温かい笑顔で温かい拍手を送ってくれるではありませんか!

 

おかげで心が温かくなりました。

こぼれた苦笑も自然な笑顔へ。多分。

 

いつまでもニマニマしているわけにもいかないのでピアノに向かう。

イスの高さを調節したり、座り直したりしているうちに例の事件が起こった。

 

お胸ポロリ(未遂)を引き上げる瞬間!!(※動画から切り取り)

何度見てもみっともない〜

 

舞台にあがったらドレスを引き上げる動作はすまいと決めていたのに、いざ舞台にあがると「一度引き上げておかないとマジでポロリしそう」とドレスを引き上げたのでありました。

なさけなや。

 

さ、いざ出陣。

数日前に決めた思考のルーティンをやり終え、ここまで来たらもはやまな板の鯉。

これからの7分ちょっと、力一杯駆け抜けよう。

みなさん、よろしく!←なにが笑?

 

ジャ、ジャーン!!!!!!!!

 

よしっっっ!

 

左手の跳躍で始まる最初の和音、ちょっとでも違う鍵盤に触れようものなら、音がものすんごく濁るのだが(伸ばす音なのでペダルを踏み替えられず誤魔化せない)、うまいことハマった。

 

ここから左手の光速アルペジオ。

つくづくここを死ぬほど練習していてよかったな、と。

思い起こせばこの曲の譜読みを始めた頃、楽譜を見るだけでわかった。

指回りが全くよくないあもちゃん、冒頭いきなりここが難所の1つになる、と。

(そして実際、難所であった。地道にひたすら練習の日々。)

 

↓難所を予言…それにしても今読み返すといいこと書いてるわ~(自画自賛笑)

 

そんな難所だったところが、今や自分の演奏を支えるものの1つに。

転ぶかも…と不安で弾き始めるのと、

ここだけ(笑)は絶対ミスしないから、ガンガン行くぜ~!と弾き始めるのとでは、全くメンタルが違ってくる。

 

最初の度肝を抜く和音と光速アルペジオのせいであろう、舞台からざわめきが…。

よかった、反応もヨシ!

ああ、本当に死ぬほど練習してよかった。

辛かったなあ…←あ、ついホンネが笑

 

リピート過ぎたあたりで冷静で安定感のある(モノは言いよう笑。様子見していたとも)音から自由で開放感ある音へと変化。

カールルイス型あもちゃん、毎度尻上がりによくなる。←譬えが昭和

最初からこれくらいで弾けるといいのだが、今後の課題ってことで。

 

モネ「リピート後はとくに良く歌えてましたよ。カッコよく聴かせるところと繊細さが求められるところどちらも良く弾けてました」←厳しい面もあるが、基本モネ先生は褒め上手。

 

写真も下手なら動画も下手な汗かき夫、今回も斬新な構図で動画を撮ってくれていた。

家でその動画を確認していたところ、展開部あたりで急にアップになった(余計なことすなや、とかは言わない)。

 

私「なんでここからアップにしたの?」

汗「少し前あたりから演奏がよくなってきたから、安心して色々やってみた〜」

私「いやいや、最初からいい演奏してたでしょうがっっ。プンスコ‼」

 

モネ先生と同じこと言うとか、確実に汗かき夫の耳が肥えてきててこわっ!

 

 

展開部のややこしゾーンを抜けて勢いのいい安定ゾーンに入った時、ふと気づいた。

 

あ、譜面台を倒し忘れてるぅぅぅぅ!!!!←実にくだらない笑

あ〜せっかくの写真がぁぁぁぁぁぁぁ!!!←実にくだらない笑

 

今回は業者さんが入っているから、絶対に譜面台倒して顔を出しておこう(暗譜記念)とリハでは倒す練習までやったのに!

 

とかくだらないことが一瞬、頭を過ったせいで一瞬ミスる。

 

な~にをやっとんだ、私は。

しっかり集中せぃ!

 

と気合を入れ直し、そこから一気にフィナーレへ!

 

汗「この曲もこれで終わりか…よく頑張ったなあ…ジーン」

モネ「この曲もこれで終わりか…よく頑張ったね…ジーン」

 

と二人は違う意味でも感動していたそうな。

 

モネ先生、本当に長い間、お付き合いいただきありがとうございました。

汗かき夫も死ぬほど聞かされていたにも関わらず、一言も文句も言わずありがとさんでした。

 

ジャーン‼

 

よしっ!←なにがだ笑

 

パチパチパチパチ~‼

 

鍵盤から手を離すか離さないかくらいのタイミングで、暗闇から大拍手が聞こえてきた。

あ~絶対これ、お母さんだ笑

とおかしくなって背中でわらってしまった。

(母「演奏が素晴らしすぎて、思わず拍手しちゃった~」←親バカ笑)

(母「ブラボーって叫びたかったくらいよ~」←親バカ笑)

(母「もちろん叫ばんかったで!」←当たり前や!)

 

思えばこの曲初めての人前演奏(半年前のピアノ愛好家の発表会)で、母は

「上手だったよ〜」

と言ってくれたものの、こんな反応じゃなかった><

そう考えるとやっぱり半年前から成長したんだなあ、私

 

 

演奏後の挨拶時もニマニマを忘れずペッコリ45度。

汗かき夫の姿は目に入らず、演奏後も再び温かい拍手を送ってくれたイケメンに釘付けでした(オイッ!)

