#90 グロリア (1980) Gloria | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

ジャンル:一般犯罪/女性が主役
製作国:アメリカ
監督:ジョン・カサヴェテス
愛するポイント:孤立無援の中、的確な判断で自分と小さな相棒を守り抜く女性ヒーロー



 

※前回の「恐怖のメロディ」と同じく新規に"愛する映画"にエントリーしたため、あいうえお順を無視してこのタイミングで紹介しています。

レオン」を観たとき、本作に似た設定だな、と思いました。ファンが多く評価も高いあちらに比べ、知名度が低いのが残念なくらいいかした監督ジョン・カサヴェテス、主演ジーナ・ローランズの夫婦コンビの快作です。

「レオン」との大きな違いは、「グロリア」は女性が主人公(ヒーロー)であること、レオン(あるいは同じリュック・ベッソン監督の"泣き虫の殺し屋"ニキータ)のようなプロフェッショナルではないこと。しかも助けようとする子供が(ナタリー・ポートマンとは違って)ほとんど助けにならないというハンデを抱えています。

さらに「ロング・キス・グッドナイト」のような(少々頼りないとはいえ)相棒もおらず、孤立無援。唯一の救いは「女ひとりに何が出来る」となめてかかった敵側のマッチョメンタリティでしょうか。それも終盤に向けて「女にいいようにされては男の沽券に関わる」とばかりエスカレートしてきて始末が悪い。

そんな状況においてグロリアと小さな相棒を生き延びさせるのは、身体能力の高さや百戦錬磨の実戦経験ではなく「いつ撃つべきか」を決める彼女の判断力の的確さ。銃を突きつけあってにらみ会うような演出が多く見られるアクション映画において、先に発砲(威嚇射撃でさえなく)することも厭わない瞬発的な判断力はまさに画期的かつリアルでした。

最近でさえ少なくなりましたが若いころはもっぱらアクション映画を観ていた自分にとっても、ここまで胸のすくヒーロー(男女問わず)は多くはありません
40年以上前に初めて観て強い印象を受けてはいましたが、「レオン」(公開当時ではなく15年以上もあと)を観て以来どうしても「もう一度観たい」と思い始め、とうとうDVDを購入して再見した結果すっかりとりこになりました。

このところの米国における銃乱射事件多発で完全に銃規制強化派になった僕ですが、こういう映画を観ると「拳銃(特に装弾数の少ないリヴォルヴァー)は護身道具だよなあ(※)」などとつい日和ってしまいそうです。

※実際にはリヴォルヴァーも殺傷力の高い立派な凶器です。

 

ブロトピ:2024/01/22