その12・ジャポンの白亜紀化石・2
以前のオレは、クレタシアス前期化石の専門家(?)だったから、白亜紀お話しネタは尽きない。今を去ること30年数年前のある日のこと、オレは和歌山有田の某ミカン畑にいた。丘陵斜面を段々に削って、新しい苗を植えようってシチュエーションだった。丘の中腹に新しい岩盤露頭が観えた。オレの第六感センサーにビビビと来た。こりゃ、登るしかない。岩は風化が進んでいて、かなり脆かったけど、霊感に匂った通り、化石が点在していた。太ったホタテみたいなネイシアのデカい個体、オウムガイなどの良品が掘れた。オレが拾ったネイシア標本は、1977年のH博士論文で、ネイシア・カンメライ(現在は、ネイシア・アタヴァ)の模式標本の一つに使われた。
和歌山有田の思い出は、少なくない。何しろ、3年ほどに渡り、通算で半年くらい滞在していたもんね。湯浅ってとこの民宿にいたけど、ここは海岸沿いである。有田調査やってた時期には、もうもちろんフィッシングを盛んにやっていた。でも、マジメを絵に描いたようなオレは、地質調査にはロッドを持参しなかった。海より渓流が好きだったせいもある。でも、宿屋で作ってもらったオニギリを開く昼飯場所は、清流べりを選んだ。岩の入った重いリュックを背負って、テクテク歩いている途中も流れがあったら、ちょっと観察した。東京で育ったせいで、オレはオイカワ(ヤマベって呼んでた)は、知ってたけど、よく似たカワムツは、ここで始めて観た。澄んだ清流で群れで遊んでいたけど、婚姻の白い追い星が印象に残っている。
国立科学博物館分館、O博士の古生物研究室には、大学2年から入って、卒業後2年ほど勉強させていただいた。薄給だったけど(笑)、給料日に帰宅途中で釣具屋に寄ると、ギャラが泡のように消えた(笑)。この時代、いくつかの研究をO博士とミット(共同)で成案を得て、クレタ化石論文を博物館紀要で発表した。まず、和歌山県有田層群の古生物による層序区分、そして群馬県山中地溝帯のアンモナイト論文、研究室に持ち込まれたペルー産アンモナイト論文など。当時珍しかった、走査型電子顕微鏡が博物館分館に入ったとき、ペルー・アンモナイトの幼生を電子的な画像にしたことがあって、幼生側面が四角を呈していることを知って楽しんだ。
そうそう、メソゾイックでないブツ研究も手がけたことがあったね。埼玉県秩父の新生代第三紀、平仁田層から産出した鞘形類(頭足類)である。オレが博物館を去ってアマゾンに渡ったあと、新属新種のNipponirostra jeletzkyi として記載された。ちなみに、ニッポニロステラの属ネームは、オレが考えた(笑)。
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その11・ジャポンの白亜紀化石・1
極東島国は、海起源の白亜紀層がかなり広く分布する。だもんでアンモナイトは、いろんな種類が記載されている。オレが始めてアンモちゃんを掘った(拾った)のは、福島県いわき市に近い双葉層群。桜沢って薄暗い谷だった。高校地学部の夏の合宿だった。二枚貝が密集している大きな岩塊が露出していて、マッスルに自信のあったトッチャンボウヤたちは、ウシコロシの異名を持つ頑丈な柄のついた数キロのげんのうを使って、けっこう良品アンモナイト(現在・国立科学博物館所蔵)を掘った。オレは、沢の水に下半身をひたしてタマを冷やしながら、クラブの女の子たちとへらへら談笑などしながら、沢底のカケラを股の間で探っていた(笑)。と、そのとき、手のひらに乗った小さな岩塊。婉曲に肋の入ったアンモナイト特有の一部が…… 後日にオレの師匠となったO博士に鑑定してもらった標本は、異常巻きのスカフィテスと判明した。
ジャポン・クレタシアス後期のアンモナイト研究は、九州大学のM博士が超重鎮である。O博士の師匠で、超異常巻きのニッポニテスを含め多数を記載している。オレも科博時代に何回かお会いする機会があった。当時のオレは、和歌山県有田(ありだ)のクレタシアス前期バレミアン・アンモナイトの研究をしていた。バレミテスの逸品標本を掘って、科博分館(新宿百人町)のO博士の部屋(古生物第二研究室)にあったオレの机の上にラベルをつけて置いてあった。そこに老M博士が来訪。そして有田産バレミテスを目ざとく発見(笑)。カタカナで所見を書いて置いていってくれた。後でO博士からうかがったお話しだけど、「優秀なお弟子さん(オレのこと)をお持ちでうらやましい……」、とM博士が言っていた、とのこと。おぉ~、世界的科学者M博士がほめてくれたぞ。お調子もんは、軽く舞い上がった(大笑)。
