己を虚しくして、歴史、特に、過去の失敗から学ばなければ、同じ失敗を繰り返し、やがて滅びる。前回の投稿の冒頭で、そう、書き始めたのは、次の事柄を振り返りたかったからである。
・23年前に導入された消費税の歴史
・37年前から今に至るまでずっと残高を抱え、15年前から急激に、その残高が増え続けている赤字国債(特例公債)の歴史
・39年前に米国の"ごり押し"で導入され、今も続いている変動相場制の歴史
単に、前置きとして、「あろうことか、前首相に続いて現首相も、法案成立を政争の具にしていること」を書いていたら、冗長な文章になってしまいました。申し訳ないです。
まずは、「経済が成長し、GDPが増加したにも関わらず、税収が減ったこと」に、気付いていただきたい。
大雑把に言えば、1988年度は、名目GDPが400兆円で、税収が50兆円。22年後の2010年度は、名目GDPが500兆円で、税収が40兆円。税収の対名目GDP比が、下がり続けている。
そして、あまりに当然のことであるが、名目GDPが横ばいで増加しない時期に、消費税率を引き上げると、まず、法人税の税収が落ち込み、続いて、所得税の税収が落ち込む。
法人税、所得税、消費税の税収の推移を表すこの図表の、平成8、9、10年度の数値を、比較していただきたい。前回、消費税率が引き上げられた期日は、平成9年4月1日である。
消費税率を引き上げれば、税収は、一旦、微増したあと、急激に落ち込むだろう。そうなってからの巻き返しは、非常に難しい。税法において大切なことは、直間比率ではなく、フローに着目した税と、ストックに着目した税の比率であると、私は確信している。
神奈川県横須賀市にて
佐藤 政則