感情をコントロールする能力(EQ)の一つの共感能力(Empathy)は、他者の感情や視点を理解し、適切に反応する能力を指す。
共感能力は、対人関係の質を向上させたり、効果的なコミュニケーションをするためには非常に重要だ。
<共感能力の具体的な側面>
◯感情の認識
ここでいう感情の認識は、主に他者の感情を正確に認識する能力のことだ。
人の感情は、言葉だけでなく、表情や声のトーンやスピード、身振り手振り、姿勢などの非言語的なサインに表れる。
コーチはクライアントのそれらを観察したり感じ取ったりして、クライアントの感情を認識している。
◯視点の理解
相手の立場や視点に立つと、その人がどのように感じ、どのようなことを考えているかを想像することができる能力だ。
相手の立場や視点が理解できると、相手の経験や状況に対する理解も深まり、状況にフィットしたコミュニケーションが取れるようになる。
コーチはクライアントの視点に立って相手を理解し、共感できるコミュニケーションを実践している。
◯情緒的反応
相手の感情に共鳴し、適切に反応する能力であり、相手が感じている感情を自分も感じて情緒的な言葉を伝えている。
情緒的な言葉を伝えられると、自分の感情を理解してもらえてるという共感を相手がより実感できる。
コーチは相手の感情を察知して、相手の感情に合わせた(ペーシングした)言葉を投げかけ、心の距離を縮めて本音で話せる環境を整えている。
◯支援とサポート
相手の感情やニーズに基づいて、適切な支援やサポートを提供できるかどうかによって、受け手の印象は変わってくるが、その支援とサポートをすることも共感能力の要素だ。
聞き手としての役割を果たし、共感する言葉は投げかけていても、必要なときに助けを提供することができないと、相手の気持ちは冷めてしまう。
コーチは言葉だけではなく、相手に有効と感じてもらえるような支援とサポートが欠かせない。
◯文化的感受性
異なる文化や背景を持つ人々(特にマイノリティ)の感情や視点を理解し、尊重するできる能力だ。
この力は、多様な人々と親しくできるコミュニケーションの能力とも言え、コーチであれば身につけておきたい。
共感能力が高い人は、対立や問題が発生した際に他者の視点を理解し、建設的な解決策を見つけることができるので、対人関係のコンフリクトに効果を発揮する。
また、チームやコミュニティ、社会全体にポジティブな影響をもたらすことも多いので、困ったときに協力し合えるような関係性を築きやすく、自ずと多くの人が周りに集まるだろう。