episode#4
高輪の3200㎡の土地アビルホールディングスに100億で売り、
石洋ハウスに114億程度で買わせる。
契約が大詰めにきたら所有者の川合菜摘には1度だけ会わせる。
その日、本物の川合菜摘を外に連れ出す(楓を使って)。
地面師たちは動き出した。
パンいちの楓が屋上の柵の外側で叫んでいる。首に巻かれたベルトがなければ落下しそうな状況。
拓海がその様子を撮影しながら、「あの~、楓さん、そんなたいしたお願いをしたいわけではないんですよ。ただ絶対に断って欲しくなくて」と言う。
楓がかぶりがちに「やる。やる。やるから。」
「ああ?おまえなんでこの状況でタメ口なの?」と絶妙な突っ込み。
楓は「なんでもやります。お願いします。」と必死の形相。
いよいよ計画が動き出した。
以下は、ネタバレです。
<ハリソンルーム>
拓海が撮影した楓の様子をスクリーンで観ながら、「これで川合菜摘はいつでも連れ出せます」と拓海がハリソンに報告する。
「追い詰められた時の人間の表情はすばらしいですね。このまま手を離された時の表情も見たいくらいですが」とハリソンはご満悦。
ハリソンが話し出す。
「ダイハードという映画を覚えてますか?映画の最後、強盗グループのハンスがビルから落ちるシーン。あれはもちろん合成ですが、実際に13mの高さから落とされていて、スタッフが『スリー・トゥー・ワン・ゴー』で手を離すと説明していたのに、実際は『スリー・トゥー・ワン』で手を離した。だからあの驚嘆と恐怖がミックスしたリアルで素晴らしい表情が撮れたそうですよ。
ハンス・グルーバー、あれはいい悪役でした。頭脳明晰、冷酷無比。極悪非道ながらもジェントルマンでユーモアもペーソスも持ち合わせた実に魅力的なキャラクターだった。あの映画が傑作たりえているのは、薄汚い正義の主人公ではなく彼の功績ですよ」
と。
後藤がアビルホールディングスとコンタクトがとれ、そろそろ土地の情報も伝わるはずなので、なりすまし役をそろそろ急いだ方がよいだろう。
拓海が麗子に連絡しておくことを約束した。
拓海は竹下の様子をハリソンに尋ねる。「さあ。最近、姿を見せませんね。彼の仕事はほとんど済んでいるので構わないのですが…」とハリソン。
<竹下の部屋>
シャブ中の竹下。
<石洋ハウス社長室>
安倍川社長が青柳に代替の土地取得の状況を尋ねている。
まだなんとも言えないと言いながら、高輪に大井町より更に良い土地があるのだが、所有者が売却しない意思が固い。
安倍川社長は、「昔のように荒っぽいやり方をするわけにはいかない。お互い随分危ない橋を渡ってきたな。だが、私もお前もここから更に上に行くためにはこんなところで躓いている訳にはいかないんだよ」と、情に訴えながら圧をかける。
来週から会長がカザフスタンに1か月の予定で出張する予定だが、もう少し時間がかかりそうなので、その間になんとか土地を取得せよとの命令が。青柳ピンチ。
<石洋ハウス開発部>
例の土地の資産管理人がアビルホールディングスに土地売買を依頼したとの情報を部下から報告を受ける。
部下も、過去に取引のない小規模のアビルホールディングスに不信感を抱くも、昨年の年商・信用調査でOKだったこと、そして相談役に議員の妻の名前があることを確認したので、競合他社も情報に気づいているのでは…との危惧もある。青柳に判断を仰ぐ。
青柳は、すぐにコンタクトをとるよう命令する。
<ニンベン師&ハッカー長井の部屋>
売買契約書の金額部分の黒塗りを依頼。
<熱海の旅館の麗子>
拓海から動きがありそうなので、キャスティングを急ぐようにとの電話。
例の掃除婦に声を掛ける。身の上話をしながら近づいて掃除婦の弱みを探る。
金に困っていること。一人息子の手術費用がすぐにでも必要。
麗子の目が光る。
<警視庁捜査二課>
倉持が辰に相談。
拓海が家族との絆を完全に断っているとは思えない。命日が近づいているので、妻と息子のお墓参りに現れるのではないか?との仮説を立てる。
上司の羽場が、辰が以前調べていた地面師詐欺の事件で絡んでいた不動産屋(林)が殺害されたことを告げる。
