資産格差の拡大が、株主至上主義の経済を強化し続ける | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 児童手当を配ることにより、子育てをしている人を支援するということは、児童手当が配られなければ子育てしづらい社会を、結果的に作るということである。まっとうに働いて得た収入だけでは子育てしづらい社会を、結果的に作るということである。政治の役割は、まっとうに働いて得た収入があれば、安心して生活することができる社会を作ることである。

 児童手当を配ることにより、赤字国債の発行額を増やすということは、超富裕層とそれ以外の層の資産格差を、結果的に広げるということである。赤字国債を発行して調達したお金を、児童手当として配る。そのお金で、たとえば、ゲーム機を買う。

 ゲーム機製造会社は、売上げが増え、利益も増えたとする。株主価値の最大化を強く要求する大株主の意向により、増益分は、増配と内部留保の積み増しに振り向けられ、財務力が強化されたことが評価されて、株価も上昇する。増配と株価上昇により、大株主が保有する資産の額は増える。一方、国債を引き受けた超大口の投資家は、利子を得るので、やはり、保有する資産の額が増える。

 ゲーム機製造会社の大株主も、国債を引き受けた超大口の投資家も、超富裕層だろう。だから、結果的に資産格差が広がることになる。児童手当で買ったゲーム機自体は、数年後には、新製品の登場により、価値が下がるだけである。

 私が子供のころは、「技術が進み、将来は、週休3日が普通になるのでは」と言われることもあった。が、その輝ける未来は、来なかった。超富裕層とそれ以外の層の資産格差の拡大が、株主至上主義の経済を、強化し続ける。また、株主至上主義の経済が強化された結果、資産格差の拡大が加速する。
多くの国で、財政赤字の拡大が顕著になっているのは、決して偶然ではない。


神奈川県にて
佐藤 政則