トゥルー・ロマンス True Romance (1993) ☆☆☆ | 映画の楽しさ2300通り

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ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

同じような題材の「ナチュラル・ボーン・キラーズ」が結構好きな上に、トニー・スコット監督作なので観たいと思っていた一方で、テーマからして愛することにはならないだろうと考えていました。
が、それは間違いでした。というよりも、愛してはいけないものを愛してしまった、というべきでしょう。

バリバリの犯罪映画、というか暴力映画ですし、道徳や倫理観からみて許容してよい内容とは言えません(お子様に見せてはいけない、という意味で)。罪のない人々が傷ついたり死んだりすることは少ないとはいえ、ないわけではありません。

それなのにこのすがすがしさ、あたたかさは何だろう。暴力シーンの描き方が上手、ということはあるでしょう。特に90年代以降のアメリカ映画は暴力のむごたらしい瞬間を描かない、という演出が増えたように思います(例えば人が撃たれるときには撃つ側しか撮らない、といったように)。
いわば殺し合いをスポーツのように見せるということで、それはそれで別の問題はありますが、リアルに演出されたフィクションだという前提で見れば、目を覆うほどの酷たらしさではないわけです。

それでもさほど酷いことをしたわけでもない人(悪いことはしてますけどね)を含めて大量に人が殺される映画を愛してしまうということこそが、まさにこの映画が描こうとする愛のカタチそのものではないでしょうか。
クリスチャン・スレイター、パトリシア・アークェット、ともにいいです。2人がお互いを見つめるときのあのキラッキラとした眼差しで、恋愛映画のジャンルにストレートインしちゃいました。タイトルそのままの映画、と言えます。
スターが多くキャスティングされているのも見どころで、ブラピがなぜこの役で?というのがファンとしてはまた楽しいキャスティングでした。

というわけで☆3つとなりましたが、未見の方におすすめするのは当面控えようと思います。