ちなみに後日のこと。いわき桜沢の化石岩塊は、地元の篤志家がトラックと重機で根こそぎに自宅に持ち帰り、庭で割ったそうである。そして2種類の恐竜の(ティラノサウルス類とカモノハシリュウ類らしき)小さな小さな破片を掘り出した。
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その10・白亜紀
1億4550万年前から6550万年くらい前。ジュラとクレタシアス(白亜紀)の間には、顕著な絶滅はない。クレタには、ジュラ系からスプラッシュした仲間のメソゾイック終焉を飾るにふさわしい、キモ巨大生物の大発展があった。
海洋では、多種多様な頭足類(タコ&イカの仲間)のアンモナイト。大型は、殻直径1メートルを超えた。オレもメートル級を、宗谷岬付近クレタ層でめっけたことがある。そして美味な頭足類を酒の肴にしていた、いろいろな海棲爬虫類が巨大化した。
陸上では、もちろん大恐竜が闊歩。しかし意外に、古くからルーツが深くて芯の強いワニ類も、けっこう頑張ってた。空飛ぶヤツ、翼竜も発展したけど、恐竜系バードに、ニッチェ(生態空間)を圧されていた。下積みの皿洗いだったけど、セックスが大好きだった哺乳類くんは、胎盤を進化させ、この仲間が後世にチョオー得意としたコソドロ戦法を使って、恐竜の卵なんかをカジり始めた。メソゾイックの末期には、現代的な哺乳類が次なる大絶滅を期待して、うひひひと準備を進めていた。
淡水では、カラシンやナマズ、シクリッドなどが現れ、来るべき新時代(新生代)の爆発的な発展をもくろんで進化を始めた。
メソゾイックにあったテラ的な大型イベントは、大陸の分割であるとされる。ジュラッシックにパンゲア超大陸がゴンドワナ大陸とローラシア大陸に分かれ、クレタシアスに西ゴンドワナは、アフリカと南米に分かれたとされている。プレート・テクトニクス(大陸移動理論)ってのは、今では反論する賢人は少ないけど、いろいろな研究成果を都合よくするため、後出しジャンケンみたいな手法で固められている(笑)。
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その9・南米のジュラ紀化石
ブラジルからは、なぜかほとんどジュラシックな化石がでていない。お隣り恐竜王国アルゼンチンでは多くはないけど、いくつかの恐竜が記載されている。アロサウルスにやや近縁なのが、ピアトニツキィサウルスだ。ロシア革命(1917年)に恐れをなして、平和なアルゼンチンに逃げてきて、ラテン美女の発掘&化石の発掘に遊び呆けた白系ロシアン、ピャートニツキイさんの名前を冠している。余り完全体の骨格がでてないので、組み立てられた標本は、なんか復元がアヤシイと文句をつけてるクレーマーもいる(笑)。
草食恐竜には、パタゴサウルスがいるね。成体から幼体まで、5個体分の骨が一箇所から出たので、家族生活を楽しむキョウちゃん一家だったと言われている。全長は、オヤジ級18mくらい。
他にパタゴニアのジュラから、竜脚類なのに首が短いのブラキトラケロパン。名前が格好よすぎる肉食のコンドルラプトル、全長7mくらい、も発掘されてる。そしてアルゼンチン・ジュラの珍品化石は、アスファルトミロスって名前の、南半球系トリボスフェニック類という哺乳類。ハリモグラのような原始的なヤツで卵を産んでたかもしれない。
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その8・ジャポンのジュラ紀化石
お話しは、また東京都五日市に飛ぶ。樽(たる)ってトコに石灰岩の山があって、ジュラ紀の鳥の巣統と呼ばれた時代の堆積物だった。魚卵状石灰岩(化石ではない)ってのが有名だったけど、化石は多くはなかった。でも、シダリスってウニのトゲ完全体を拾ったことがある。
オレは、樽以外の多くを知らないけど、ジャポン・ジュラ化石で、まあ眼を引くのは、長野県の来馬層群で見つかった恐竜足跡かな? 小型の肉食竜じゃあないのかなぁ、といわれている。ディノ足跡があったのは、かなりな山奥。ツキノワクマがウヨウヨいて、ベアー足跡ならいくらでも見つかると言われている(笑)。
