※今回はかなりアダルトで社会批判が強くて、偏屈なアーティストとしての面に特化した美術展という印象を受けました。面白かったけれど、万人受けするとか、みなさんにオススメとか、そういう展覧会ではありません。アクが強いので、これから読まれる方は要注意!
キース・ヘリング展と聞くと、ちょくちょく開催されているような印象ですが、国内巡回展としては23年ぶりになるそうです。150点ものコレクションが1年かけて日本全国に登場予定。「SPECIAL TOPIC:Keith Haring and Japan キース・ヘリングと日本」以外は写真撮影OKという太っ腹な展覧会。アートの大衆化を目指していたキース・へリングにピッタリです。愛らしい画風のイメージのキースの作品ですが、今回ははっきりいって18禁に近いコレクション。入館早々に子供用の鑑賞案内シートが配られていましたが、子連れで来るのには勇気がいるかも。
「第1章:ArtinTransit 公共のアート」では「ここに描けばあらゆる人が自分の作品を観てくれる」と、広告用の黒い壁にチョークでドローイング。って、ちょっと待って、日本でそんなことしたら速攻で捕まりますから! NYの地下鉄って、暗くて、寒々としていて、落書きだらけでキタナイイメージですが、そんな街だから生み出されたアートなのかもしれません。さらには、そんな落書きをはぎ取って転売する輩が現れるなど、治安の悪さにもビックリ。
ま、撤去される前に剥がした人がいるから今こうして見られるんですけどね。
そして、高校生の落書きのような(失礼!)作品に芸術的価値を見出したどこかの引っぺがし犯に拍手!
子ども心を失ってない印象の作品たちです。
「無数の小さな男性器の絵」ってそのまんま(/・ω・)/
「男性器と女性器」という作品。こうしてキースの展覧会でなかったら「たちの悪いいたずら描き!」と速攻で掃除しちゃいそう。
「第2章:LifeandLabyrinth 生と迷路」では、ピッツバーグからニューヨークに上京(というのか?)したキースが、ゲイカルチャーやエスニックアートと出逢って才能(本能!?)が爆発するコーナーです。
右の作品の右下に注目!
お馴染みのワンコもこの時代に登場
わんこっ
無邪気でポップな色彩に騙されちゃいけません
何を表現しているかは大人ならお分かりですね?
つい「うんこドリル」なんぞを思い出してしまいました
BAD BOYSって格好良くタイトルを付けてはいるものの……
セーターをたくし上げて自慰する男性
(玉が見えるのでおそらく)男性がケツ穴を広げている作品も!
80年代はブロードウェイは危険な地区として「高校生が一人で夏休みを過ごすなんてとんでもない!」と行かせてもらえなかったんですが(代わりにロンドンに行っちゃったのが今の私の趣味嗜好の源!)、ドラッグや暴力、貧困が蔓延し、クラブ・シーンが盛り上がっていたニューヨーク。「第3章:PopArtandCulture ポップアートとカルチャー」では、有名になったからか露骨な表現は影を潜め、一般受けする表現の中にチクリチクリと嫌味や批判をしのばせる作風に変化!
ミッキー・マウスもキースの手にかかるとこんな感じ
夢を壊されます( ノД`)シクシク…
ディズニー・ファンとしては複雑な気持ちになります。
流用にはとっても厳しいという噂のディズニーですが、ここまでディスられたらむしろOK!?
舞台美術だって手掛けちゃう。舞台映えしますよね、キースの画風って。
クラブの宣伝たち。ニューヨーク生活をドップリ謳歌すると同時に、それ故にAIDSに感染し命を縮めたキースなのでした。
ごめん、もう冷静に観られません。どの作品もエロエロに見えてきた\(◎o◎)/!
ヌード写真も上からあれこれ描きこむことで写真に見えなくするという悪知恵も身に付けました!
