un piquillo de amarillo

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リーガ・エスパニョーラのサッカークラブ、ビジャレアルCFの歩みの記録

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ビルバオ・ソロサウレ地区の再開発プロジェクト




バスク州ビルバオでは市街地中心部のアバンドイバラ地区に引き続いて、中心部から数キロ離れたソロサウレ地区でも大規模な再開発が進められています。画像やら写真を見ると大阪・中之島にそっくり。アバンド地区ではビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめとして、イベルドローラ本社、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)本社、居住用ビルのイソザキ・アテアなどの大規模施設が数多く建てられましたが、ソロサウレ地区でも巨大な施設が2棟建つようです。

アバンドイバラ地区に比べるとソロサウレ地区の再開発は地味に見えますが、もともとネルビオン川とデウスト運河に挟まれた半島だった土地を完全な島(中州)にしてしまうということで、プロジェクトの大きさがうかがえます。この2015年9月14日には運河の河川化に先立って、半島の付け根にあるフランク・ゲーリー橋が竣工したようです。

[写真1]現在の半島状のソロサウレ地区
[写真2]開発される先端部分




レイオアとバラカルドのトラム路線建設

サン・セバスティアン国際映画祭(1953年開始)やサン・セバスティアン国際ジャズフェスティバル(1966年開始)などソフト面を重視した街づくりを行っているサン・セバスティアンと比べて、ビルバオが大型公共事業を中心とする街づくりを行っているのは明らか。バスク州初の地下鉄であるメトロ・ビルバオ(1995年開業)、バスク州初のトラムであるビルバオ・トラム(2002年開業)に続いて、今後数年間でビルバオ都市圏のレイオアバラカルドにもトラムの新路線が開業するようです。

レイオアは人口約3万人の自治体。レイオア・トラムはネルビオン川の左岸と右岸にある地下鉄駅をターミナル駅として、レイオア市街地やバスク大学レイオアキャンパスを結ぶ路線です。バスク大学レイオアキャンパスは谷を開発して建設されたキャンパスであり、周囲に住宅地はありません。バスク大学3キャンパスで最大ではありますが、日本の総合大学に比べると遥かに学生数は少ないと思われます。学生以外の乗客は見込めなそうですが、谷を開発して住宅地を造成する計画でもあるのでしょうか?

バラカルドは人口約10万人。ビルバオのベッドタウンとして高層住宅が並ぶ市街地があり、巨大なエキシビションセンターや植物園があります。日本だと比較対象となる町がありませんが、なんとなく横浜市の港北ニュータウンが頭に浮かびました。バラカルド・トラムは環状線であり、地下鉄駅や鉄道駅との乗り換え駅はあるものの、バラカルド市街地内で路線が完結しているようです。大都市郊外のベッドタウンに建設される環状線のトラムという点では、マドリード南郊のパルラにあるパルラ・トラムと同じです。パルラ・トラムはスペインで4番目に建設されたトラムを自称しており、人口規模がほぼ等しいパルラ・トラムの存在がバラカルド・トラムの建設計画に大きく影響しているのは間違いありません。

スペイン有数の都市圏とはいっても、ビルバオの都市圏人口は約100万人にすぎません。その都市圏の中に地下鉄2路線を走らせ、中心市街地にトラムを1路線。さらに郊外のベッドタウンにトラムを2路線建設する、というのはずいぶんと大胆な都市計画です。開業から6年で廃止されたベレス=マラガ・トラム、建設に11億ユーロもかけながら開港から3年で定期便がなくなったシウダ・レアル・セントラル空港、正式な開港から4年後に初めて定期便が飛んだカステリョン空港などの前例があるため、スペイン全土で大型公共事業への視線が厳しくなっていると思いますが、そんな時期にあえて建設されるレイオア・トラムとバラカルド・トラム、ソロサウレ地区の再開発には今後も注目しています。

レイオア・トラムが通るらしい、ネルビオン川をまたぐ昇開橋。建設費はいくらかかるんだろう...


