episode#7 最終話

転覆したタクシー内でオロチが呻いている。

車外に放り出された携帯から着信音が・・・

 

<光庵寺の隣接駐車場>

拓海がオロチに電話していた。が、でないので、そろそろ切り上げましょうと後藤と麗子に目配せする。

 

後藤「さあ、もうええでしょう。川合さん体調悪いんだから、お寺の見学はやめて、このまま石洋に行くことにしては?」

と畳みかけるが、

「いえ、ぜひ拝見させてください。川合様が先祖代々守られてきた土地をお分けいただくのですから、ご本尊を拝見せずに契約を済ませてしまったら罰があたります。こうみえて我々の仕事は信心を重んじるんですよ」

と、青柳は動じない。できる会社員です。

 

光庵寺の門を開け、一同が境内に入る

 

拓海「10分で終わらせましょう」と。

 

<本物の川合菜摘>

順調にタクシーが進み。近くまで来ている。

 

<光庵寺>

青柳が重要文化財を見たいと言うので、麗子が本堂の扉を開けようとするがなかなか開かない。

 

参道に一台のタクシーが・・・進んでくる。本物の川合菜摘か?

 

麗子は益々焦る。青柳たちも手伝う。

タクシーは近づいてくる。

 

 

ようやく開いた。タクシーから降りてきたのは、墓参りの老夫婦だった。

 

一同が堂内へ入る。「これはすごいな。拝ませていただきます」と青柳。

 

「さあ、もうええでしょう。川合さんこの後も寺の仕事もあるんやから」と後藤が言い出すが、

「最後に一つだけ確認があります。先週、私宛に届いたものです」と、青柳があの配達証明付きの封筒を取り出した。

 

封筒の中身は?

お寺見学は本物到着までに終了するのか?

 

以下、ネタバレです。

 

<光庵寺内>

青柳に封筒を渡され、麗子が内容を確認する。

”この土地を売る気はない。この取引は事実無根。騙されている”

 

後藤が慌てて確認をする。「こんなん嘘に決まっているでしょ。怪文書ゆうやつですわ。知ってるでしょ。でかい取引の時にはこうゆうのが出回るというくらい」

 

「土地の情報を知った他社が妨害工作を企てた可能性もあります。ですが、これが本当に川合様が書いたものではないという…」青柳を遮るように後藤が、

「たいがいにせえよ!!!失礼やないかい。なんで川合さんがそんなん‥」と大声をあげるが、

「黙れ!こっちも110億円がかかってんだよ!」と青柳も怒鳴り返す。

 

麗子がしくしくと泣き始め、「私は嘘をついておりました」

 

「あれは重要文化財ではありません。どうぞこちらへ…」と奥に誘導する。

本物の重要文化財は正面の仏像ではなく、奥にあり、公開はしていないのだった。

事前に拓海がこれも覚えておいてくださいと麗子に伝えた情報だった。

 

そして、怪文書は自身が書いたものではないことを、仏に誓うとまで言いきったため、青柳も納得したのだった。

 

一同が和やかに寺の門から出ていく。

「失礼します」「ここ扉閉めておきますね」と麗子に挨拶をした時、青柳の部下が急に立ち止まり「あ、ちょっといいですか」と再度、門をくぐり境内に入ってきた。

?!!!

 

「これつまらないものですが、虎屋の羊羹です」と紙袋を麗子に手渡す。

 

そして、再度、一同が寺から移動しようとした時、一台のタクシーが参道に入ってきた。

本物の川合菜摘に違いない!