骨ってのは、1個体からほぼ1頭分の化石しか残らないけど、足跡ならサピー♂生殖(♀は限度あり)と同じように、うまくやれば、無数といえるほどの痕跡を残せるよね。でも、ディノ足跡付近で恐竜ボーンが掘られても不思議はない。来馬層群では、植物化石ならけっこう出る。種類から考えて、かなり温暖な気候だったと推察されている。同層群はまた、アンモナイトも多い。
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その7・ジュラ紀
ジュラシックってのは、1億9960万年前~1億4550万年前ころまで続いたとされるメソゾイックの中核だ。有名なSF映画、「ジュラシック・パーク」は、次時代のクレタシアス(白亜紀)恐竜ばっか出演しているのに、ネーミングがジュラシックってのはオカシイんじゃないのぉ、というクレーマーが早期から現れていた(笑)。
この時代のイベントは、恐竜類の爆発的な進化である。三畳紀末に祖竜である主竜類の中の強力な捕食ハチュ、プレストスクスのようなクロコダイルモルファが消えたのが、恐竜発展のトリガーになったのだろう。下積みの助演だった恐竜は、ウヒヒヒと喜んだ。これから、オレたちの世界だぜ。
ジュラッシック恐竜のビッグ・メームは、アロサウルスだね。古くから研究者に知られていて、ジャポンでは、1964年に国立科学博物館で国内初の恐竜骨格展示となった。ステゴサウルスも有名な役者だね。他に全長25mくらいとされる大型草食ブラキオサウルスってのもいる。ブラキオは、ジュラシック・パークにジュラ代表で出演してたけど、後脚で立ち上がったのはウソだ、と言っているクレーマーもいる(笑)。
ジュラ恐竜産地もっとも有名なのは、USAコロラド州のモリソン層だ。ジュラ動物の頂点に君臨したのが、アロサウルスやケラトサウルス。後者は前者よりやや小さいけど、歯は薄く鋭利で、強力な捕食肉食だったと思われる。それにケラトってように、肉食ズラの頭にツノなんか生やしてカッコウいい。
もう一丁、有名ジュラえもんに、始祖鳥がいるね。鳥だとされているけど、実際のところ、鳥類ってのは、恐竜の一群である。ヤキトリ食いながら、トカゲをイメージすんのが嫌だから、まだ分類を分けてるけどね。
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その6.南米の三畳紀化石
サウス・アメリカでは、スゴ~いトリアス・フォッシルがうじゃらうじゃらと産している。たとえば、ブラジル最南端リオ・グランデ・ド・スル州のサンタ・マリア近郊。この街は最近(今年の1月末)、ボアッチ・キッスというディスコの火事で、241人もの死者をだして世界的なニュースになってしまった。2004年、アルゼンチン・ブエノスのレプブリカ・クロマニオンってトコのディスコ火事でも194人が死んだけど、古生物に関連する南米ディスコは、古代の怨念で、烈火惨事が多いんだ(?)。余談はさておき、サンタ・マリアの有名化石を列記しよう。
★プレストスクス・・・ワニ型爬虫類、全長4メートル、絵に描いたような凶暴な肉食。全身骨格がたくさんでている
★シニコドン・・・肉食の哺乳類型爬虫類。サンタ・マリアから2種、アルゼンチンから1種、他にマダガスカル島から1種が知られている
★ヒポロダペドン(旧名スカフォニックス)・・・出っ歯の巨大カエルみたいなリンコサウルス目・リンコサウルス科の大型爬虫類。
こっから恐竜ね。小型のモノが多い。
★スタウリコサウルス・・・全長2メートル、体重30kgほどの小型肉食恐竜。原始的なテロポーダ(獣脚類)の一員とされている。
★グァイーバサウルス・・・原始的な恐竜。テロポーダに似ているが、骨格は、プロサウロポーダ(原竜脚類)の特徴を持っている。頭部がデカくてマヌケっぽいツラ。
★サトゥルナリア・・・プロサウロポーダに分類される恐竜で、全長は1.5メートルくらい。
★ウナイサウルス・・・プロサウロポーダの古代恐竜。全長2.5メートル、体重70kgくらい。
★サシサウルス・・・小型草食恐竜。全長1.5メートル、体高0.7メートルくらい。細かい歯を持つ。最古の鳥盤類の一つとされている。
三畳紀の化石は、アルゼンチンからも産出が多いね。恐竜リオハサウルスは、大型(全長10m)だった。このトリアス末期にも絶滅事件があった。海洋生物の20%と恐竜、翼竜とワニ以外の祖竜が滅びた。