バラカルド。市街地(右)、スタジアム(中央)、ネルビオン川(上)


バラカルド市街地とトラムの路線図

すごく久々のエントリー。なんだかすみません。

Crosed Rooms
2015年10月9日(金) 新宿バルト9(東京都)
2015年10月23日(金) 梅田ブルク7(大阪府)
2015年10月30日(金) 横浜ブルク13(神奈川県)
※ラテンビート映画祭での上映。各会場1回限り。

(あらすじ)著名な画家アマデオ・ラックスの孫娘ビオレタは祖父が暮らした古い邸宅の隠された部屋で女性の遺体を発見する。偉大な画家アマデオは殺人犯だったのか? 20世紀初頭のバルセロナで隆盛を誇ったラックス一族の隠された真実に迫るミステリー。カレ・サントスのベストセラー小説をスペイン国営放送局RTVEがドラマ化。


10月13日(金)、大阪・梅田のブルク7でスペイン映画『Crosed Rooms』(原題 : Habitaciones cerradas)を観ました。ドラマ『情熱のシーラ』に主演したことで日本でも人気を得ているアドリアーナ・ウガルテ主演のミステリーで、ラテンビート映画祭(LBFF)の一部としてこの日の18:30から1回限りの上映でした。東京会場では来日したウガルテや監督のティーチインがあったそうですが、本編をスクリーンで観ることができただけで満足です。

舞台は1909年から1937年までのバルセロナであり、ブルジョア階級のある一家の、特にこの一家の主人である画家にまつわる謎を、2010年代に生きる子孫が解き明かす、というプロットになっています。バルセロナ出身の小説家カレ・サントスが書いた小説が原作。上映時間は160分と長く、スペイン本国ではテレビ映画として放映されたようです。2回か3回に分けて放送されたのでしょうか。

テレビ映画らしく最初の約20分は状況をセリフで説明するシーンが多く、鑑賞者を置いてきぼりにしながらサクサク進んでいきます。現代パートも過去パートも登場人物は一様にキャラが立っており、特に主人公の乳母役の女優さん(かなりの美人!)、主人公の母親役の女優さんがお気に入りです。主人公の妻となるウガルテが登場するのは物語が半分を過ぎてから。私は『情熱のシーラ』を観ていないので、この方が演技しているところは初めて観たのですが、さすがに先頭にクレジットされるだけあります。この映画に登場する多くの女優さんの中でも圧倒的に輝いており、ラスト近くでの(無駄に登場する)ベッドシーンでも男性客の目を楽しませてくれました。

中盤までは登場人物の関係を把握するのに手こずりますし、この映画のキモが「Crosed Rooms」にあることが見えにくいのですが、すべての謎は物語の終盤に解決されます。金曜夜に50-60席が埋まった観客は満足してスクリーンを後にすることができたと思います。『情熱のシーラ』の影響か、この日のブルク7では女性客が7-8割を占めていたように思います。主人公の乳母、母親、妻(ウガルテ)、画家の孫(現代パートの主人公)など、この映画の登場人物は強い女性ばかり。男優陣は主役の画家を除いて引き立て役のような感じでした。

アドリアーナ・ウガルテ主演という話題性から、劇場公開してもそこそこ客入りを期待できる作品だと思います。160分という上映時間の長さ、本国ではテレビ映画として公開されたことなどから、実際には日本での一般劇場公開は難しいでしょうが、DVD化されるといいな。






フラワーズ
2014年10月-11月 東京国際映画祭とラテンビート映画祭(共催)で上映

(あらすじ)人妻であるアネのところに、差出人不明の花束が毎週届くようになる。アネは心当たりがないが、夫は疑念を持つ。アネが勤務する建設現場では、大型クレーンの上からベニャトが地上を双眼鏡で観察している。ベニャトの妻ルルデスは、義母のテレから子供ができないことで嫌味を言われ続けて、我慢の限界に達している。花束を巡る謎を軸に、アネとルルデスとテレの3人の女性の物語が交差していく。


2014年のこの時期に開催されたラテンビート映画祭/東京国際映画祭では『フラワーズ』(原題 : Loreak)が上映されたのですが、上映されたのは東京会場のみであり、大阪会場では観る機会すらなかったのが残念。スペインでも珍しいバスク語映画ということでぜひ観たかったのですが…。2015年2月の第29回ゴヤ賞ではバスク語映画として初めて作品賞にノミネートされ、この10月にはやはりバスク語映画として初めてアカデミー外国語映画賞スペイン代表作品に決定しました。日本での一般劇場公開は難しいでしょうが、ゴヤ賞とアカデミー賞で箔がついたことでDVD化に期待しています!






