外部委託、部署単位での子会社化、店舗単位でのフランチャイズ化などなど。
民間の、どの業界においても、そして、各業界の最大手企業も、そうでない企業も、ありとあらゆる手法を駆使して、人件費の削減を推し進める。ひたすら、本社の利益を最大化し、本社の配当性向を高止まりさせ、本社の株価を高止まりさせる。
駅にいる駅員は、JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)の従業員ではないかもしれないし、京急バスの運転手は、京浜急行バス株式会社の従業員ではないかもしれないし、ヤマダ電機の店舗で働く従業員は、株式会社ヤマダ電機の従業員ではないかもしれない。
本社の株主の利益を最大化させるために、どんどん、人件費を削る。そうやって、株主至上主義の経済を推し進めれば、国全体の経済はどうなるか。個人の金融資産が、どんどん、偏在化、局在化する。
国全体を見れば、個人の所得のうち、投資活動に充てる金額の割合が増え、消費(購買)活動に充てる金額の割合が減る。
だから、所得税、法人税、消費税を主要な税目とする、この国の一般会計税収の対名目GDP比が下がり続け、一般会計税収の金額自体も、減り続ける。ならば、どうするべきか。
「人口比において、中流層を拡大し、超富裕層を縮小し、貧困層を無くすること」により、経済活動の安定化を図るべきではないか。
そもそも、経済、経世済民とは、世を治め、人民を救うことである。通貨制度を利用して、社会的分業の安定化を図ることにより、国民が、安心して働き暮らせるようにすることである。
この国が、戦後の一時期、実現しかけた「一億総中流」というのは、国が目指すべき一つの目標であり、財政の健全性を維持する最良の方法ではないかと、私は思う。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則