上品ぶっていても人気者にはなれません。「第4章:ArtActivism アート・アクティビズム」では、反アパルトヘイト、AIDS予防、性的マイノリティのカミングアウトなど、メッセージ性の強い作品も登場。個人的にはこの活動があってこそ、キースがアーティストとして評価されているではないかと思っています。
民衆に「声をあげよう!」と呼びかけたり
「お前がな!」ではあるけれど、セーフセックスを呼び掛けたり
政治問題に意見したり
アメリカのアーティストが広島を取り上げる珍しい作品
アートを一部の知識人や富裕層にだけではなく、多くの人に届けたいと考えたヘリング。今の東京の美術館でも、集まる人を見回すと知識人らしい人、いかにもお金持ちらしい人が大半ですね。とはいえ、アートってある程度の知識やバックボーンがあってこそ楽しめる部分もあるから、大衆化って難しそう。「第5章:ArtisforEverybody アートはみんなのために」では、パブリックアート作品が登場。パブリックなので、子供たちの目に触れることも多いので、ようやくこのコーナーで心穏やかにキースの作品に向き合えたような気がしました。
「のび太さんのエッチ!」
児童公園に設置されている遊具でありますように('◇')ゞ
スケボーですよね? 大人のおもちゃじゃないですよね?
ニューヨークでのキース自身のはじまりを啓示するタイムカプセルと位置付ける連作《ブループリント・ドローイング》が展示された「第6章:PresenttoFuture 現在から未来へ」は、今回の展覧会のまとめのようなコーナー。アメリカが抱える問題の多くが登場し、その多くが今なお解決されていないことに胸が痛くなります。
解説がない作品なのですが何やら物騒
日本だと「サルのように」という表現がありますが、アメリカだと「犬のように」なんですかね。
もはや「アブノーマルって何?」な気分に
自由は大切だと思うけれど、野望は危険!
科学への不信や、集団の恐さと受け止めました
ピラミッドと女性器のようなUFOとオナニーしている男性の集団・・・謎
放射能なのか、暴力なのか、いずれにしても恐い・・・
中央の作品「ラディアント・ベイビー」をタイトルにしたキースのミュージカル、今見直すともっと楽しめそう。舞台も美術も予備知識が増えれば増えるほど面白くなります!
逆三角形だし、顔見えてるし、人も多いし、色彩がPOPでなかったら走って逃げちゃいそう
ピカソっぽい作品
ラストは写真撮影禁止のコーナー「SPECIAL TOPIC:Keith Haring and Japan キース・ヘリングと日本」。2018年に表参道ヒルズで開催されたキース・ヘリング展のような展示。東京を「遊園地みたいだ」と楽しむキースの姿、和とキースのアートのコラボ、ポップショップ東京の紹介など、こちらは「ノスタルジックな昭和の風景」が印象的。
【展示構成】
第1章:ArtinTransit 公共のアート
第2章:LifeandLabyrinth 生と迷路
第3章:PopArtandCulture ポップアートとカルチャー
第4章:ArtActivism アート・アクティビズム
第5章:ArtisforEverybody アートはみんなのために
第6章:PresenttoFuture 現在から未来へ
SPECIAL TOPIC:Keith Haring and Japan キース・ヘリングと日本
【会期】
2023.12.9(土)~ 2024.2.25(日)
【開館時間】
10:00~19:00
金曜日・土曜日は20:00まで
年末年始(12月31日~1月3日)は11:00~18:00
※入場は閉館の30分前まで
【会場】
森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
【主催】
朝日新聞社、フジテレビジョン、東映
【特別協力】
中村キース・ヘリング美術館
【協力】
ぴあ
【後援】
J-WAVE
【料金】
一般/大学生・専門学校生 2,200円
中高生 1,700円
小学生 700円
【巡回】
2024年4月27日(土)~6月23日(日) 兵庫県立美術館ギャラリー棟3階ギャラリー
2024年7月13日(土)〜9月8日(日)福岡市美術館
2024年9月~11月 名古屋会場(予定)
静岡会場2024年11月~2025年1月 静岡会場(予定)
水戸会場2025年2月~4月 水戸会場(予定)
【公式サイト】
https://kh2023-25.exhibit.jp/
下記に舞いは子供向けのリーフレット。かなりな難易度!