辰は現場に向かう。倉持には拓海の件を任せた。
<林の会社>
現場検証に辰が現れる。争った形跡がない現場。妙に整頓されている。自殺と考えるには不審な点もある。カレンダーに目を留めると、当日の予定に「Gアヒル来訪」との記載。
<石洋ハウス>
アビルホールディングスの社長とのアポが5日後15時に設定された。
川合菜摘と財務担当、資産管理アドバイザーが参加するという。打ち合わせに向けて慌ただしく準備をする青柳と部下。
<ハリソンルーム>
石洋ハウスが餌に食いついた。
麗子からは、例の掃除婦(谷口 俶恵)の写真が届いている。
ハリソンと拓海は直観でいけると感じた。
一人息子の手術費500万が早急に必要であり、脱毛所のため剃髪のハードルも低い。
が、なりすましの件はこれから話すとのこと。
<警視庁捜査二課>
倉持と辰が「Gアヒル来訪」の「アヒル」が不動産会社ではないかと考え、調べ始める。が、該当する不動産屋はない。
明日、倉持は拓海の父:辻本正海に面会のため、千葉刑務所に行く予定。
倉持が辰の家族や家の状況を尋ね、辰の家族愛について褒める。辰は恥ずかしがる。
<辰の家>
帰宅した辰は、缶ビールと缶詰で一人晩酌中。パジャマ姿の妻が現れるが、そっけない会話。「体の調子はどう?あと半年もないんだから無理しないでくださいよ」と。辰は「旅行でも行くか?退職したら時間もあるし、友里(娘)たちも誘って沖縄にでも?退職金もあるしそのくらい贅沢してもいいだろう。友里がだめなら最悪おまえと二人でもいいし…」といって、「最悪というはないけれど」と失言にはたと気づき言い改める。「そうよね。最悪ということではないわね」と。
自室に戻った妻は離婚届を見つめる。妻の欄は記入済。
なんとなく居心地の悪そうな辰は、醤油を書類にこぼした。「アヒル」⇒「アビル」?
「アビル 不動産」をネットで検索すると…アビルホールディングスがヒットした。
<千葉刑務所>
倉持が拓海の父:正海と面会中。
「家族で過ごした一番楽しい思い出ってなんですか?」
突然泣き出す正海。「私が殺した…」
倉持は、「もうすぐ命日なので、その日にお墓参りに来るのではないかと思う。新しくお墓を建てるなら、楽しい思い出があったところの近くなのではないか?なにかありませんか?」と尋ねる。
すると、事件の一年前、伊豆の稲取に家族で旅行に行ったことを正海が告げた。
倉持は伊豆の稲取のお墓を探すとのこと。
上司の羽場が、妻の手作りジャムを辰に渡す。その時、羽場の携帯に着信があり、会話は中断する。辰はPCでアビルホールディングスを調べている。
<伊豆の稲取>
倉持が一つ一つ寺を訪れ、辻本家の墓がないかを捜索している
<高輪の寺近くの見張り部屋>
オロチが撤収のために片づけていると、竹下が突然現れ、オロチをボコボコにする
<石洋ハウス>
青柳が部下の作成した資料をチェック。全然ダメ。もっと気合入れてやれ。100億、100億の仕事。と発破をかける。
<掃除婦谷口の息子の病院>
麗子が谷口と共に、息子の見舞いへ。プレゼントを渡す。麗子の優しさにホロっとする。
<ハリソンルーム>
打ち合わせ当日の席配置について後藤と拓海が打ち合わせ。
<アビルホールディングス前の喫茶店>
辰が張り込み中。出入りを監視中。
<病院>
麗子が谷口になりすましのオファーをする。手付金で50万、引き受けてくれたら残りの450万を払うと。
<ハリソンルーム>
ハリソンに電話が入る。「わかりました。あとはこちらで」
<拓海の家>
伊豆の旅行での妻と息子の写真を見て、思いにふける。
<石洋ハウス>
資料の準備が整い、青柳が部下に酒をおごる。
ー翌日ー
<アビルホールディングス前の喫茶店>
辰は張り込みをしている。すると、拓海と後藤が現れ、喫茶店に入り、辰の背中隣りの席に座る。
拓海と後藤は、警察がいるとは思わずに、石洋ハウスの話・ハリソンの話・林社長の話などを始める。
突然、辰の携帯に着信が、倉持からだった。「見つかりました!多分これだと思います」。拓海の妻と息子のお墓が見つかったのだ。