マーシュランド
2015年10月17日(土)-10月30日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都)
2015年11月14日(土)-11月20日(金) Cinema KOBE(兵庫県)

独裁政治の爪痕が未だ残る1980年スペイン・アンダルシア地方。湿地帯の小さな町で、祭りの最中2人の少女が行方不明となり、やがて死体で発見される。彼女たちは強姦され、凄惨な拷問を受け、そして殺されていた。事件の捜査を担当するのは、首都マドリードから左遷されてきた若く血気盛んな刑事ペドロと、ベテランのフアン。ほどなく二人は、過去にも同様の少女失踪事件が起こっていることを突き止める。しかし、捜査を進めていくうちに明らかになる、貧困、差別、汚職、小児性愛に麻薬 密売、小さな町にはびこる幾多の悪意が刑事たちの行く手を阻む。そんな中、また⼀⼈少女が姿を消す。救出までのタイムリミットはわずか。2人は少女の命を救い、事件の全貌を暴くことができるのか?


今年2月の第29回ゴヤ賞で作品賞を受賞したアルベルト・ロドリゲス監督作『マーシュランド』(原題 : La isla minima)がクロックワークス配給で公開されています。アンダルシア州のグアダルキビール湿地を舞台とした、少女失踪事件を捜査する刑事2人が主人公のスリラー映画。関西圏ではCinema KOBEで1週間限りの上映。1週間限りの上映ですが神戸まで観に行きたい。

Cinema KOBEは数ヶ月から数年遅れの映画を2本立てで上映している二番館的な映画館ですが、レイトショーではミニシアター作品を上映しているようです。ウィレム・デフォーが主演したオーストラリアのサスペンス映画(を装ったヒューマンドラマ)『ハンター』はここで観ました。地味だし大きな話題にはならなかった作品ですが、主人公のハンター(狩猟者)の内面を丁寧に描いた佳作でした。




Magical Girl
2014年のサン・セバスティアン映画祭で作品賞を受賞した『Magical Girl』、かなり前に「2015年中に公開予定」と聞いたのですが、いつ公開されるんだろう。「日本のアニメ『Magical Girl』が好きな少女とその父親」が主人公のサスペンス映画ということで、それなりの話題性はあるんですけどね~。

2014年11月に出版された『理想の村 マリナレダ』を読みました。スペインのアンダルシア州セビリア県にある「共産主義者のユートピア」マリナレーダについて、町に住みこんで取材を行ったイギリス人ジャーナリストが著した書籍です。ファンシーなイラストが描かれた太田出版らしい装丁で、政治にさほど興味のない若者を狙っているようです。(ただし原著の装丁のほうが好き)

* 邦訳 - ダン・ハンコックス『理想の村 マリナレダ』プレシ南日子 訳, 太田出版, 2014年
* 原著 – Hancox, Dan (2013) The Village Against The World




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共産主義者のユートピア
アンダルシア州の三大都市、セビリア、マラガ、コルドバからほぼ等距離。元ベンフィカで現セルタのノリートがいたエシハ・バロンピエが本拠を置くエシハの近くにあるのがマリナレーダです。

貴族が広大な土地を所有していた典型的なアンダルシア州の農村であり、民主化移行期の1970年代後半には失業率が60%(!)を超えていたそうですが、民主化後初の地方自治体選挙で30歳のサンチェス・ゴルディージョが市長に就任しました。今年5月24日の地方自治体選挙でも当選すれば、66歳のゴルディージョにとって10期目(!)となります。

村人の大半が加入する農業協同組合を中心とした共産主義的な政策を取り、月給は最大1,552ユーロ/月ですが、住宅ローンは15ユーロ/月(!)。働きたいが仕事のないアンダルシアの労働者に仕事を提供することで、書籍のタイトルとなった「理想の村」に変わっていったようです。

猛暑の1980年夏に住民700人が行ったハンガーストライキで世界的に知られるようになり、その後には農場や軍用地の占拠を繰り返したとか。プエルタ・デル・ソル広場やウォール街に何十年も先駆けて占拠運動を行っていたことから、占拠運動が世界的に広がった2011年にはいっそうメディア露出が増えたそうです。

