今日は22の日ということで…
今月も自信をもってお勧めできる映画を紹介します。
先月は、実在する医師が、精神病院に入院してから医師の資格を持つまでの実話に基づく感動作『パッチ・アダムス』でした。
今回は、境遇と個性がまったく違う2人の登場人物に強い絆が生まれていく、実話に基いた感動映画『最強のふたり』です。
この映画は劇場で観て、とても感動しました。
実在する富豪を演じるのは、フランソワ・クリュゼ。
介護人となる青年を演じるのは、オマール・シー。
監督はエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュで、
2011年のフランス作品です。
まずは、その物語から…
頸椎損傷による全身麻痺で車いす生活の富豪フィリップ。
彼が新しい介護人を雇うための面接をする豪邸に、スラム街に住む黒人青年ドリスがラフな格好でやって来る。
「推薦は?」と聞かれ、「あるよ。クール&ザ・ギャングとかお勧めだ」と、音楽を答えちゃうドリスが大好きです。
他の求職者が真面目に経験歴などを並べて面接を受ける中、ドリスは「3件で失業手当が出る。理由は何でもいいから不採用にして就職活動の証明書にサインをくれ」と言います。
受かる気なしの態度で冗談もかますドリスに何かを感じたフィリップは「書類にサインするから明日取りに来い」と答える。
そして彼は、翌日書類を取りにきたドリスに対し「1か月の使用期間を与えたい」と提案する。
住み込みで介護人として働くことになったドリス。
フィリップを雇用主として敬うことなく対等に接し、失敗しても悪びれることなくユーモアで返していく。
そんな彼だが、外出の時に介護用のバンの前で「馬みたいに荷台に載せるのは嫌だ」と言う優しい一面も。
でもやっぱりドリス。
隣に停めてあるマセラティのスポーツカーの助手席にフィリップを乗せ、エンジンをかけたら「スゲー!」と喜んじゃう。
他にも、人を見下した娘の態度が許せないと文句を言うわ、車いすの速度が遅いと改造させちゃうわ、心を落ち着けるためにとマリファナまで吸わせちゃうわで、すべてに遠慮なし。
そして、文通相手の女性に詩的な文章を秘書に書いてもらっているときにも、じれったいと本人を無視して電話しちゃう。
そんな彼だが、そのユーモアは周囲の人にも影響を与える。
建前もなくストレートに接してくるドリスをフィリップは徐々に信頼し、2人はやがて友情の絆で結ばれていく。
フィリップのことを心配して「彼には前科があるから用心しろ」と言う親類に対しても、彼はこう言い返す。
彼は私に同情していない。
彼の素性や過去など、今の私にはどうでもいい事だ。
そんな2人の友情関係に変化が…
弟が問題を起こしドリスを頼ってきたことを機に、フィリップは彼に「これは君の一生の仕事じゃない」と家族の元へと帰す。
別々の生活となった2人のその後は…
そして、フィリップと文通相手との恋の行方は…
この続きはどうぞ映画をご覧ください。
全編ユーモアにあふれた傑作で、いろんなシーンで笑えます。
そして、2人の強い友情にとても心温かくなる作品です。
私がこの映画を改めて観て感じたことは…
全身麻痺という深刻な状態のフィリップの人生が、ドリスのユーモアと笑いによって、とてもステキな物語になっています。
それは、先月紹介したパッチ・アダムスさんが著書の中で書いている、次の言葉とリンクしました。
死ぬぎりぎりの最後まで生きてることを楽しむのはなかなかパワーがいるけど、ユーモアがあると助かる。笑って笑ってそこからバイタリティを得て、最後の一瞬まで楽しみたい。
真面目になったり深刻に思いつめたほうが病気がよくなるなんて、どんな医学データを見ても書いてないのだから。
あ、フィリップはこの映画で亡くなりませんのでご安心を。
あと、まったく個性の違う2人が、お互いを認め合うことで強い絆が生まれてくるところがいいなって思います。
もちろん相性もあると思うけど、違う個性が相手に良い影響を与え合っているのがとても素晴らしいです。
でも、やっぱり一番は、ユーモアと笑顔の効果ですね。
その大切さがとてもよく伝わってきます。
そして観終わったら、改めて「人にどう思われようと、ありのままに生きよう」と思わせてくれる作品です。
では最後に、この映画で使用された音楽の紹介を…
この映画のオープニング曲は、アース・ウインド&ファイアーの『セプテンバー』で、その曲も好きなんですが、私は劇中でドリスがフィリップに聴かせるこの曲にシビレました。
アース・ウインド&ファイアー『ブギー・ワンダーランド』
この映画を観て、大いに笑ってください。
で、ラストにはジーンときちゃいます。お勧めです。