 

拓海と後藤は急いで門を閉めようとする。そして、拓海は「麗子さん、扉!」とお堂の扉を閉めるように指示する。

重い門はなかなか動かないが、タクシーが到着する寸前に閉まり、拓海と後藤はその場を離れることができた。

 

一方、境内に残された麗子は、お堂の扉を閉めるため、急ぐが、青柳の部下に渡された虎屋の羊羹の紙袋を手放してお堂の扉に急ぐ。閉めようとするが、重い扉はなかなか動いてくれない。

 

川合菜摘は門の施錠が開いているのに気づき、不信に思いながら急いで門を開ける。

境内を見渡しながら入ってくる。そして…

お堂の扉は閉まっているので、自宅の方に向かった。

 

麗子は扉を閉め、虎屋の紙袋を抱えて香炉の影に隠れていたのだ。

 

時間は12:45。

 

<石洋ハウス本社>

14:00

石洋ハウスとアビルホールディングスとの間で売買契約が取り交わされ、

土地の所有権移転登記と売買代金が受け渡され、速やかに取引が完了した。

 

<ハリソンルーム>

「お疲れ様でした。素晴らしい仕事でしたね。拓海さん。こちらは海外に送金してから洗浄します。後藤さんと麗子さんにはギャラを配分するまでしばらく時間がかかると伝えてください。」

竹下がするはずの仕事をハリソンがやる。

「竹下さんですか?川合菜摘が急に戻ってきたのは、これのせいですよね。」と、ネットのニュース、楓の死亡記事をハリソンに見せた。

 

ハリソンは拓海に「覚えておいてください。目的まであと一歩という時に足を引っ張るのは、敵ではなく必ず味方です。竹下さんに献杯しましょう」と言って、ウィスキーを渡した。

 

「死人がゴロゴロでるような大きなヤマですか」と拓海が無表情につぶやく。

 

<拓海の自宅>

自宅に着き、缶ビールを一口飲んだ時、ドアが叩かれた。

GPSを使って倉持が追ってきたのだ。

 

倉持はドア越しに、拓海親子を騙した西谷(佐伯一真)の行方が分かったこと。拓海親子を騙して手に入れた金の配分を巡って、ハリソンとトラブルになり殺されそうになって海外逃亡したことを伝えた。

「ハリソンは最初から辻本さんの事を知っていて地面師に誘ったんじゃないですか?辻本さんの家族をめちゃくちゃにしたのはハリソンなんですよ!今、ハリソンと辻本さんがどんな地面師詐欺をやろうとしているのか、やったのか、私にはわかりません。でもハリソンはあなたを殺すつもりだと思います」

と、名刺と写真を置いて去っていった。

 

拓海がドアを開けて、名刺と写真を拾いあげると、写真に写っていたのは、あの男(西谷)とハリソンだった。

 

衝撃を受けて吐く拓海。。。

 

<どこかの高級クラブ>

青柳と部下たちが打ち上げをしている。

そこに、社長も立ち寄り、ねぎらいの言葉をかけた。

次の人事で青柳を取締役に推薦することを青柳の耳元で囁いた。

 

ー1週間後ー

<長井の家>

拓海が訪れると長井は引っ越しの準備をしていた。

今回は大きなヤマなのでさすがに警察も動くだろうということで長井は隠れる準備をしていたのだ。

「そろそろ石洋に申請却下の連絡が入る頃だ」

 

<光庵寺>

本物の川合菜摘が掃除のため、寺の門を開けると、隣の駐車場で工事のための測量が始まっていた。

「なにをしているんですか?」と工事関係者に問いかける。

工事責任者が図面などを川合菜摘に見せる。

 

<石洋ハウス会議室>

土地取得が完了したため、建物などの詳しい説明を役職メンバーにしている。

部下に電話が入り、青柳は会議を中断して退出する。

川合菜摘が警察を呼んだこと。

更に追い打ちをかけるように、法務局から登記申請却下の連絡が入った。

青柳は訳もわからず、とにかく現場に向かった。

 

<光庵寺>

野次馬をかき分けて人込みを抜けると、そこには警察官と一人の尼僧がいた。

あれが川合菜摘?