2012年にはゴルディージョ市長自らがスーパーマーケットから食料品を略奪する事件を起こしました。この一件は「スペインで労組がスーパー略奪」(WSJ)という記事で読んだ記憶があります。その時は面白い時事ニュースだとしか思わなかったのですが、これはマリナレーダの記事でした。グローバル・ボイスでも記事が作成されています。


ゴルディージョ市長

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マリナレーダのサッカー
サッカーに関しては、UDマリナレーダはセビリア県リーグ1部(プリメーラから数えて6部相当)に在籍しているようです。数年前まではテルセーラ(4部)に在籍していたようですが、選手への給料未払いや審判への手当を支払えなかったためにリーグ撤退&降格したようです。身分不相応な昇格をしたためにアマチームをセミプロ化し、その結果財政難に陥ったのではないかと推測できます。審判制度も日本とは違うみたい。


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ひとつ気になったのが、太田出版が邦訳時に原題の『The Village Against The World』を『理想の村』に変えてしまったこと。これでは著者のダン・ハンコックスが共産主義のシンパみたいですが、ガーディアン紙のジャーナリストであるハンコックスはマリナレーダの反対者の存在についてもそれなりのページを割いています。タイトルだけは残念でしたが、内容は興味深いものであり、邦訳してくれたことに感謝したい書籍でした。


マリナレーダの位置
マニセス、マニザス、マニゼス
昨日4/11(土)の23:00頃から今日4/12(日)の23:00頃まで、ウィキペディアのメインページにマニゼスが掲載されています。

この自治体は一般に陶磁器産地の「マニセス」として知られている自治体ですが、マニセスはカスティーリャ語です。いくつかの母音が「ア」と「ウ」に集約されるカタルーニャ語では「マニザス」となり、ヴァレンシア語(カタルーニャ語ヴァレンシア方言)では「マニゼス」となるようです。ややこしい…。



マニセスのラスター彩陶器

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リヤドロ
マニゼスに関連して、バレンシア州に拠点を置く陶磁器人形製造企業「リヤドロ」について調べ物をしました。リヤドロは「磁器」の原料・工法を用いた人形のブランドですが、ウィキペディアには「陶器」人形の企業だと紹介されています。(磁器だと思うのですが、間違っていたらすみません)

辞書で「陶器」を調べると以下のように書いてあります。

とう-き【陶器】 - デジタル大辞泉
1: 陶磁器のうち、生地の焼き締まりが中程度で吸水性があり、釉を施した非透光性のもの。土器よりもかたいが、磁器に比べてやわらかい。
2: 陶磁器類の総称。焼き物。せともの。


要するに、ウィキペディアの「リヤドロ」という項目は「陶器」の2番目の定義を採用しているようです。間違っているわけではないにしても、誤解を与える表現だと思います。試しにウェブで「リヤドロ+陶器」で検索してみると、リヤドロの販売サイトがいくつも見つかりました。

これらの販売サイトが「陶器」という言葉を用いている理由は見当がつきます。陶器は「温かみがある、職人が工房で手作りしている」などのイメージがあり、磁器は「冷たい、工場で生産されている」などのイメージがあるためでしょう。これらの販売サイトが陶器と磁器の違いを理解していないわけがないので、意図的に「陶器」という言葉を用いているのだと思います。


リヤドロの公式サイトには「陶器人形」という言葉はなく、「磁器人形」という言葉もなく、代わりに「ポーセリン・アート」(porcelain art, 磁器の芸術)という言葉が使われています。

このブランドの言語表記はLLADRÓであり、本来ならリャドロまたはリャドローと読まれるはずが、LIADROと書き間違われたためにリヤドロという日本語表記が定着してしまった歴史があるようです。そのために、「陶器」「磁器」という言葉の使い方や、日本でのその用語のイメージにはとりわけ注意を払っているのでしょう。うまい言い換えです。

ガリシア州で高速鉄道の新路線が開業
2015年3月、スペイン・ガリシア州で高速鉄道AVEの新路線が開業し、ガリシア州の大西洋岸主要4都市が高速鉄道によって結ばれたようです。



ガリシアを走るAVE


スペインのAVE網(2013年)



ガリシアのAVE網の推移(2011年の記事)

