So What | ジャズと密教 傑作選

ジャズと密教 傑作選

空海とサイババとチャーリー・パーカーの出てくるお話です

Amazon と長く購買者として付き合ううち、結局のところ Amazon Prime とやらに月々500円を徴収されることになる。

 

ブラックな身の上(労働時間の長さ等において)でどれだけ「元を取れるか」つまり、その作品群の鑑賞に費やす時間と体力がわたしにどれだけ与えられているのかを思わなくもないが、無料期間が終わり、いつの間にか料金が引き落とされるようになってしまった今や、余りせせこましいことは考えず、この成り行き任せの契約がなければ起らなかったであろう予想外の遭遇がひとつでもあれば(ちょっと前の竹内結子主演の三谷幸喜作品のような)くらいのスタンスでいることにしようと、まあ、巨大プラットフォーマーの経営維持に貢献させられる羽目に自ら陥った、てな次第である。

 

我がレパートリー数多あれど、下半身にぐりぐり来る(下半身って足腰のことだぞ。つまりリズム感がどこか特に刺激されるような)歌謡曲などそう多くはないが、そんな歌をふっと思い出すと無性に歌いたくなるもの。下半身の欲求は普段から決して充足していない(←「足腰」を刺激するリズムのことですよ)ということの証左であろうな。

 

脳みそのどこかにそんなえも言われぬ味わいを湧起させる稀有な作品に黛ジュン・天使の誘惑や中村晃子・虹色の湖がある。

 

Amazon Music で天使の誘惑を探すとオリジナルの黛ジュン版はない。黛ジュンの項目はあっても鍵がかかっていて中身を見ることもできない。そういう時は仕方ないので当該曲の別歌手版をクリックする。

 

歌謡界演歌組在籍の坂本冬美は近年の流行りなのか他ジャンルの歌もまた多く録音しているようだ。その中に「天使の誘惑」があったのだが、このテイクが思いのほか悪くない。これは拾いもので、他もこのくらいの水準なら演歌という決め事の世界を如才なく渡ってきたに過ぎないと言えよう坂本冬美という歌手を見直さねばならない。

 

持ち歌でない有名曲を集めたその企画にあっては数枚の CD が出ていて、他のいくらか(虹色の湖や逢いたくて逢いたくてなど)を、そういうわけで期待と共に聴いてみたのだが、しかしながら、それらはやはりむしろ当然のこと、「坂本冬美がこんな歌も歌っていますよ」という程度の出来なのであった。So What (だからなんだよ)といったところである。