(さい)(そう) 微風の岸に, 
危檣(きしょう) 獨り 夜舟す
星 垂れ 平野 (ひろ)し,
月湧き 大江 流る。
(あに) 文章の著す?
(まさに)
 老病に休す。
飄飄(ひょうひょう) 何の似る所か?
天地の一沙(いちさ)(おう)

 

危檣:帆船

Yoshiのつぶやき】

細い草が岸辺に生えている

星が降り、平野は広々している

月が湧き、長江が流れている。

名誉は 名著が作り出すものか?

官職も病で途絶えた。

今は飄々としているが、何に似ているのだろう。

天地の 一羽の鴎に過ぎない。


いざ出陣

挽弓當挽強  弓を挽かば 當に強きを挽くべし
  用箭當用長  箭を用ひなば 當に長きを用ふべし
  射人先射馬  人を射らば先づ馬を射るべし
  擒賊先擒王  賊を擒にせんとすれば先づ王を擒にすべし
  殺人亦有限  人を殺すには亦限り有り
  列國自有疆  國を列(た)つるには自づから(さかい)有り
  苟能制侵陵  苟くも能く侵陵を制せば 
  豈在多殺傷  豈に多く殺傷するに在らんや

 

當に(まさに)、()

Yoshiのつぶやき】

孫子の兵法のようだ。杜甫と数カ月旅している感じだが、

この旅は面白い。

この詩は、戦場に行く戦士の気持ちで書いた詩ということだ。


河南北

劍外(たちま)ち傳ふ 薊北を(おさ)むと 
初めて聞いて 涕涙衣裳に滿つ
(しりぞ)
いて妻子を看れば 愁ひ何くにか在る
漫に詩書に(めく)り喜び狂はんと欲す
白日放歌して (すべから)く酒を縱にすべし

青春伴を作し好し 郷に還らん

即ち 巴峡より巫峡を穿ち

襄陽に下って洛陽に向かはん

 

(けい)北:地名

Yoshiのつぶやき】

この詩は、意味深い詩だ。

剣外とは剣門の外、(けん)(ほく)が陥落したと漢軍から傳えてきた。

始めて聞いて涙がでた。これで家族も一安心。

この詩のスケールの大きさ、成都から長江を下り、洛陽へ

行くなど地図で見るとものすごい距離だ。

成都から武漢まで長江を下り、北に向かって襄陽まで、更に北へ

黄河流域の洛陽まで帰る話だ。