2011年に書かれたイラスト付きの記事がありました。2009年時点で開業していたのはア・コルーニャとサンティアゴ・デ・コンポステーラの2都市間だけだったのが、2012年にはア・コルーニャとサンティアゴ・デ・コンポステーラとポンテベドラとビーゴの大西洋岸4都市が結ばれることになっていました。

今回の新路線は2012年に開業予定だったこの路線であるようです。あちこち検索してみると、この大西洋線は数キロごとに何度となく部分開業を繰り返し、今回の部分開業で高速鉄道の線路が1本につながったようです。

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2009年の記事では、2015年には大西洋岸の路線が北端のフェロルまで伸びた上に、大西洋岸の路線とガリシア州の入口にあるオウレンセがつながり、さらにオウレンセからルーゴにまで伸び、ガリシア7大都市が高速鉄道で完全に結ばれるはずだったようですが、10年後くらいにはこの計画が実現してるとよいですね。

ガリシア州の大西洋岸といえばリアス式海岸の名称の由来となったリア(湾)が卓越している土地で、三陸海岸や三重県の志摩地方を思い浮かべてしまいます。高速鉄道を敷くのは大変そう。私が持っているミシュランの道路地図(縮尺1:400,000)で在来線の状況を見ると、ビーゴからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは比較的直線的に線路が敷かれていますが、サンティアゴ・デ・コンポステーラからア・コルーニャまでは地形に沿って曲がりくねっています。


もともとガリシア州(面積30,000km2、人口280万人)はスペインの中では人口密度が高い地域ですが、日本の四国(面積18,000km2、人口390万人)よりも人口密度は低い。四国の4県庁所在地間を120km/hの特急ではなく220km/hの新幹線が走っていることを想像すると、ガリシア州の高速鉄道プロジェクトの規模の大きさがわかります。

四国の松山=今治=新居浜=丸亀=坂出=高松=鳴門=徳島の軸はかなりの人口密度があると思うし、実際に新幹線構想はここ数年でも何度か報じられていますが、たとえ道州制が実現して四国州が生まれたとしても、1兆円規模の予算が必要な新幹線の建設は四国州だけではどうしようもできません。


バスクY
2017年にはバスク州で建設中の新路線「バスクY」が開業し、バスク州3県都が高速鉄道で結ばれます。バスク州とマドリードが高速鉄道で結ばれるのはその後です。ガリシア州、バスク州とも、マドリードと各地方を結ぶ路線よりも州内の各都市を結ぶ路線のほうが先に開業し、州内の方が密な路線網が編まれているというのが、各自治州の財政的裁量が大きいスペインらしいです。

Galicia complete el Eje Atlántico con la llegada del primer AVE a Vigo
ABC, 2015-03-31
久しぶりの投稿です。

ラテンビート映画祭
もう半年くらい前になりますが、2014年10月-11月に新宿バルト9、梅田ブルク7、横浜ブルク13でラテンビート映画祭が行われ、日本では劇場未公開のスペイン/南米映画が多数上映されました。

その中のバスク語映画『Loreak』(2014年)という映画が気になっていたのですが、結局梅田ブルク7では上映されませんでした。
バスク語映画としてはじめてゴヤ賞にノミネートされた映画ということですが、この映画はおそらくDVD化もされないでしょうから、国外流通品を購入するくらいしか観る方法がないのが残念です。

2014年のラテンビート映画祭でもうひとつの目玉だと思っていたのが、バスク出身のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督の『ビースト 獣の日』(1995年)。
Yahoo!映画のレビューは2件でいずれも5点と口コミでの評価は高いのですが、DVD化はされていないらしい。
梅田ではわずか1日、1回の上映だったみたいで、観に行くことはできませんでした。
イグレシア監督はスペイン人監督の中では日本でも知名度の高い監督だと思いますが、観る機会がないのでは評価の上がりようがないですね。

『Loreak』と『ビースト 獣の日』はとても残念だったのですが、今回が初公開となる『スガラムルディの魔女』(2014年)と『刺さった男』(2013年, いずれもイグレシア監督)はしっかりと目に焼き付けました。
『刺さった男』はもうDVDレンタル店に並んでいましたし、『スガラムルディの魔女』もDVDが発売されたようです。


