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なんでこんな目に合うの？
こんな理不尽なことが？…
毎日が平穏に過ぎていけばよいのですが
そうはいかない時がありますよね。
私も、ツラいことが時々襲ってきて
そんな時は、いろんな強い感情に押し流されて
イライラしたり、気分がふさぎ込んだりすることがあります。
ある患者さんのご家族。
いつも、受診のときには患者さんに付き添っていました。
はっきりした理由も告げてもらえずに
信用できない。他の医師が良かったetc。
前から、ずっとそう思ってた…。
こんなことを宣告されました。
ええ？最近も私の外来に
何回も受診して診察や治療を受けましたよね？
そして、そのまま入院となった時も担当しましたよね。
今も、担当医として入院中ですよ？
ええ？苦情を厚労省に訴えたんですか？
それ何の苦情で？
そんなに嫌なら、私の外来日を避けて頂きたかったのですが。
そんな思いがぐるぐる巡りました。
患者さんの病状や治療について話がしたいのに
遮るように一方的にそんなことを言ってくる。
説明するたびに、それの繰り返しです。
患者さんについての病状説明は思ったようにさせてもらえないし
正直、意味の分からない苦情を一方的に言ってくるし。
本当に、何が何だかわからない状態で
気持ちが塞いでいました。
周りに聞いてみると、どうも、私だけでなく
病棟のNs達にも、よく似たような言動をとっていることが分かって。
思い通りにならないことがあったら
爆発しちゃうんですかね。
その状態になると、思ったような会話が成立しないので
詳細はわかりませんが。
こんなことがあって
私の中に、「こんな、理不尽なこと。耐えられない。」
気持ちがザワザワ波立っていたときに見つけたんです。
皆さんは「エピクテトス」という哲学者をご存じですか？
「ストイック」（禁欲的）という生き方を打ち出した源泉のひとつであり、
キリスト教、仏教、無神論など、様々な立場の違いを超えて
古今東西、多くの偉人たちにも影響を与えた
古代ローマ時代の哲学者なのだだそうです。
エピクテトスは哲学史上でも珍しい「奴隷」出身の哲学者です。
奴隷としての出自、慢性的な肢体不自由、国外追放の辛酸
塾講師としての不安定な収入、といった多くの困難を抱えていましたが
そんな人生という一定の制約の中で
「自分の手で変えることのできるものは何か。またその反対に受け入れなければならないものは何か。」
その境界を正しく見極めることで
真の自由を享受し、幸福な生活にあずかることができると説いています。
私たちも、エピクテトスほどの苦境ではないにしても
すべてが満ち足りて、何も困りごとや不満が無い状態が
常に続くわけではないですよね。
「隷属と自由」というエピクテトス自身の課題は
私たちの生活の場面にまでつながっていると感じています。
この患者さんのご家族については、私にはどうしようもないこと。
今後の診療に差支えがあるし、医局会で相談しよう。
良い解決法が見つかりますように。
もちろん、ポリヴェーガル理論とセルフコンパッションも駆使して
自分を癒すのも忘れずに。
エピクテトスの言葉を詳しく知りたい方は、こちら。
