消費税率引き上げの税収増効果は、1年前後しか持続しない | 佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

佐藤 政則「不易流行 -日本再生に向けて-」

変わらぬ理念の実現を目指し、しくみを修正する。
実態に合わなくなった諸制度を見直し、日本国を良くすることを目指す、政治ブログです。

 一般会計税収の総額は、消費税を導入した1989(平成元)年度の翌年度である1990年度をピークに、その後、今に至るまでずっと、減少傾向にあり、増加傾向に転ずる兆しは、全く現れていない。

 一般的には、どうしても、一般会計税収総額の減少傾向に、目を奪われがちだが、より重要なことは、一般会計税収の対名目GDP比が、消費税を導入した1989年度の翌年度である1990年度以降、今に至るまでずっと、低下傾向にあり、上昇傾向に転ずる兆しが、全く現れていないことである。

 消費税率を引き上げれば、一般会計税収が増加するかのように主張しているのは、概ね、大手のマスコミ、特に、新聞社である。日々、数字を扱う、アナリストやエコノミストと呼ばれる人で、「消費税率引き上げが、財政の悪化に歯止めをかける」と主張されている人を、私は、未だ見たことがない。

 消費税率引き上げの税収増効果は、がん患者などに対し鎮痛薬として使用されるモルヒネの効き目と同じで、長くは続かない。いや、効果があるのは、ほんの一瞬である。前回、消費税率を引き上げた1997(平成9)年度、一般会計税収は、1.8兆円増加し、53.9兆円になったが、1998年度、4.5兆円減少し、49.4兆円になった。

 消費税が非課税である取引の分類を見直すこともなく、単に、消費税率を引き上げれば、すぐさま、法人の売上げを直撃し、法人税の税収を直撃する。そして、所得税の税収を直撃する
十二分に余資(余剰資金)を保有している人の消費活動(購買活動)は、消費税率が変更されても、質的にも量的にも変化しないだろうが、そういう人は、ほんの一握りである。

 2014年4月1日に消費税率を引き上げる行為は、崖っぷちに追い込まれている人の背をぐっと押す行為であり、その代償は、あまりに大きい。2014年度の後半になって、そのことに、やおら気付いても、後の祭りである。


神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則