 

そして終演。

新コロ時代に中止していた集合写真撮影も再開。

いや~ドレス着て本当によかった。

(主催者さん、あのとき背中を押してくれてありがとう!)

チビッコたちは皆ドレスアップしていたし、大人の半数もドレス姿であった。

やはり天下の〇〇〇〇ホールの力はでかい。

黒が多い印象だったが(若いお嬢さん方の黒率高め。若いってだけで鮮やかだもんね。おばちゃんは自ら発色できないから~笑)、声楽部門のみなさんはカラフルなドレスをお召しになって舞台に彩りを添えていた。

声楽っていいなあ。と声の良くないあもちゃん、いい声に憧れる。

 

本日の出演者全員の集合写真を撮り終え、汗かき夫&母と話しているとチビッコ&チビッコ家族たちに囲まれていたモネ先生が一瞬あいたので、お礼の挨拶に向かう。その後ろに母が続く。

 

母「お母さんも先生に挨拶したい。」

 

いや、なんで‼

 

母「先生、このたびもご指導いただきありがとうございました。」←娘以上にしゃしゃり出る

モネ「あ、あもるさんのお母様。こちらこそ今日もいい演奏を聴かせてもらって。今後とも末長く宜しくお願いします。」

 

突然やってきた私の母の挨拶にも、そつなく返すモネ先生。

私がモネ先生の年齢のころ、こんな立派な対応ができただろうか、いやできない(反語)

 

そして着替えるために控室に向かおうとすると、母が

 

「モネ先生と生徒さんたちで写真撮ったら?」

 

と私にコソッと言ってきた。

 

たまには(笑)いいこと言うじゃん!

善は急げ、みんなが帰る前に声かけや~。

 

私「モネ先生〜、あ、〇〇さん(帰ろうとしていた大人の生徒さん)!みんなで先生を囲んで写真を撮りませんか?!」

 

ナイスアイディア~とチビッコ大集合。我ら大人は後ろにヒッソリ。

チビッコたちの家族らもアイドルの水着撮影会の如く、パシャパシャ撮りまくりであった。

いや〜いいことした笑

 

そして本当に解散。

汗かき夫と母に

「ちょっくら着替えてくるからそこらへんで待ってて!」

と浅野内匠頭よろしくドレスの裾を引きずりながら控室にドタドタ向かっていると、見知らぬおばさまから

「ステキな演奏だった。いい演奏をありがとう」

と声をかけられた。

 

ええっっ!?そんなことないですよぉぉぉ~~~!?←まんざらでもない笑

 

天にも昇る気持ちでお礼を言い、足取り軽く控室に向かったのであった。

 

上を見ればいくらでもやることはあるが、この日は今の自分にできることを尽くし、納得の演奏を披露することができた。

心がしんと静かで透明で、それ以上でもそれ以下でもなく、ひたすら美しかった。

きっとこの曲に携わってきた長く美しい日々をずっと忘れないと思う。

 

この曲を人前で弾けるようになるなんて、最初は…いや直前まで思ってもみなかった。

それもこれもモネ先生の正しい指導、そして私の正しい努力と練習(自画自賛!)の賜物なのだと思う。

仕事でクソ忙しい日もあったけど、できる限りの練習はやった。

これだけやれば充分なんてものはないが、もっと練習していれば…と思うこともなかった。

どんな報われ方にしろ、やった努力はやっただけ絶対に報われるものだと私は思ってる。そうであってほしい、という願望も含む笑

 

 

シューマン「美しき五月に」(「詩人の恋」より)

(1曲目が「美しき五月に」だが、全曲素晴らしいのでぜひ!)

 

シューマンの歌曲は「詩人の恋」以外に有名どころとして「ミルテの花」「リーダークライス」があるが、いずれも大好き。

 

最後に発表会動画をアップしときます。

汗かき夫の斬新な構図のせいで、動画編集初心者あもちゃん、恐ろしく大変だった笑

しかも視聴する側も結構見づらいと思います、すんません。

 

私「なんで縦に撮ったの。普通は横でしょうが。」

汗「前の人の頭と頭の間から撮ったんだよ〜。横にしたら映っちゃうから。」

 

なら座席後方から撮ればいいでしょうが!

とか言わない笑

 

しかもしかも

名前のアナウンス→演奏→舞台袖に帰っていく

までが普通?の動画撮影だと思うのだが、前衛的な汗かき夫の動画は

いきなり最初のお辞儀(しかも頭を下げたとこ)から撮影開始、演奏終了後立ち上がって歩き出したところで動画終了…

 

私「なんでこのタイミングで始めて、このタイミングで終わったの?」

汗「そりゃ拍手しないといけないし、こっちも色々忙しいんだよ〜」

 

動画撮影者が拍手なんかせんでもええ!

とか言わない笑

 

撮影していただけるだけで感謝デス(棒)

 

そんな斬新な構図の演奏を生温かい耳で聞いてやってください。

ここまで延々エラソーなこと書いてきたが、

あ・く・ま・で・も!(お・も・て・な・し風に)

今のあもちゃんができるだけの演奏であって、くれぐれも絶対に期待しないでいただきたい。

 

↓サムネからもわかる、ショート動画でもないのにめっちゃ縦!笑