2年ほど前、シアタークリエで『ラディアント・ベイビー ～キース・ヘリングの生涯～』というミュージカルが上演されまして、キース・へリングについて学んだはずなのですが……どうもあまりピンときてなかったようで、記憶が乏しいんです。31歳で亡くなったキース・へリングがもし生きていたら60歳。アーティストとしてまだまだ期待の年齢ですよね。でも、没後30年近くたってもその作品は古びることなくエネルギーを発しています。
キース・へリングは「落書き界のレジェンド」だった一方、政治や社会に対してあれこれ意見があるようで、原色多用で明るい作品も結構メッセージ性を発信していたり、時にはズバリ標語も描かれているのですが、アルファベットでPOPな書体で描くとなんだか楽しそう。赤や黒一色で、叩きつけるように書いてしまいがちな日本のその手のメッセージとは印象が全く異なります。なんといってもキースの作品は線が踊っているのが特徴なので、主義主張が喧嘩を売っているようには見えないのが面白いところ。
ミュージカルの時はキースin NEW YORKだったけれど、今回の展覧会はキースin JAPANで、もちろん、アメリカ時代の作品のほうが多いんですが、日本のフェスのポスターやレコードジャケット、ストリートパフォーマンスの写真や映像の多さに「日本を気に入ってくれてありがとう」という気持ちになります。ちなみに、ストリートパフォーマンスは表参道ヒルズ目の前のまさに表参道！ 80年代って最近の気分ですが、当時の写真を見ると、表参道だというのに、歩いている人のほとんどがジーンズ！ 今でこそ、一人ひとりが好きな恰好で歩いていますが、当時は「流行に乗らなきゃ」だったのが見て取れます。はた目には、チョークで路上に落書きをしている人にしか見えないんですが、全体像が見えてくるとそこはキース・へリングの世界。シンプルな線なのに、唯一無二のものを作り出せる人ってまさに天才！ おまけに作品を生み出すスピードの速さは音楽界におけるモーツァルト並み！！
キース・ヘリング生誕60年記念 特別展「Pop, Music & Street キース・ヘリングが愛した街 表参道」＠表参道ヒルズ
【期間】
2018年8月9日（木）～2018年8月19日（日）
【時間】
11：00～21：00（入場は閉場30分前まで）
※8月12日（日）は20：00まで
最終日8月19日（日）は18：00まで
【場所】
表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
【料金】
無料
【お問合わせ先】
03-3497-0310（表参道ヒルズ 総合インフォメーション）
【主催】
表参道ヒルズ
【特別協力】
中村キース・ヘリング美術館
【公式URL】
http://www.omotesandohills.com/events/event/2018/004564.html