 

ライバルの羽場の言葉が脳裏によみがえる。

「地主と会っていないってどういうことだ」

「地主との直接面会もせずに100億規模の取引するなんてありえないだろ」

「地面師詐欺だったらどうするんだ」

  :

  :

「あのー川合菜摘様はいらっしゃいますか?」

「え?私が川合菜摘ですが」尼僧が答えた。

「この人、川合菜摘じゃないですよね。違うって言えよ」

 

青柳は騙されたことに気づき、茫然と来た道を戻っていき、車道へ出たところ

車にひき殺された。

人込みの中にはハリソンの姿が・・・

 

<長井の部屋>

警察指令本部ページのハッキングと無線を盗聴している。

高輪で事件が起こった。

光庵寺近くで人身事故があった。

「これちょっと急いだ方がいいかもね。パスポート必要なら用意するけど」と長井。

拓海は頼みたいことがあると…。

 

ー数日後ー

<警視庁捜査二課>

石洋ハウスの件は、社内が揉めていて告訴状がまだ出ていないので警察がまだ動けていない。

倉持の電話が鳴った。

 

<病院>

入院しているオロチの部屋。

拓海がお見舞いに来ている。叙々苑の袋をオロチに渡す。

弁当の下には大金が・・・。竹下には連絡がとれず、入院費もあるからと。

オロチはまだ地面師になりたいと言っている。

お薦めできないと言う拓海に、中卒だからなれないと言っているとオロチは返す。

 

<ハリソンルーム>

拓海が部屋に入ると、家具がなくなりがらんとしていた。

ハリソンは深夜の便で海外に出発するという。

 

「さすがに今回は難航しましたからね。でも拓海さんのおかげで無事成功を収めることができました。何年になりますか?拓海さんと組んでから」

「5年ですね」

「そうですか。わずか5年で我々は随分と遠いところまで来てしまいました。どちらか一人だけでは到達できなかったでしょう。でも、私個人はもっと先に行けると思っています。想像も及ばない遠い遠いところまで。ついてきてくれますよね?」

「後藤さんと麗子さんは?」

「お二人は今回で最後にしたいという意向を示されました」

「竹下さんのようになるんですか?」

「なんらかのペナルティは必要になるかもしれませんね。何かを得るには何かを失うのが常ですから…」

 

<なりすまし予定だった谷口の部屋>

呼び出し音がなったのでドアを開けてみると、洗濯機の上に香典袋があった。

部厚い帯封がついた札束が入っていた。

 

麗子は携帯より谷口の情報を削除し、気分よさそうに歩いている。

背後から作業着の男二人が追いかけてきた。

 

<焼肉屋>

後藤が家族と焼肉を食べている。

カナダへすぐに行こうと妻に伝えている。

後藤がトイレに行くと、作業着の男がレジ袋を手につけてきた。

 

<ハリソンルーム>

「そうやって仲間やなりすましを殺してきたのか…俺の家族も」と、西谷とハリソンが一緒に写った写真を見せる。

「拓海さんのご家族に関しては私は関係ありませんよ。お父様が勝手にやったことですよね」

「いや、あんたが殺したも同然だ」

「そう思われるのも仕方がありませんが…私が拓海さんを地面師に誘ったのは本当に偶然なんですよ。覚えていますか?初めて会ったあの日のことを…あの時、私は直観したんです。この男は私と同じ種類の人間だ。育ててあげたいと思ったんです。その後、拓海さんの名前を知って、私が騙した男の息子だとわかった時にはびっくりしましたが、逆に運命的なものすら感じました。家族を死に追いやった地面師を探すために自ら地面師になる。拓海さんにとって苦渋の選択だったかもしれませんが、それは必然だったんですよ。あなたはなるべくして地面師になったんです。

私と組んでいくつもの詐欺を仕掛け、何人もの人間を騙し、地獄に叩き落としてきた。いつしかそれ自身にエクスタシーを感じるようになっていたんじゃないですか?拓海さんはもう地面師なんですよ…」

 

いや。俺は地面師じゃない。長井に頼んでつくってもらった拳銃をハリソンに向けた。

 

拓海は「あんたを殺して自首する。そして全部話す」

 

が、ハリソンは「残念です。拓海さんとはもう少し一緒に居たかった」と、その時、拓海の脇腹がナイフで刺された。

オロチだった。

 

地面師になりたいとハリソンに相談したオロチのテストだった。

 

