途上国への人材育成支援と日本発のグローバルスタンダード | 猫の遠ぼえ『次の世代に残したい日本』

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安倍晋三応援ブログです。
やっと明るい未来を語る政治家が総理大臣になりました。しかし、闘いはまだまだこれから。子や孫が希望を持てる国になることを願うおやじです。

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昨日の三橋貴明さんのブログは、エネルギー安全保障の問題を取り上げている。「いざというとき」「非常事態」における代替手段がないということが、安全保障を損なうから、メタンハイドレートなど自前のエネルギー開発も含め、供給源の「多様化」が必要だとしているが大賛成だ。

ドイツのエネルギー安全保障

このエントリでは安倍政権の取り組みへの言及はないが、安倍政権になりやっとメタンハイドレートの調査や研究が本格化してきた。また、総理自身がロシア、中東、アフリカなどと首脳同士の積極的な外交を進めているのは、エネルギーも含めた総合的な安全保障につなげようとしているからだろう。

ただ、日本が経済停滞して内向きになっている間に、その安全保障上の一番の懸念材料である中国が着々と東南アジアやアフリカなど世界中に勢力を広げている。特にアフリカは資源の面でも今後の成長余力という点でも重要な地域だが、中国はここに早くから入り込み、がっちりと根を張っている。

このまま、アフリカをはじめと途上国を中国の思い通りにさせていては、エネルギーも含めた日本の安全保障上の大きな障害になりかねない。そこで安倍政権が打ち出しているのが、中国式の現地の雇用や資源、富を奪う進出とは異なる、相手国の未来の発展にもつながる日本ならではの貢献である。

それがどんなものか、安倍総理がエチオピアの首都アディスアベバで大勢のアフリカの首脳を前に熱弁をふるった次の演説が参考になる。
その抜粋をご紹介するが、できれば下記リンクから全文お読みいただきたい。

平成26年1月14日 於:エチオピア(アディスアベバ)
安倍内閣総理大臣アフリカ政策スピーチ~「一人、ひとり」を強くする日本のアフリカ外交~

(抜粋ここから)太字強調はブログ主
 アフリカが、その輝かしい未来を実現するため、日本は、日本ならではの貢献として、
何ができるでしょうか。
 TICAD Vで、あるアフリカの指導者が、こう言ってくれたのを思い出します。
 「日本の企業だけだ、働くとはどういうことで、何が労働の喜びか、『倫理』を教え
てくれるのは」。

 私は感動しました。日本企業と、そこで働く無名の日本人たちが伝えようとしてきた
ことを、見事に要約してくれた――、そう思えたからです。

 日本の会社とは、利益を生む場です。が、それより前に、学びと、工夫を共にし、苦労
だけではなく、喜びを分かち合う場です。

 「一人、ひとり」の、内なる動機に基づく努力を、大切にすること。また、命令などな
くても努力する人間「一人、ひとり」を、最も貴重な資源と考えること。――それが、
日本企業の神髄でした。

 日本が成長できた理由も、同じこと。未来を、今より明るくしたい、できるはずだと信
じ、努力を怠らなかった無数の日本人、「一人、ひとり」の努力にあったのだと思います。

 皆さんに、ご理解いただきたいのは、日本企業がアフリカにやってくるとき、このよう
な、経営の思想を、必ず一緒に持ってくる、ということです。

 「一人、ひとり」に力をつけてもらい、創造を引き出そうとする思想です。
例えば、漁船につける船外機を売るとします。漁師の漁撈指導まで、普通はやりません。
でも、行動半径を広げることを可能にする漁法を漁師に伝授したとすると、回り道でも、
船外機の売れ行きはむしろ安定するでしょう。

 日本の会社は、そういう売り方をします。カスタマー「一人、ひとり」に、技術をわが
ものとする、真のエンパワーメントを、自ら図ってもらおうとする思想です。これは、ヤ
マハ発動機が、モーリタニアで実際にやった方法でした。

 ヤマハは、さらに進んで、モーリタニア初となる、造船工場の建設を手伝いました。モ
ーリタニア人を日本に送り、造船技術を習得させました。そうしてできた工場から、この
2月、「メイド・イン・モーリタニア第一号」となる漁船が、晴れて進水の運びです。

 「一人、ひとり」を大切にする日本企業がアフリカに来ると、本当の意味で、Win-Win
の関係ができます

 受け入れ国に、労働を苦役とみなす価値観がもしあるなら、それは、日本企業と付き合
う中で変わります。

 「一人、ひとり」の工夫、努力を尊ぶ労働の場は、喜びの場にさえ、なり得るからです。

(中略)

