Master of Social Work(ソーシャルワーク修士号)を取得してから、アメリカでH1-Bビザをスポンサーしてくれる雇用主の元での仕事を見つけるまでの就職活動を振り返り、就職活動におけるTipsや、今振り返ると「こうしておけば良かった」と思うことをシェアしたいと思います。

※なお、私はソーシャルワーク関連の分野(非営利団体や病院等)で就職活動を行ったため、一般企業の就職活動とは異なる部分も多いかと思います。しかし、私のバックグラウンドがITにあることもあり、分野を問わず共通する考え方やプロセスも多いと感じています。これから就職活動を考えている方、特にアメリカでのキャリアを築きたいと思っている方には、少しでも参考になれば幸いです。

 

私の状況について少しご説明させてください。

2024年春に大学院を卒業し、現在は1年間のOPT(Optional Practical Training)を所持しています。これは、F-1ビザに付帯する制度で、卒業後一定の期間(一般的にSTEM専攻は3年、それ以外は1年)米国内で合法的に働くことができるというものです。しかし、OPTの期間が終了すると、引き続きアメリカで働くためには、H1-Bビザなどの就労ビザをスポンサーしてくれる雇用主を見つける必要があります。このため、私の就職活動においては、OPT終了後にビザスポンサーシップを提供してくれる雇用主の元で就職する必要がありました。

 

総括

  • ネットワーキングのために連絡した人数:約50人
  • 実際に話を聞いた人数:約30人
  • 応募したジョブの数:15~20件
  • 面接を受けた数:4件
  • 内定をもらった数:2件
     

就職活動を振り返って「やっておけばよかった」と思うこと

就職活動を終えて振り返ると、もっと準備しておけば良かったと感じる点がいくつかあります。特に留学生としてビザスポンサーを求めながらの就活は、計画的に進めることが重要だと実感しました。これから就職活動をする方に役立つよう、具体的なポイントを整理しました。

1. 在学中からネットワーキングやインターンの経験を積む

在学中は、授業・実習・アルバイトで忙しく、早めに就職活動を始める余裕がありませんでした。しかし、振り返ると大学の休み期間を活用し、実習先以外の組織(関心のある分野)で短期間でもボランティアやインターンを経験しておけばよかったと思います。

特に留学生の場合、就職活動では限られた面接の中で自分のスキルや貢献できる点を短時間でアピールし、雇用主に納得してもらう必要があります。しかし、在学中にすでにインターンやボランティアを通じて関係を築き、自分のスキルを証明しておくことで、就職活動時のビザスポンサーの可能性を高めることができたのではと感じます。

2. 目的意識を持ったネットワーキング

私は在学中からネットワーキングを意識し、LinkedInで興味分野で働く方に話を聞いたり、カンファレンスに参加したり、同じ分野の留学生や米国で働く日本人からビザの情報を集めたりしていました。しかし、振り返ると「目的を明確にしたネットワーキング」を意識すれば、もっと効果的だったと感じます。

ネットワーキングが就職活動で役立つ理由は、大きく3つあります:

  1. 興味のある組織の実態を知る
    • その組織の文化や働き方、実際の仕事内容を知ることができる。
  2. 非公開または見落としていた求人情報を得る
    • 人づてで未公開または見落としていた求人を知ることができる。
  3. リファラルを活用する
    • 企業の紹介制度(リファラル)を活用し、内部からの推薦を得ることで面接に進める可能性が高まる。

特に②と③のネットワーキングは、留学生の就職活動では重要だと感じました。なぜなら、米国には無数の求人があり、自分で検索するだけでは限界があるからです。また、応募しても「ビザが必要」とわかった時点で面接に繋がらないことも多いため、社内の人からの推薦があると、面接に進める可能性がぐっと高まるからです。

今振り返ると、以下のことをもっと意識しておけばよかったと思います。

  • 話を聞く際に、自分の求めている職種のイメージ、目標、生かせるスキルや経験を明確に伝える
  • レジュメを共有し、関連する求人情報を知っているか聞く
  • リファラル制度がある場合、推薦してもらえないか積極的に聞く

私は自分から「リファラルをお願いします!」と頼むことはありませんでしたが、もっと積極的に聞いていれば良かったと感じます。またお話を聞いた後にお礼メールを送付して、もし今後周りで求人情報を聞いたら教えて頂けるとありがたいです。と一言添えるのも効果的かと思います。

3. モチベーション管理

就職活動が長期化すると、気持ちが折れることも多く、モチベーションの維持が大変でした。特に、思うように進まない時期は気分が落ち込み、引きこもったり、体調を崩してしまったこともあります。

今思うのは、留学生の就職活動(特にビザスポンサー付きの求人探し)は簡単ではないということ。そのため、「大変なのが当たり前」という心構えで焦らず、長期戦を意識して準備することが大切だと感じました。

具体的な対策として、以下のような方法が役立つかもしれません。

  • 小さな成功を積み重ねる(ネットワーキングで有益な情報を得る、書類選考を通過するなど)
  • 定期的に気分転換をする(友人と話す、運動をする、趣味の時間を作る)
  • 就活の進捗を記録し、自分の成長を可視化する(話を聞いた人数、応募した件数、面接回数などをリスト化)