拓海と後藤は喫茶店を出て、アビルホールディングスに入っていく。
それを追い、喫茶店を出る辰。携帯が鳴る。出てみると、「お久しぶりです。ハリソン山中です。さすがですね。もうそこまでたどり着くとは。だがそこまでです。私たちもこれから大事なセレモニーがはじまるので邪魔をされては困ります」と。
突然、作業服を着た複数の男たちにビニール袋を被せられた辰は、バンに乗せられて連れ去られる。
男たちの一人が外国語で電話している。
<アビルホールディングスの会議室>
石洋ハウスと陣内(後藤)・間宮(拓海)の打ち合わせが始まった。
川合菜摘は体調不良で来られないが、こちらの件については全権委任されている。
石洋ハウスは、所有者の川合菜摘との面談を希望するが、後藤が取り合わない。今日の結果次第。
石洋ハウスは、周到に準備したプレゼンを始めるが、「こんなんまだ早いでしょ。先に決めることあるんとちゃいます?」と後藤が急かす。
既に川合菜摘とアビルホールディングス間で売買契約が成立しているため、拓海が契約書を石洋ハウスに提示する。(金額の部分は黒塗り)
書類を確認する青柳。
<廃墟のビル>
辰は、男たちに伴われて廃墟ビルに連れてこられる。そこに居たのはハリソンだった。
拳銃はハリソンが持っている。
辰は「最後に自分の銃で撃たれると思わなかったよ」と。
ハリソンは「警察は身内が殺されると異常にヒステリックになりますからね。そんなリスクは犯しませんよ。あそこから飛び降りるんです。自殺するんです。下村さんは」
<アビルホールディングスの会議室>
川合菜摘の運転免許証と印鑑証明書の確認
青柳の部下が「それで具体的にはいくらでお考えなのでしょうか?」
当該物件の利点を述べる拓海。売主から常識的な範囲でと任されているため「140億で」と。
予定していた金額をオーバーし、驚く石洋ハウスチーム。
<廃墟のビル>
ハリソンの携帯には、辰の自宅で妻と娘が孫二人のプール遊びを見守っている映像が映し出されている。
その画面を見つめる辰。
「あなたが飛び降りれば、ご家族には手を出さない。それはお約束します。」と、拳銃の照準を辰に合わせながら、ビルの踊り場へとじりじりと辰を追い込んでいくハリソン。
「選択肢は一つしかありません」「クソー、ハリソン…」と声ならぬ声をあげる辰。
<アビルホールディングスの会議室>
拓海の140億の提示に対して、石洋ハウス側がいくらの返答をするべきか、部下が電卓を叩きながら、青柳に価格を打診していくが、なかなか決まらない。
<廃墟のビル>
とうとう辰は屋外に出てきた。
拳銃を向けたハリソンが、「靴は脱いでくださいね。遺書が風で飛ばされないようにしますから」と遺書を見せる。
辰の筆跡で偽造した遺書だ。
<アビルホールディングスの会議室>
石洋ハウスの提示額がようやく決まった。青柳が苦慮の末、頷く。部下が「なんとか108億でお願いできないでしょうか」と述べるが、後藤が「ふっ。せっかく川合さんが相場より下げてくれてはるのに、そこから更にダンピングすんの?あんま欲書かない方がええんとちゃいますか?」。競合他社の影をちらつかせる後藤。「早く決めてくれた方と契約したい」
石洋ハウス側で再度の検討。
<廃墟のビル>
辰は、住所、追っているヤマの情報、病気のことなど、個人情報がハリソンに漏れていることで、内通者がいると確信。
ハリソンに誰かを尋ねるが、「知らなくてもいいんです。そんなものを冥土の土産に持って行っても」
「羽場理事官か?」と核心に迫る辰。答えないハリソン。「やっぱりな。金か?」「意外とリーズナブルでしたよ。さあそろそろ行きましょうか」と拳銃の安全装置を解除するハリソン。
<アビルホールディングスの会議室>
再度検討した金額を提示する石洋ハウス側。だが、118億以下では難しいことを告げる拓海。目をつぶり苦渋の選択をしている青柳。その様子を見ていた拓海。青柳が目を開けた瞬間。拓海が112億で手を打つことを提案。ただし条件つきで。
