前回③からのつづきです。
(独身時代のお話です)
わたしについて来た女の子を連れて、
いま来た道を戻ることにしました。
親御さんが探して
いるかもしれないし、
女の子を知る人が
通りかかるかもしれません。
最悪でも駅まで戻れば交番がある
ことも思い出しました。
助かったのは女の子が
元気に歩いてくれたこと。
何ならわたしの方が
おいて行かれそうでした。
信号を曲がって大通りに出ました。
夜9時を過ぎた街は
人影もまばらです。
しばらく行くと、
あの店が見えてきました。
もしかしたら何か手がかりが
あるかもしれません!
さっそく女の子に提案すると・・・
全力で拒否されました。
こんな風に怒るのは
初めてでした。
走り出した小さな背中を
追いかけて言いました。
そして何の手がかりもないまま
駅前交番に辿りついたのです。