#000 新シリーズ「愛する映画」とは | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

映画に限らず、批評やレビューにはよく☆の数が使われます。通常はその分野における品質の高さを評価する目安ですが、自分の場合はあえて品質にはこだわらず、自分の好き嫌いを☆の基準にしています。

品質の高さを基準にするのであれば、「アラビアのロレンス」「2001年宇宙の旅」「ゴッドファーザー」といった作品が思い浮かびますが、これらはどれも自分の☆3つではありません。また品質といっても実際には批評家によって高低の評価が違うのも事実です。

自分も知らない作品を観ようとするとき、いわゆる映画評論家の言を参考にすることがあります。映画を観る時間とコストを考えると、できるだけ「アタリ」を引きたいと考えるのは人情でもあります。
なので自分が若い頃は、何人もの評論家の評を読んで、それぞれの傾向をある程度把握しようとしていました。それができれば、好みの合う評論家の批評はもちろん、そうでない評論家も参考にすることが可能になります。いわゆる反面教師というやつですかね。

そんななかでも自分が好きな双葉十三郎という映画評論家がおられました(故人です)。まあとにかくたくさんの映画をご覧でしたし、ユーモアのある、ときに簡潔な評論は大変参考になりました。またひとむかし前は評論家がテレビでよいしょのレビューをする必要もなかったようで、批評内容も公正だったと思います。

そんな氏の言葉に「映画の評価は観た直後としばらくたったあとでは異なることがある」(正確ではありませんが)というものがありました。「タワーリングインフェルノ」を大変高く評価したものの、後になってみると我ながら高評価すぎた、という話だったと記憶していますが、確かにそういうことはあると思います。

特に気に入った映画の場合、観た直後の興奮から高評価をしがちなのですが、あとから振り返ってみると、それほどでもないかな、と感じることは多いです。自分の場合、例えば「ムトゥ 踊るマハラジャ」「千と千尋の神隠し」「レオン」などがそうでした。いずれも今でも大好きな映画です(品質も高いと思います)が、自分の☆3つである「愛してる」までには至っていません。
この「大好き」と「愛してる」の違いについては、こちらの記事をご覧ください。

一方で、観た当初より、自分の中の評価が高くなっているケースもあります。例えば、「風の谷のナウシカ」は観た当初☆1つ(好き)でしたが、今では☆2つ(大好き)です。☆1つをつけた当時のレビューを読み返してみると、どうやら☆を下げた理由となった部分をすでに忘れかけているため、それ以外の部分の印象から評価が高くなったようです(ナウシカのレビューはこちらです)。
「サウンド・オブ・ミュージック」(今は☆3つ)のように、しょっちゅう思い出す作品がだんだん心に深く棲みついてくる(愛し始める)というケースもあります。

という具合に、2020年9月時点で自分が愛する映画を数えてみたら246本になったわけで、これらについてどんなところを愛しているのかを1本ずつ、邦題あいうえお順にご紹介していこうと思います。

第1弾「愛の嵐」は近日アップ予定です。