公訴時効は、犯罪行為が終わらず続く限り、進行しない | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

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 刑罰が定められている行為、つまり、犯罪行為をおこなった者がいる場合、被害を受けた人や義憤を覚えた人が、勝手に制裁を加えるのではなく、検察官が裁判所に、「裁判をしてください」と訴えるが、いつでも訴えることができる訳ではない。検察官が裁判所に訴えるのにも時効があり、時効は、犯罪行為が終わった時から進行する

 いわゆる公害犯罪処罰法3条1項に拠れば、国家は、「業務上必要な注意を怠り、工場又は事業場における事業活動に伴つて人の健康を害する物質を排出し、公衆の生命又は身体に危険を生じさせる行為をおこなった者」を、処罰する。具体的な刑罰は、2年以下の懲役など又は200万円以下の罰金である。

刑事訴訟法250条2項
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
六(号) 長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
(一号から五号と、七号は、省略しました。下線の「長期」=「最長でも」)


 上記の条文に拠れば、公害犯罪処罰法3条1項に該当する者は、その犯罪行為が終わったときから、3年の歳月が経てば、時効が完成(=成立)し、検察官によって訴えられる懸念がなくなる。

 間もなく、東京電力株式会社が、「業務上必要な注意を怠り、人の健康を害する物質を排出し、公衆の生命に危険を生じさせる行為」をおこなってから、2年の歳月が経つ。いや、公衆の生命に危険を生じさせる行為は、今も続いているので、「時効は進行していない」と、解すべきか。
もしも、「業務上必要な注意を払っていたにも関わらず、人の健康を害する物質を排出し、今も排出している」としても、原発を推進してきた経産省の責任は、変わらず重大である。

 私は疑い深い人間なので、「東電は、あと1年ほど経てば、公害犯罪処罰法3条1項に関しては、時効が成立すると、思っているのではないか」と、疑っている。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則