特にビザが関わると就活の難易度が上がりますが、焦らず、長期的な視点で取り組むことが大切だと実感しました。
 

 

アメリカ就職活動 Tips:留学生が成功するために知っておきたいこと

① OPT期間中は週20時間以上の労働時間を確保する

OPT(Optional Practical Training)期間中は、90日以上無職の状態が続くと国外退去のリスクがあります。そのため、フルタイムの仕事が見つかっていなくても、パートタイム・ボランティア・複数の仕事を組み合わせて週20時間以上の労働時間を確保することが重要です。
 

🔹 私のケース

  • ミシガン大学のソーシャルワーク大学院でパートタイム勤務(有給)15時間
  • 在学中の実習先でボランティア(無給)5時間

私はOPT期間が始まる前に、週20時間働く必要があると率直に大学や実習先に相談したことで、運よく有給の仕事を得ることができました。もし困ったときは、大学の自分の専攻の学生課、インターナショナルセンターやキャリアセンター、教授に相談するのも有効です。
 

② 大学のリソースを最大限活用する

アメリカの大学には、キャリアセンター、インターナショナルセンター、専攻ごとのキャリアオフィスなど、さまざまなサポートが整っています。

💡 活用すべきリソース
レジュメやカバーレターの添削(書類選考の通過率アップ)
模擬面接(面接対策・フィードバック)
給与や雇用条件の交渉アドバイス(アメリカ就職において必須の交渉力)
ビザ関連の情報収集(OPT・H1B・卒業生の情報等)

さらに、ネットワーキングで出会った人にもレジュメやカバーレターを見てもらうことで、より実践的なアドバイスを得ることができます。

 

③ 日本人・同じ分野で働く人とのつながりを活用する

アメリカで同じ分野で働く日本人の方々の存在は、就職活動において大きな助けになります。

🌟 助かったこと

  • 実際にビザを取得し、同じ道を歩んだ人の体験談が聞ける
  • 履歴書・面接対策のアドバイスがもらえる
  • 給与交渉のポイントを学べる

私は、カンファレンスで出会った方から他の方を紹介してもらい、またその方から別の方を紹介してもらうなど、多くの方と繋がり、情報やアドバイスを得ることができました。特に、ノンネイティブとしての強みの活かし方や給与交渉のコツは自分と同じ文化圏から来ている方のアドバイスは、とても有益で勉強になりました。

🔹 どうやってつながる?

  • LinkedInで同じ分野の日本人を探す
  • カンファレンスや勉強会に参加する
  • 関連分野でボランティアする
  • 日本人コミュニティに参加する(Facebookグループなど)
     

④ 強力なリファレンスを確保する

アメリカの就職活動では、面接がうまくいくと**リファレンス(推薦状)**を求められることが一般的です。企業から推薦人に連絡がいき、過去の業績や仕事への姿勢について詳しく聞かれます。

📌 リファレンスを確保する際のポイント
職位よりも「自分の強みを知っている人」にお願いする
事前に推薦を依頼し、どんな内容を聞かれる可能性があるか共有する
「私のことを強く推薦してもらえる」と確信のある人を選ぶ

 

🔹 私がお願いしたリファレンス

  • 在学中の実習先でお世話になったベテランソーシャルワーカー
  • 卒業後に働いたソーシャルワーク大学院のスーパーバイザー

職位の高さよりも、自分の仕事ぶりをよく知っている人にお願いすることが大事です。また私は一緒に仕事した繋がりが濃い方には、「私の強みは何だと思いますか?」と質問して、自分の強みを客観的な立場から言語化してもらい、それをレジュメや面接等でアピールできる強みとして活用していました。また自分の弱みも聞きづらいかもしれませんが、聞くと役立つと思います。

⑤ 「心を動かす」コミュニケーションを意識

カバーレターを書く際や面接では、単なるスキルや経験の説明よりも、「なぜこの仕事をしたいのか?」というパッションを元に自分のスキルや経験をどう生かせるのかを伝えることが重要だと思います

💡 私が意識したポイント
キャリアチェンジの理由を具体的に説明する(「なぜITからソーシャルワークにキャリアチェンジしたのか?」)
自分がどのように努力してきたかを伝える(「目標を達成するため、今までどんな風に積極的に行動してきたのか?」)
仕事に対する熱意を率直に話す(「なぜその組織にひかれたのか?自分がどんな価値観を持っていて、どんな課題を解決したいと思っているのか?」)

もちろん、面接でうまく伝えられず、失敗することもありました。でも、最終的には「この人を雇いたい」と思わせるのは、スキルだけではなく情熱とコミュニケーション力だと感じました。

特にビザスポンサーという高いハードルを超えるには、まずは自分の人となりを知ってもらい、「この人と一緒に働きたい!」と思ってもらうことが大切だと思いました。

 

最後に

米国での就職活動(特に就労ビザのスポンサーが必要な場合)は本当に大変だと思います。でも諦めずに最終的に自分に合った仕事のジョブオファーが頂けたのは地道なネットワーキングと、ありったけのパッション、諦めない気持ちがあったからだと思います。皆様にこの就職体験記が少しでもお役にたてれば幸いです。その他に質問や分かりにくい点があれば、ぜひコメント頂けると嬉しいです。