 「道普請人(CORE: Community Road Empowerment)」という日本のNPOに、格好の実例
があります。

 でこぼこ道しかない村での話です。陸稲(おかぼ)を出荷するには、トラックが入って
来られる所まで、作物を運ばなければなりません。一家総出です。子どもは、学校へ行け
なくなります。

 そんなとき「道普請人」は村人に、簡易舗装の方法を伝えます。それは、土嚢を使うこ
と。道が村へ通じ、集荷のトラックが入ってくると、子どもは重い作物を運ぶ労働から解
放され、学校へ通えるようになります。

 「道をつくれば、学校へ行ける」というわけです。

 やがて、土嚢舗装を学んだアフリカの若者たち自身から、道づくりを請け負う事業家が
現れました。それも、スラムから、という後日談つきでした。

 アフリカの未来は、自らの力で困難を克服する、意欲ある若者たちにかかっています

 アフリカでは、若年人口が増え続けています。若者たちに明るい未来を示せるなら、ア
フリカの未来もまた、明るくなるに違いありません。
(引用ここまで)


TICAD V(第5回アフリカ開発会議)とは、昨年6月に東京にアフリカ51か国の元首や首脳など約4500人が集まった会議で、民主党政権下では途絶えていた。そこである首脳が述べたという「日本の企業だけだ、働くとはどういうことで、何が労働の喜びか、『倫理』を教えてくれるのは」という発言がまさに日本式援助の真骨頂を言い表している。

上記に出てくる「道普請人」というのは藤井聡さんの同僚の木村亮京都大学大学院教授が理事長を務めるNPO法人だが、まずは自分たちで出来ることからしてもらう、そして、日本はそういう人材を育てるお手伝いをするという考え方がいい

道普請人(CORE: Community Road Empowerment)
理事長 木村 亮 京都大学大学院工学研究科 教授

そうして、そういう身近なところを整備しながら、次の段階としてコンクリートを使ったインフラ整備のための人材育成も必要になってくる。そういう時には日本の貴重な人材を現地に送り込むか日本に来てもらって実践の中で覚えてもらうのかということになる。

また、総理は演説の中で、モザンビークの貧しく衛生状態の悪い街で、女性たちに、生きて行くうえで必須の知識を伝える栗山さやかさんという方の活動も取り上げ、「日本政府は、栗山さんがたった一人で続ける仕事に、負けてはいられません。」とも述べている。

このように、日本から出ていって活動しているのが海外青年協力隊であり道普請人のようなNPO法人であり、栗山さんのようなボランティアだ。安倍政権はこういう活動を知ったうえで、資金の無償提供や借款だけではなく、人材育成にも積極的に貢献しようとしているのである。

その為に日本から指導者が出てゆくだけではなく、逆に人材を日本に受け入れて育成しようとするのが外国人技能実習制度ということになる。三橋さんが言うようにエネルギー問題は安全保障問題と直結するが、同様に、内外の人材をどう育てどう確保するかも安全保障に繋がっているのである。

いつになったら経済的な見返りがあるか分からない貧しい国に支援するのはそういうことで、いくら円借款や無償で資金を提供しても、それがその国のインフラ整備、教育、人材育成などに繋がらなければ一部の支配者やそれと結びついた外国資本に流れるだけで、日本の安全保障にはつながらないだろう。

三橋さんは今日のブログで、一部の民間議員や自民党の議員が主張している移民政策を安倍総理は明確に否定しているのに、それを推進しているとして次のように批判している。

 現在の安倍内閣は、「瑞穂の国にふさわしい市場主義」ではなく、「ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義」の路線を進んでいるように見えます。総理の「瑞穂の国の資本主義」という言葉を信じて第二次安倍政権発足のために尽力した身としては、裏切られた気分でございます。
(台湾は主権国家 
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/)より

安倍総理も麻生副総理もずっと前から推進している価値観外交に日本の経済力、技術力は不可欠だ。しかし、そこにこの演説で安倍総理が強調しているような考え方が中心になければ真の友好も信頼関係も築けないだろう。そして、その取組みの中核をなすのが人材の交流、育成なのではないか。

道普請人の木村教授や木村さやかさんの活動、外国の首脳が称賛する日本企業の考え方、それこそが安倍総理が考える瑞穂の国の資本主義であり、日本発のグローバルスタンダードの根幹をなす思想だと思う。それがウォール街の強欲を原動力とする資本主義に見えるのが不思議だ。

(以上)

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(参考資料)
主要国の対アフリカ戦略(ジェトロ)

(関連過去エントリ)
アベノミクス成長戦略はグローバリズムに侵されているか? 2013-05-19 

世界の村で活躍する日本人とグローバリズムの話 2013-10-13