ラテンビート映画祭2015ほか | un piquillo de amarillo

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すごく久々のエントリー。なんだかすみません。

Crosed Rooms
2015年10月9日(金) 新宿バルト9(東京都)
2015年10月23日(金) 梅田ブルク7(大阪府)
2015年10月30日(金) 横浜ブルク13(神奈川県)
※ラテンビート映画祭での上映。各会場1回限り。

(あらすじ)著名な画家アマデオ・ラックスの孫娘ビオレタは祖父が暮らした古い邸宅の隠された部屋で女性の遺体を発見する。偉大な画家アマデオは殺人犯だったのか? 20世紀初頭のバルセロナで隆盛を誇ったラックス一族の隠された真実に迫るミステリー。カレ・サントスのベストセラー小説をスペイン国営放送局RTVEがドラマ化。


10月13日(金)、大阪・梅田のブルク7でスペイン映画『Crosed Rooms』(原題 : Habitaciones cerradas)を観ました。ドラマ『情熱のシーラ』に主演したことで日本でも人気を得ているアドリアーナ・ウガルテ主演のミステリーで、ラテンビート映画祭(LBFF)の一部としてこの日の18:30から1回限りの上映でした。東京会場では来日したウガルテや監督のティーチインがあったそうですが、本編をスクリーンで観ることができただけで満足です。

舞台は1909年から1937年までのバルセロナであり、ブルジョア階級のある一家の、特にこの一家の主人である画家にまつわる謎を、2010年代に生きる子孫が解き明かす、というプロットになっています。バルセロナ出身の小説家カレ・サントスが書いた小説が原作。上映時間は160分と長く、スペイン本国ではテレビ映画として放映されたようです。2回か3回に分けて放送されたのでしょうか。

テレビ映画らしく最初の約20分は状況をセリフで説明するシーンが多く、鑑賞者を置いてきぼりにしながらサクサク進んでいきます。現代パートも過去パートも登場人物は一様にキャラが立っており、特に主人公の乳母役の女優さん(かなりの美人!)、主人公の母親役の女優さんがお気に入りです。主人公の妻となるウガルテが登場するのは物語が半分を過ぎてから。私は『情熱のシーラ』を観ていないので、この方が演技しているところは初めて観たのですが、さすがに先頭にクレジットされるだけあります。この映画に登場する多くの女優さんの中でも圧倒的に輝いており、ラスト近くでの(無駄に登場する)ベッドシーンでも男性客の目を楽しませてくれました。

中盤までは登場人物の関係を把握するのに手こずりますし、この映画のキモが「Crosed Rooms」にあることが見えにくいのですが、すべての謎は物語の終盤に解決されます。金曜夜に50-60席が埋まった観客は満足してスクリーンを後にすることができたと思います。『情熱のシーラ』の影響か、この日のブルク7では女性客が7-8割を占めていたように思います。主人公の乳母、母親、妻(ウガルテ)、画家の孫(現代パートの主人公)など、この映画の登場人物は強い女性ばかり。男優陣は主役の画家を除いて引き立て役のような感じでした。

アドリアーナ・ウガルテ主演という話題性から、劇場公開してもそこそこ客入りを期待できる作品だと思います。160分という上映時間の長さ、本国ではテレビ映画として公開されたことなどから、実際には日本での一般劇場公開は難しいでしょうが、DVD化されるといいな。






フラワーズ
2014年10月-11月 東京国際映画祭とラテンビート映画祭(共催)で上映

(あらすじ)人妻であるアネのところに、差出人不明の花束が毎週届くようになる。アネは心当たりがないが、夫は疑念を持つ。アネが勤務する建設現場では、大型クレーンの上からベニャトが地上を双眼鏡で観察している。ベニャトの妻ルルデスは、義母のテレから子供ができないことで嫌味を言われ続けて、我慢の限界に達している。花束を巡る謎を軸に、アネとルルデスとテレの3人の女性の物語が交差していく。


2014年のこの時期に開催されたラテンビート映画祭/東京国際映画祭では『フラワーズ』(原題 : Loreak)が上映されたのですが、上映されたのは東京会場のみであり、大阪会場では観る機会すらなかったのが残念。スペインでも珍しいバスク語映画ということでぜひ観たかったのですが…。2015年2月の第29回ゴヤ賞ではバスク語映画として初めて作品賞にノミネートされ、この10月にはやはりバスク語映画として初めてアカデミー外国語映画賞スペイン代表作品に決定しました。日本での一般劇場公開は難しいでしょうが、ゴヤ賞とアカデミー賞で箔がついたことでDVD化に期待しています!






マーシュランド
2015年10月17日(土)-10月30日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都)
2015年11月14日(土)-11月20日(金) Cinema KOBE(兵庫県)

独裁政治の爪痕が未だ残る1980年スペイン・アンダルシア地方。湿地帯の小さな町で、祭りの最中2人の少女が行方不明となり、やがて死体で発見される。彼女たちは強姦され、凄惨な拷問を受け、そして殺されていた。事件の捜査を担当するのは、首都マドリードから左遷されてきた若く血気盛んな刑事ペドロと、ベテランのフアン。ほどなく二人は、過去にも同様の少女失踪事件が起こっていることを突き止める。しかし、捜査を進めていくうちに明らかになる、貧困、差別、汚職、小児性愛に麻薬 密売、小さな町にはびこる幾多の悪意が刑事たちの行く手を阻む。そんな中、また⼀⼈少女が姿を消す。救出までのタイムリミットはわずか。2人は少女の命を救い、事件の全貌を暴くことができるのか?


今年2月の第29回ゴヤ賞で作品賞を受賞したアルベルト・ロドリゲス監督作『マーシュランド』(原題 : La isla minima)がクロックワークス配給で公開されています。アンダルシア州のグアダルキビール湿地を舞台とした、少女失踪事件を捜査する刑事2人が主人公のスリラー映画。関西圏ではCinema KOBEで1週間限りの上映。1週間限りの上映ですが神戸まで観に行きたい。

Cinema KOBEは数ヶ月から数年遅れの映画を2本立てで上映している二番館的な映画館ですが、レイトショーではミニシアター作品を上映しているようです。ウィレム・デフォーが主演したオーストラリアのサスペンス映画(を装ったヒューマンドラマ)『ハンター』はここで観ました。地味だし大きな話題にはならなかった作品ですが、主人公のハンター(狩猟者)の内面を丁寧に描いた佳作でした。




Magical Girl
2014年のサン・セバスティアン映画祭で作品賞を受賞した『Magical Girl』、かなり前に「2015年中に公開予定」と聞いたのですが、いつ公開されるんだろう。「日本のアニメ『Magical Girl』が好きな少女とその父親」が主人公のサスペンス映画ということで、それなりの話題性はあるんですけどね~。