74歳でゴヤ賞助演女優賞を初受賞したテレレ・パベスが際立ってる

スガラムルディの魔女
この映画はスペイン・ナバーラ州の魔女伝説で有名なスガラムルディ村を舞台としているホラーコメディです。
フリオ・メデム監督やイマノル・ウリベ監督は例外としても、バスク地方出身の映画監督は何かしらバスクをテーマとした映画を撮っています。
イグレシア監督はこの映画で「バスクらしさ」を強調したかったようで、ラウブル(バスク十字)やチャラパルタ(木琴に似た伝統楽器)が目立つ場所に登場します。
しかし、この映画の観客が一番強い印象を受けるのは、魔女たち数百人による洞窟での「Baga biga higa」の大合唱だと思います。
耳慣れない言語、韻を踏んだ早口言葉のような歌詞(実際に早口言葉らしい)の繰り返し。
このシーンだけで数分間あり、コメディ映画としては正直長ったらしく感じたのですが、イグレシア監督は絶対に編集でカットしたくなかったのだろうと思います。

バスク語はとても表音主義的で、日本語に似て子音+母音で1音節であることが多い。
s、h、gなどの発音がスペイン語と異なりますが、それ以外は似たようなものなので親しみやすい。
何度も同じ歌詞を繰り返すこともあって、すぐに覚えてしまいました。



ミケル・ラボア「Baga biga higa」(YouTubeへのリンク)
バスク語の歌詞
Baga, biga, higa,
laga, boga, sega,
Zai, zoi, bele,
harma, tiro, pun! (ひたすら繰り返す)

Xirristi-mirristi
gerrena plat,
Olio zopa,
Kikili salda,
Urrup edan edo klik ...
ikimilikiliklik (ひたすら繰り返す)

カタカタ化した歌詞
バガ、ビガ、イガ
ラガ、ボガ、シェガ
サイ、ソイ、ベレ
アルマ、ティロ、プン!

シリシュティ=ミリシュティ
ゲレナ プラット
オリオ ソパ
キキリ シャルダ
ウルップ エダン エド クリク
イキミリキリクリク


バスク最高のシンガーソングライター、ミケル・ラボアといえば、代表曲「鳥よ、鳥」(YouTubeへのリンク)。


ミケル・ラボア
Marcaの最低賃金に関する記事 の感想

セグンダBとセグンダの違い
セグンダB(3部)のクラブはアマチュア選手がほとんどだと思います。セグンダBからセグンダ(2部)に昇格すると、選手の給料分だけで200万ユーロ弱(最低賃金64,500ユーロ×選手25人と監督1人)の経費がかかるわけですね。また、セグンダクラブに義務付けられた株式会社(S.A.D.)化にも200万ユーロ弱の資金が必要。

セグンダより上は全国リーグですが、地域リーグから全国リーグになることでの遠征費の負担増加額はどのくらいだろう。セグンダにはカナリア諸島から2クラブ、バレアレス諸島から1クラブが参加しているので、スペインを4分割した範囲での移動(遠征は全試合バス移動?)だけでよかったセグンダB時代と比べると、やはり数十万ユーロくらい必要経費が増えそう。カタルーニャ州や隣接したバレンシア州のクラブが多いセグンダBでは前日泊など必要なかったかもしれませんが、宿泊代も増える。



ジローナ県の位置


セグンダに初昇格したリャゴステラ
2014年夏にはUEリャゴステラがセグンダに初昇格しました。コルク生産の町リャゴステラの人口は、スペイン1・2部の本拠地で最小の約8,000人。エイバルの約1/3、ヴィラ=レアルの約1/6、マドリードの約1/400でしかありません。1,500人収容のスタジアムはスペインプロリーグ機構(LFP)の施設基準に適合せず、近隣の町のスタジアムを使用しているそうですが、ここまで7試合3得点5失点(最少得点・最少失点。絶対退屈。)で15位と健闘しています。

2004-05シーズンにはカタルーニャ州3部(全国8部相当)にいたクラブが10年後にセグンダ(2部)で戦っているのはオリオル・アルシーナという敏腕スポーツディレクターのおかげだそうで、この夏にはジローナのスポーツディレクターを退任してリャゴステラのスポーツディレクターに復帰したそうです。


オリオル・アルシーナ

スポーツ面で頼りになる人がいるのは心強いですが、経営面はどうなんだろう。ビジャレアルにはセラミック企業の会長がバックにいるわけですが、ソシオの規模的にもスポンサーの資金力的にもビジャレアルとは違うエイバルの場合は、セグンダ昇格クラブに義務付けられた株式会社化の資金供出にも四苦八苦していました。

