演歌業界(「業界」の語を特に強調したい)のどこがよくないかと言えばその持つところの「お仕事体質」である。彼らは「仕事」としてそれをやる。
そう、仕事。生業。
そもそも人はなんであれそれが好きだからやりたくなるのである。野球が好きならやればいい。ジャズを演りたいと感じたら演ればいい。誰だって好きなことをやりたいと思ったときにやろうとするのがその本質的行動原理だ。
歌を歌うなんて最も分かりやすくそのことを示す事例だろう。
さて演歌の人たちはその辺りどうなのだろうか。わたしにはとてもそうしているように思えない。興行の中の役割としてそれをやっている。演歌の場合に限って押し並べてそう見えるとしたら、それはそれが業界の持つ体質に他ならないからであろう。
もちろんどんな芸術分野だって「仕事」の部分が必ず介在する。しかし「仕事」が先行するなら本末転倒ですよね。
そのような結果、出来あがってくる作品には必然性が感じられない。
ところでこの場合において「必然性がない」という表現は読み手にどのように伝わるだろうか(←わたしの思いは多分伝わらないという意味です)。しかしながら、語彙不足のうえ、そしてそれ故にか判断材料の未分化があったのでは、「必然性」くらいの言葉しか提示できやしない。
まあ、音楽を聴いていて必然性を感じない、あるいはその動機性について違和感を抱くというのは、その説明は難しいものの、書き手の現時点においてはなんら瑕疵なき表現である(と断言)。
だって、聴いてそう感じる(←どう?)のだからそれで話はすべてじゃないか。・・・と、そう言っておくことにしよう・・・。