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その5.ジャポンのトリアス化石
うら若かった高校時代、地学部なる部活に入っていた。明石人骨の発見者、ニッポン最後の博物学者、孤高の直良信夫博士の夢に憧れがあったからである。世田谷在住のオレが、この時代にもっとも頻繁に入ったのは、東京都五日市(現在は、あきる野市)の近辺だった。ここには、TOKIOでありながら、古生代、中生代、新生代と多様な化石が産するスグレ・ポイントが集中していた。岩井の沢ってトコが三畳紀層で、何度も行ったので、沢の入り口にある民家の若嫁さんとも顔見知りになれた。始めに、「見学だけです。化石は持って帰りません」、という大地の裂け目(沢のこと)に入る許可をもらう。「ちょっとなら、いいのよ」、というやさしいお返事に甘えて、いくつかコレクションした(笑)。
岩井の沢では、レンズ状石灰岩からアンモナイトも掘られていたけど、ほとんどエントモノチスと呼ばれる二枚貝ばかりだった。モノチスってのは、三畳紀後期ノーリアンに海中に生息していた斧足類の絶滅分類群である。アカガイとホタテのミックスみたいな感じで、いかにも美味しそう。殻を開いて、バターを乗せ、オーブンに入れるペルー風ホタテ焼きにしたら最高だろう。
ジャポンの三畳紀化石の白眉は、宮城県産のウタツサウルスって魚竜だね。写真は、見事な標本だけど、おそらくあっただろう下半身が欠けているのが実に惜しい。
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その4.三畳紀
前に記したように、メソゾイックは3つの時代に区分されている。各時代ごとの解析を始めよう。まずトリアシック・ペリオド、すなわち三畳紀は、約2億5100万年前に始まり、約1億9960万年前まで続いたとされる地質時代である。語源は、ドイツにある同時代の赤色砂岩、白色石灰岩、茶色砂岩の3つの層に由来している。まあ言ってみれば、いわゆる三色ナポリタン・アイスクリームみたいなもんとイメージしていただきたい。
三畳紀テラのハイライトは、パンゲア超大陸に決まっている。北極から南極まで、ほとんど全ての大陸が合体していた。だからテクテクを移動手段にしていたアニマルは、歩いてどこにも行けた。古生代末の大絶滅を乗り切ったハチュの一つがクルロタルシ類。まあ、現在のワニに至る系統だ。三畳紀に独特のワニ型類(クロダイルモルファ)が大繁栄。原始的な恐竜も現れたけど、まだコソコソ歩いていた。
パンゲア超大陸の東にはテーチス海(別名は、古地中海)と呼ばれる大洋が広がっていた。命名由来はギリシャ神話の海女神・テーテュースだね。テーチス海には、赤道海流があったらしくて、テラが温暖化した原因の一つとされている。
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その3.メソゾイック(中生代)
ここから表題ネタに入る。古生代に続くメソゾイックは、2億5千万年前から約6500万年前に相当するとされている。前時代の末にあった大絶滅で生き残った5~10%の連中は、ウヒヒヒと喜んだ。これから、オレたちの世界だぜ。
全体的な環境は、地球温暖化による高温多湿。すなわち、アマゾン的気候。それを利用できるような動植物が増えた。この時代のハイライトは、もちろん恐竜の出現と大進化であ~る。しかし、それ以外の動物たちも、華々しく放散している。海の無脊椎では、頭足類(美味しいタコ&イカなどの仲間)のアンモナイトが爆発的に増えた。ちなみに化石の採集ってのは、面白いのが掘れれば、たいへん楽しいもんだ。極東ジャポンでは、古生代化石だったらトリロちゃん(三葉虫)採集が夢のひとつ。中生代で掘りたいのは、アンモちゃんと定番で決まっている。オレは、極東でも二人を落とすのに成功している(笑)。
最後の白亜紀の上位にある新生代との境を、K-T境界と呼んでいる。ここで恐竜やアンモナイトを含め、種レベルで75%もの生物が絶滅した。原因の一つに、中米ユカタン半島付近に直径約10kmの隕石が落下したことが挙げられている。
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