リャゴステラの町の写真を見るとカタルーニャによくある田舎町です。本拠地があるジローナ県はスペインの北東端にあり、遠征費は莫大に増えそう。カナリア諸島やバレアレス諸島はもちろん、ガリシア州やアンダルシア州への遠征もやはり飛行機でしょうか。アンダルシアには高速鉄道でも行けそうですが、カタルーニャからガリシアに鉄道で行くのは無理ですよね。


リャゴステラの町

約30km離れた浜辺の町パラモスのスタジアムを暫定的に借りているようですが、このスタジアムは収容人数5,824人でセグンダ最少。パラモスには鉄道が通っておらず、アウェーサポーターは遠征が大変そう。リャゴステラからは県都ジローナまでの距離も約30kmであり、マドリードやバルセロナからは高速鉄道のAVEが伸びています。集客力とか地域内での影響力とかを考えると、ジローナFCにスタジアムの間借りを頼むのが賢明だったと思うのですが、賃貸料とかで揉めて合意に達しなかったんだろうと想像します。


※リャゴステラがパラモスのスタジアムを間借りすることになったのには、観光地としての知名度向上を狙ったパラモス市議会の後押しもあったようです。今後5年間はパラモスのスタジアムを借りる可能性があるようで、今夏のプレシーズンにはUEリャゴステラとパラモスCFの親善試合が開催されています。



暫定的なホームスタジアム

Minimum wage of €129,000 set in La Liga
Marca 2014年10月9日
http://www.marca.com/en/2014/10/09/en/football/spanish_football/1412885431.html


スペインの最低賃金

プリメーラ(1部)・・・12,900ユーロ
セグンダ(2部)・・・・64,500ユーロ
スペインの最低賃金・・9,034ユーロ

最低賃金に含まれるのは基本給12か月分に加えて、ボーナス(13・14か月目の給料)、契約金、出場給、ロイヤルティ、肖像権。プリメーラ選手の月給は5,375ユーロであり、ボーナスを含めた14か月分の給料が75,250ユーロ。最低賃金までの53,750ユーロは契約金や他のボーナスで支払われる。セグンダ選手の月給は3,335ユーロ。




2014年8月31日、カルロス・ビアンチを解任したボカ・ジュニアーズが後任監督にロドルフォ・アルアバレーナを指名 しました。ビアンチ時代には4試合1勝3敗だったのが、アルアバレーナ就任後には8試合4勝3分1敗となり、獲得勝ち点率は飛躍的に向上しています。10月5日にはリーグ独走中の宿敵リーベルと対戦し、モヌメンタルから勝ち点を持ち帰りました。

アルアバレーナは2000年から2007年にビジャレアルに在籍。カプデビラの前に長らく左サイドバックのレギュラーを務めていた選手であり、219試合に出場しています。これはビジャレアル歴代5位の出場記録、外国人としては歴代2位の出場記録であり、セナをスペイン人とカウントすれば外国人歴代最多の出場試合数です。

指導者キャリアのスタートはティグレ。2013年3月にはウルグアイのナシオナル・モンテビデオの監督に就任しますが、わずか3試合率いただけで辞任しているようです。割と荒っぽいプレーが特徴だったし、若くしてビッグクラブの監督になったことも含めてシメオネと比較されてそう。ビアンチとペジェグリーニがお手本だと語っており、いつかヨーロッパでペジェグリーニとも対戦の機会があるといいですね。





ビジャレアルでの出場試合数トップ5
1位 292試合 マルコス・セナ
2位 250試合 カニ
3位 233試合 パスクアル・ドナト
4位 228試合 ブルーノ・ソリアーノ
5位 219試合 ロドルフォ・アルアバレーナ

ビジャレアルでの出場試合数トップ5(外国人選手)
1位 292試合 マルコス・セナ [BRA]
2位 219試合 ロドルフォ・アルアバレーナ [ARG]
3位 184試合 ゴンサロ・ロドリゲス [ARG]
4位 139試合 マテオ・ムサッキオ [ARG]
5位 136試合 ジュゼッペ・ロッシ [ITA]