「合格ですか?じゃ、とどめ刺しちゃいますね。拓海さんごめんね」とオロチが拓海に飛びかかろうとした瞬間、二発銃声がした。ハリソンがオロチを撃ったのだ。そして、もう一発、とどめを撃つハリソン。

 

次は拓海だ。

が、拳銃には弾がなかった。

 

ハリソンと拓海は殺し合いをする。拓海の体力が限界にきたとき、倉持が拳銃を構えて入ってきた。

銃口はハリソンに向けたまま、引き金はひかない。

その様子を見たハドソンは「撃たないんですか?あの刑事さんなら撃ってますよ」

そして、隠し持っていた手榴弾のピンを抜き、拓海の方に投げた。

 

拓海は立ち上がり、手榴弾をハリソンに向けて投げた。爆発が起こり、倉持と拓海は暴火に吹き飛ばされた。

 

<警察病院>

拓海の病室に倉持が訪れる。

拓海の供述により、地面師詐欺事件として捜査が行われ、アビルホールディングスの阿比留社長が逮捕されたが、石洋ハウスは責任者の青柳が死亡していることもあり曖昧な供述を繰り返すばかり。

 

倉持は拓海に質問を投げかける

「地面師をやっていた5年間、どんなお気持ちだったんですか?」

拓海は、ハリソンが言っていたようなエクスタシーを感じることは一度もなかったが、ただ逃げたかったからもしれない。辻本拓海という現実から逃げて嘘の世界を生きたかったのかもしれない。

復讐は忘れたことはなかったが、やり続けていくうちに地面師という仕事にのめりこんでいったことは否定できない。

 

「仕事ではありません。犯罪です。あなたも他の地面師もハリソンも、許されることのない犯罪者なんです」

倉持がきっぱり言い放つ。

 

ハリソンの行方はまだ分かっていない。

 

<雪の降る山>

ハリソンが猟銃を撃つ。
 

 

ー感想ー

一気見してしまうほど、スピーディなストーリー展開で、俳優さんたちの演技に惹きつけられました。映像もストーリーも素晴らしく美しくつくりこまれており、どの場面をとっても熱を感じました。何度も見直してしまいます。

それぞれの俳優さんが持ち味を発揮して演技力がぶつかり合っているからこそと思いました。

ストーリーの内容としては、地面師詐欺という反社会的な題材ですが、人間というものの弱さゆえの貪欲さが引き起こす事件や争いについて考えさせられる深いテーマを感じました。

素晴らしい作品です。

★★★★★

  「地面師たち」のネタバレと感想などの目次

各エピソードのページをまとめました。

  主な登場人物

新庄耕の小説が原作。Netflixの配信ドラマ。

土地の所有者になりすまして多額の代金をだまし取る不動産詐欺を行うには、各分野で専門技術を持った地面師がチームで活動する。「地面師」。2017年に実際に起きた被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしている。

 

主な登場人物

【地面師グループ】

・辻本 拓海(綾野剛)ーハリソン山中の腹心的な役割

・ハリソン 山中(豊川悦司)ー地面師集団のリーダー

・後藤 義雄(ピエール瀧)ー元司法書士、法務担当。ブローカーとの交渉役

・稲葉 麗子(小池栄子)ー都市所有者のなりすまし人物を手配するキャスティング担当

・竹下(北村一輝)ー物件・所有者のリサーチ担当

・長井(染谷将太)ー証明書類を偽造するニンベン師

 

【警察】

・警視庁捜査二課:下村 辰夫(リリー・フランキー)

・新人刑事:倉持 玲(池田エライザ)

・辰の上司:羽場(岩谷健司)

 

【石洋ハウス】

・青柳 隆史(山本耕史)ー開発事業部部長

・須永(松尾諭)ー商業事業部部長。青柳のライバル。

・安倍川 久雄(谷川昭一朗)ー石洋ハウス社長

・和田島 努(本田清澄)ー石洋ハウス会長

 

【主な登場人物】

・光庵寺住職 川井 菜摘(松岡依都美)ー土地所有者

・阿比留 剛(安井順平)ーABIRUホールディングス社長

・楓(吉村界人)ーCRAZY LOVEのホスト。川合菜摘は太客