ビルバオ都市圏の大型公共事業 | un piquillo de amarillo

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ビルバオ・ソロサウレ地区の再開発プロジェクト




バスク州ビルバオでは市街地中心部のアバンドイバラ地区に引き続いて、中心部から数キロ離れたソロサウレ地区でも大規模な再開発が進められています。画像やら写真を見ると大阪・中之島にそっくり。アバンド地区ではビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめとして、イベルドローラ本社、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)本社、居住用ビルのイソザキ・アテアなどの大規模施設が数多く建てられましたが、ソロサウレ地区でも巨大な施設が2棟建つようです。

アバンドイバラ地区に比べるとソロサウレ地区の再開発は地味に見えますが、もともとネルビオン川とデウスト運河に挟まれた半島だった土地を完全な島(中州)にしてしまうということで、プロジェクトの大きさがうかがえます。この2015年9月14日には運河の河川化に先立って、半島の付け根にあるフランク・ゲーリー橋が竣工したようです。

[写真1]現在の半島状のソロサウレ地区
[写真2]開発される先端部分




レイオアとバラカルドのトラム路線建設

サン・セバスティアン国際映画祭(1953年開始)やサン・セバスティアン国際ジャズフェスティバル(1966年開始)などソフト面を重視した街づくりを行っているサン・セバスティアンと比べて、ビルバオが大型公共事業を中心とする街づくりを行っているのは明らか。バスク州初の地下鉄であるメトロ・ビルバオ(1995年開業)、バスク州初のトラムであるビルバオ・トラム(2002年開業)に続いて、今後数年間でビルバオ都市圏のレイオアバラカルドにもトラムの新路線が開業するようです。

レイオアは人口約3万人の自治体。レイオア・トラムはネルビオン川の左岸と右岸にある地下鉄駅をターミナル駅として、レイオア市街地やバスク大学レイオアキャンパスを結ぶ路線です。バスク大学レイオアキャンパスは谷を開発して建設されたキャンパスであり、周囲に住宅地はありません。バスク大学3キャンパスで最大ではありますが、日本の総合大学に比べると遥かに学生数は少ないと思われます。学生以外の乗客は見込めなそうですが、谷を開発して住宅地を造成する計画でもあるのでしょうか?

バラカルドは人口約10万人。ビルバオのベッドタウンとして高層住宅が並ぶ市街地があり、巨大なエキシビションセンターや植物園があります。日本だと比較対象となる町がありませんが、なんとなく横浜市の港北ニュータウンが頭に浮かびました。バラカルド・トラムは環状線であり、地下鉄駅や鉄道駅との乗り換え駅はあるものの、バラカルド市街地内で路線が完結しているようです。大都市郊外のベッドタウンに建設される環状線のトラムという点では、マドリード南郊のパルラにあるパルラ・トラムと同じです。パルラ・トラムはスペインで4番目に建設されたトラムを自称しており、人口規模がほぼ等しいパルラ・トラムの存在がバラカルド・トラムの建設計画に大きく影響しているのは間違いありません。

スペイン有数の都市圏とはいっても、ビルバオの都市圏人口は約100万人にすぎません。その都市圏の中に地下鉄2路線を走らせ、中心市街地にトラムを1路線。さらに郊外のベッドタウンにトラムを2路線建設する、というのはずいぶんと大胆な都市計画です。開業から6年で廃止されたベレス=マラガ・トラム、建設に11億ユーロもかけながら開港から3年で定期便がなくなったシウダ・レアル・セントラル空港、正式な開港から4年後に初めて定期便が飛んだカステリョン空港などの前例があるため、スペイン全土で大型公共事業への視線が厳しくなっていると思いますが、そんな時期にあえて建設されるレイオア・トラムとバラカルド・トラム、ソロサウレ地区の再開発には今後も注目しています。

レイオア・トラムが通るらしい、ネルビオン川をまたぐ昇開橋。建設費はいくらかかるんだろう...


バラカルド。市街地(右)、スタジアム(中央)、ネルビオン川(上)


バラカルド市街地とトラムの路線図