※ 2013-14シーズン終了時点。リーグ戦のみを対象とし、セグンダでの出場数も含む。

Wikipedia英語版のドノスティア=サン・セバスティアンを日本語に訳してみました(Wikipedia日本語版 )。文法も単語も非ネイティブへの配慮が感じられる英語版のビルバオと比べると、文意を取るのにてこずる部分が多々ありました。


スペインと西サハラとの姉妹都市関係

サン・セバスティアンは世界各国の6都市と姉妹都市関係にあり、日本では香川県丸亀市が交流を行っているのだそうです。その他はアメリカ、ドイツ、イタリア、イギリスの自治体ですが、これらのお馴染みの国旗に交じって見慣れない国旗がひとつあります。それは緑・白・黒・赤で構成されており、最初はヨルダンの国旗かと思ったのですが、調べてみると西サハラの国旗でした。


↑左上の国旗が西サハラ

国連広報センターによる西サハラの紹介文 (日本語)

その後、バスク自治州のいくつかの都市も調べていたのですが、アラバ県都ビトリア=ガステイス、アラバ県ラウディオ/ジョディオ、ビスカヤ県オンダロアでも西サハラの自治体との姉妹都市関係を見つけました。人口300万人の地域で(少なくとも)4自治体が西サハラと関わりがあるのが気になったので検索してみると、以下のような記事が見つかりました。

「スペイン地域自治州17の殆どが、スペイン中央政府に遠慮することなく、西サハラと友好関係を結んでいる。バスク自治州は西サハラの独立運動を強く支援し、西サハラ・バスク友好協会を作り、バスクの州都には、西サハラ大使館を置いている」日刊ベリタ 、2014年9月15日

西サハラについてはモロッコに実効支配されているというくらいの認識しかなく、スペインの自治体と西サハラの自治体がこのような友好関係にあるとは知りませんでした。ビトリア=ガステイスには大使館まであるのだそうです。

両国の姉妹都市
西サハラ側←→スペイン側
スマラ・・・・・・・・コルドバ
スマラ・・・・・・・・ヒホン
Farsia・・・・・・・・ジローナ
アイウン・・・・・・・マラガ
La Guera・・・・・・ビトリア=ガステイス
La Guera・・・・・・レガネス
La Guera・・・・・・アギラス
La Guera・・・・・・アラクアス
La Guera・・・・・・アルマンサ
La Guera・・・・・・クレビジェンテ
La Guera・・・・・・エル・プエルト・デ・サンタ・マリア
La Guera・・・・・・ゴルディス
La Guera・・・・・・イルレタ
La Guera・・・・・・グアディクス
La Guera・・・・・・オリオ
La Guera・・・・・・サンタ・ルシア・デ・ティラハナ
La Guera・・・・・・バジェ・デ・ジェリ
ブーカラー・・・・・・ラウディオ/ジョディオ
Borj・・・・・・・・・オンダロア
Daira de Bojador・・・ドノスティア=サン・セバスティアン
Daira de Bojador・・・メリアーナ
サハラ砂漠(?)・・・・アメス


冒頭の3自治体以外にも姉妹都市がないかざっと調べてみると、ちょっと調べただけでこれだけ見つかりました。南米諸国、メキシコ、フィリピン、キューバ、赤道ギニアなど、歴史的にスペインとのかかわりが深い国と比べても西サハラは明らかに多い。スペイン側はバスク自治州の自治体が多いものの、民族主義が活発なカタルーニャ州やガリシア州の自治体も、中央のマドリード州の自治体もあります。

スマラはスペイン領サハラ時代の首都だったそうで、コルドバとヒホン、少なくとも2都市と姉妹都市関係にあるようです。La Gueraはスペインの13自治体と姉妹都市にあり、そのうち4自治体はバスク自治州の自治体です。Daira de Bojadorについてはもはや自治体ですらなく、難民キャンプなのだそうです。厳密にはアルジェリア領土にあるキャンプで、西サハラを追われた人々が住んでいるそうです。ガリシア州アメスにいたっては「サハラ砂漠」が姉妹都市なんだそうです。


一国の二桁の自治体と姉妹都市提携を結ぶ自治体があること、難民キャンプや「サハラ砂漠」を姉妹都市とする自治体があることなど、姉妹都市という言葉の穏やかなイメージの裏にある政治的な意味合いを感じました。