<廃墟のビル>
辰はいよいよ飛び降りざるを得ない状況にもがいている。その様子をハリソンは楽しそうに見守っている。
辰はなかなか飛び降りることができない。
<アビルホールディングスの会議室>
所有者が売却を急いでいるので、明日中に購入申込書の提出、同日に拓海側が売渡承諾書を渡す。2週間以内に契約と支払いを同時に行う。という条件を提示した。「社内の決済などがあり、どこの会社でも2週間以内なんて無理ですよ」と石洋ハウスの部下。「川合さんはすぐにでも売りたいんやから、さっさと決めないと他社に持っていかれますよ」と後藤が念押し。「いや、そんなこと言われても」と部下がなんとか応対するが…青柳は・・・「承知いたしました」と部下も驚愕の返答をする。
<廃墟のビル>
「そのまま目をつぶってください。私が押してあげますよ」とハリソン。「そうですね。スリー・ツー・ワン・ゴー」で行きましょうか。私の手をつかんで道連れになどと考えないでくださいよ。ご家族のためにも…」辰はいよいよ覚悟を決めて、目を閉じた。恐怖とも怒りとも言えない苦悶の表情の辰。
「では」とハリソンが言い、その後・・・
「スリー」と言うのと同時にハリソンは辰の胸を押した。
そして…
<アビルホールディングスの会議室>
一方、拓海側の条件を承諾した青柳は、条件を出す。売主の川合菜摘と会わせること、川合菜摘の立ち合いのもと、光庵寺境内と自宅を案内して欲しい。拓海は謎の微笑みを浮かべながら、「わかりました」と承諾する。そして、更に条件を出した。「川合様との面会は御社での社内決済を済ませてからということでお願いします」
<廃墟のビル>
辰の携帯が鳴る。ハリソンが着信を受ける。倉持からだ。「もしもし。辰さん?もしもし」
ハリソンが携帯をビルの下へ投げた。携帯が地面に叩きつけられる。カシャーン
倉持は何かを感じる。
ー感想ー
手に汗握るスリリングでスピーディな展開。辰とハリソン、青柳と拓海のせめぎ合いが絶妙。ダイハードのスリーツーワンがあったので、同じようにいくかと思えば、そこはハリソン。スリーでいきなりとは…。狂気というかなんというか。ぞくっとする。
また、リリーフランキーの演技が壮絶でこの場面は本当に見ごたえがある。が、しかし、リアル。地上波ではできない映像。
さあ、いよいよ動き出した大きな山は、計画通りにものにできるのか? ハラハラドキドキの展開がありそうで次が待ちきれない。
「地面師たち」のネタバレと感想などの目次
各エピソードのページをまとめました。
主な登場人物
新庄耕の小説が原作。Netflixの配信ドラマ。
土地の所有者になりすまして多額の代金をだまし取る不動産詐欺を行うには、各分野で専門技術を持った地面師がチームで活動する。「地面師」。2017年に実際に起きた被害額約55億円に上る「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルとしている。
主な登場人物
【地面師グループ】
・辻本 拓海(綾野剛)ーハリソン山中の腹心的な役割
・ハリソン 山中(豊川悦司)ー地面師集団のリーダー
・後藤 義雄(ピエール瀧)ー元司法書士、法務担当。ブローカーとの交渉役
・稲葉 麗子(小池栄子)ー都市所有者のなりすまし人物を手配するキャスティング担当
・竹下(北村一輝)ー物件・所有者のリサーチ担当
・長井(染谷将太)ー証明書類を偽造するニンベン師
【警察】
・警視庁捜査二課:下村 辰夫(リリー・フランキー)
・新人刑事:倉持 玲(池田エライザ)
・辰の上司:羽場(岩谷健司)
【石洋ハウス】
・青柳 隆史(山本耕史)ー開発事業部部長
・須永(松尾諭)ー商業事業部部長。青柳のライバル。
・安倍川 久雄(谷川昭一朗)ー石洋ハウス社長
・和田島 努(本田清澄)ー石洋ハウス会長
【主な登場人物】
・光庵寺住職 川井 菜摘(松岡依都美)ー土地所有者
・阿比留 剛(安井順平)ーABIRUホールディングス社長
・楓(吉村界人)ーCRAZY LOVEのホスト。川合菜摘は太客